2018/11/12 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にイリーナさんが現れました。
■イリーナ > (つわものどもが、ゆめのあと。
膠着しているとはいえ、小競り合いは日常茶飯事の戦場では主を無くした武器が遺され。
地面や草に付着した血や身体の一部が散乱し、それを餌とする動物達も血のにおいにひかれて集まるだろうか。
両軍は撤退し、ただただ戦争の陰惨さだけが残っている場に、赤いコートの女が現われて。)
……王国側が、ひぃ、ふぅ、みぃ……。
(こうして戦いの場へと訪れるのは久しぶりのことである。
そんな状況でいきなり鉄火場に飛び込めるほどの蛮勇さはとうの昔に失っている。
だから、リハビリとばかりに今日の仕事は戦況の偵察とその結果について。
雇い主への報告をぬかるわけにはいかないからか、熱心に戦場跡を観察しているだろう。)
……それにしても、赤眼……ねぇ?
(雇い主から渡された要注意リスト。
その中の一つに「赤眼の女」というものがあったことを思い出し呟いた。
なんでも、混乱する戦場の真っ只中に突然現われて敵味方関係なく切り刻んでいくらしい。)
どこのトーシロよ、ほんと。
(おかげで同じ赤眼の自分もいい迷惑である。
その報告者も「金髪、赤眼、ドレスの女」以上のことだけを伝えて事切れたからか、それ以外の情報もなく…。
おかげで、この仕事を受けるさいにも余計な審査がかかってしまっていた。)
……まぁ、戦場で気をつけなくていいことなどないのだけれども。
ため息混じりに筆を走らせながら周囲の状況の変化をつぶさに捉えようと赤い眼は鋭く細められていて。)
■イリーナ > 戦闘開始が、これぐらいで……。
両軍斥候の偶発的な遭遇から、戦闘音につられて両軍の部隊が殺到。
そこから乱戦になって……えーっと、後発のこの部隊が。
(戦況を振り返りながら筆が走る。 乱雑な筆跡は本人にしか理解ができそうにないだろうが今はこれでいいのだ。
陣地に戻り、きちん整えて製図を作る。
今はその下準備である。
書き加えながら、あとで自分がどのように説明をするのかを言葉で組み立てていこう。)
……あとは好色好戦的な第なんとか師団に。
さすらいの傭兵。 どこぞで取り逃したモンスター。
ほんと、戦場は地獄とはよく言ったものよね。
(一度休憩とばかりに要注意リストの内容をそらんじながら手の甲で口を拭った。
もう少し仕上げればあとは陣地に帰還するだけだろうが……。)
ご案内:「ハテグの主戦場」にケートゥさんが現れました。
■ケートゥ > ぽろ、ん。
不意に、穏やかに爪弾く弦の音は、数刻前の荒れ乱れた戦場にはそぐわないのだろうけれど。
散って消えた生命の残滓漂う静寂の中ならば、むしろ似合いと取れもする、だろうか。
歌は無く、ただ無念や怨恨、悲哀や憎悪……場に染み付こうとする何かに寄り添い、連れて何処かへ誘うような。
竪琴によく似た調べ持つ旋律は、戦場全てを淡く包むように広がっていく。
「………誰かと思えば、イリーナ…お姉さん?」
足音も無く、闇から浮かび上がるように現れる小柄な姿は楽器を持たず、手指から伸ばした魔力の弦を二の腕に繋いで見立てた形から音を連ね。
血生臭さは薄れつつあるとは言え、場に似つかわしくないほど穏やかに頬を緩め、唇に笑みを描いて相手を呼ぶ。
己の腕、魔曲による支援を求められて戦場に立つこともある身は彼女を知るが……彼女が己を知っているか、また、どう認識しているかで印象は異なるだろう。
支援を行える程度の楽師、子供とだけならば相応に。
もう少し深く、近く知るのならただ見た目通りの愛らしさだけではないと。
■イリーナ > (とくに後は記載することもない――。
で、あるならばあとは無事に帰るのみ。 報告用紙をコートにしまいこめば………。
不思議な音が聞こえたのはそんな時。
咄嗟に右手が腰のベルトへと伸ばされた。
魔銃のグリップに触れるか触れないかの位置で構えられた手はもちろん警戒のあらわれであろう。
振り返りながら赤い眼が、わずかに不機嫌そうに細められ。)
「あぁ、誰かと思えば……楽師の」
(何度か、顔を合わせたことのある相手であった。
ともに闘ったことはないから実力は分からないが――。
子供が、何度も生き残っている。 その事柄と足音もせずに近寄られたことが警戒心を引き上げていて。)
「えぇ、っと。 私はお仕事だけれど?」
(右手の細い指が何度か、ぴく、ぴくと痙攣気味に動く。
そんな警戒心とは裏腹に返す言葉は少し軽い口調ではあるけれども。)
■ケートゥ > 「つれない……と言うほどに身近ではないけれど、傷付くね?」
爪弾く弦は止めぬままに、言葉と裏腹、露わな肩を竦めて笑う。
不意に現れた相手に警戒と負の感情を向けるのは傭兵としても、血腥さの中に足を踏み入れる者としても妥当であり、それを否定したり不快を示す理由は無く。
歩みは進めるも、声は十分に届くが手足が触れるにはほど遠い、5メートル程度の距離を置いて。
「戦場の後片付け、と言うと語弊はあるけれど、死者の想念が染み付いたり下手に捩れると後々厄介だからね。
鎮魂を、って依頼でボクは来たのだけれど……」
問われてはいないが、先に己の事情を語っておくのは穿った深読みからの疑念を予防するもの。
とは言え、信用できるものかは相手次第だが……実際に、旋律が響いて消えゆく戦場からは重苦しい気配が薄れることだけは事実と伝わるか。
「お姉さんは、終わった場所にどんなお仕事を?」
何時でも撃たれかねない構えに逃げるでもなく、平常の場であれば愛らしくあるだろう小首を傾げての問いかけ。
爪弾く音色の中に交えるのは己への淡い好意、友人や類する者へ抱くような感情を誘う魔曲……それも相手次第、抵抗し敵意を呼ぶか、効果が薄いか、逆に過剰に通るか。さて。
■イリーナ > 「この場で必要なことかしら? それ」
(戦場跡で、周りには自分と相手のみ。警戒をするにこしたことはないだろう。
たとえ、顔見知りであったとしてもだ――。
小さく首を傾げながら相手が歩みを進める様を細めた眼で眺めながら)
「……ん、なるほど。
そういうこともするわけね」
(なるほど、納得できる理由である。
小さな頷きとともに右手の警戒を強めていた指先がわずかに緩む。
たしかに心なしか戦場跡特有の血生臭さと淀んだ空気がわずかに薄れたような気もしようか。)
「言う必要はないわ。 そして、私の仕事はもう終わりなの」
(両手をおどけるように小さく広げながら問いかけに言葉を返した。
す、と下がる足が今は付き合うつもりがないことを案に示すが)
「ごめんなさいね、報告急がないといけないから」
(届く、音色。 再び眉が寄るけれども先ほどまでのような警戒の色は強めていないが……。
時間がないのも、また事実であろうか。)
■ケートゥ > 「言葉を紡げない場でも無い限りは、縁を紡がぬ理由も無い…とか、ね」
それもあくまで持論、相手の言葉を否定するでもない。
距離は詰めずとも音は届くのだから己の間合い…とは、言わず。
「楽師風情とは言われるけれど、背を押し膝を折り、時には魂を誘う。
戦場にも存外居場所があるものだよ……成る程、それはご尤も」
それと、残念。
肩を竦める仕草も気負いなく、薄い唇がそう呟いて愉快げに笑う。
退こうとする動きを視界に収めながらも止めはせず、鎮魂歌に交えた友好の魔曲は音色をそっと消し。
「それではどうぞお姉さん、お帰りには足元お気を付けて」
鎮魂の旋律は続けるまま、社交界でもあるかのように丁寧な一礼。
そして現れた時の様に、音色は淡く広がる状態を維持しつつ、存在感を掻き消すように気配が薄れて遠ざかった。
ご案内:「ハテグの主戦場」からケートゥさんが去りました。
■イリーナ > 「ええ、ごめんなさいね?
次は――こういう場でない時にゆっくりしましょうね」
(お互いに仕事の身、ましてやいらぬ警戒を自分が抱いてしまっていた。
そのことに少し後ろめたさを感じてかそんな言葉を残しながら。
それでも、最後まで赤い視線は相手から離さずに。
ゆっくりと、赤いコートの女は戦場から離れていくことになるだろう。)
【リミット退出】
ご案内:「ハテグの主戦場」からイリーナさんが去りました。