2018/08/15 のログ
空木 >  いつものように仕事を受けたが、今回ばかりは失敗だったと言わざるを得ない。
 斥候とは軍の一番槍のさらに前に出発し、敵陣を探る役割を担っている。女のたとえ暗闇でも昼間のように感知できる能力はまさにうってつけだったが、敵に魔術師がいたのは誤算だった。
 居場所を察知され、攻撃を受けたのだ。多勢に無勢。それでも十数名を斬り伏せたのはさすがというほかにないが、背中を切りつけられ魔術を叩き込まれ、命からがら逃げ出してきた。

「シイッ」

 吐息を吐くと、扉にかかっていた鉄製の錠前を断ち切った。

「妖術、魔術……あぁ、厄介な、厄介な………雷を切るにはいささかわたくしの刃は遅すぎるようで……」

 背中はざっくりと切り裂かれ、服の裾のあちこちが煤けている。
 いくら戦闘狂いだのなんだといえど、己の命を捨てているわけではなかった。これ以上戦えないのであれば逃げるのだ。そして、女はそうして、誰もいないであろう廃屋にやってきたのだ。
 入るなり扉にリビングの椅子を持ってきて取っ手に引っ掛けあかないように細工をする。
 そして、血まみれの外套を脱ぎ捨てると、埃まみれのソファに歩いていった。荷物入れからポーションを取り一口。

「くぐっ………ッ」

 じゅう、と背中や全身の傷から煙があがり、女の表情が一段と歪んだ。
 ぜいぜいと息をしながら背中に手をやる。血は止まったようだった。なんとも便利なものだ。一杯で、馬が数頭買えるというくらいの代物だった。

「………血、血を……」

 血が足りない。傷は一応塞がったが、ダメージは大きく、ぐったりとソファに伏せたまま動けなかった。

ご案内:「ハテグの主戦場/戦場にある廃屋」にダグラスさんが現れました。
ダグラス > いつものように繰り広げられる小競り合い。
今回もいつもの如く、切り込み部隊という名目でかき集めた海賊の荒くれ達を率いて参戦することになり。
明朝の突撃命令が下るまで魔導士部隊の警護に当たっていたところ友軍の魔導士が斥候の存在を感知し。
先制攻撃とばかりに激しい魔法攻撃を加えた後、追撃の追手として探し出す命令が下されていた。

「まったく陸では役立たず共だ」

雇い主の命令に準じて、配下の手下どもに捜索させたはいいがその過程で相当数が返り討ちにあっており。
やむなく自ら出張ることになったことにいら立ちを覚えながら残った血の跡を追いかけて。

「どうやらここのようだな」

血の跡が一軒の捨てられた廃屋に続いているのを見つければ小さくため息を吐き出し。
盾と斧を握りしめてから廃屋のドアを蹴破り、中にいる相手の反撃に備えて構えをとったまま中を見渡し。 

空木 >  音がした。足音。歩調からしてよく鍛えられた軍人か、狩人のそれだった。
 追撃か。ならば迎え撃たねばなるまい。付近に身を隠せる場所がないならば、時間を稼いで戦場から離脱するのだ。居場所さえばれなければ勝算はある。
 廃屋には、月明かりがかすかに差し込む程度の光量しかない。扉が蹴破られたところで、黒い闇と、鮮血の香りしかないだろう。
 女はふらつく足で、しかししっかりと保持した刀の切っ先を掲げて、

「………はて、どこかで……まぁ、よいでしょう。殺してしまいましょう」

 どこかで聞いた声だが、よく思い出せなかった。貧血のようになっているためもあった。
 相手の死角から回りこむためすり足で円を描くように接近していく。あるいは、相手にはもう見えているかもしれない。死人のように青い顔をした上半身サラシ一枚の女が。

ダグラス > のぞき込んだ廃屋の中は僅かな一筋の月明かり以外は暗闇だった。
しかしそこから香る血の匂いと溢れる殺気から目標がここに潜んでいることを確信し。
ジリっと盾を構えたまま慎重に踏み込んだ時、視界の端にきらりと月明かりに光るものをとらえ。

「そこか!」

相手が攻撃に移るであろう刹那。
刃に向けて盾を突き出しながら体重に任せてぶち当たる。
死んだ部下の傷口から相手の武器は異国の武器で切れ味に優れることはわかっていた。
そのため、相手が振り下ろす前にまずその武器の力を封じてしまうことにして。
首尾よくいけば相手の刀を盾に食い込ませた状態で固定し、体重で地面の上に押し倒すことに成功するだろう。

空木 >  聴覚に走るノイズが酷かった。まるで金属をこするような耳障りな音が走っており、到底まともに音による測位などできるはずがない。
 故に、圧倒的に有利なはずのフィールドで遅れをとることになった。

「今頃気がつきましたか―――」

 一閃。刃圏に捉えた刹那に迸る攻撃はしかし相手の盾の半ば取っ手部分の金属を断ち切れずに終わる。
 十全の体力ならば盾ごと腕を叩き切っていただろうが、今は所詮は手負い。たかが一撃で体力を使ってしまい、続く身の当たりに対応できない。

「………う」

 うめき声を上げて男に組み敷かれる格好になった。刀が床を滑って壁際で止まった。
 女はすんすんと鼻を使うと、首をかしげた。どこかで嗅いだことがある匂いだからだ。

「戦場で負けたものが蹂躙されるは人の世の常と申しますに、どこのどなたか存じませぬが、命だけは、と命乞いをしておきましょう……」

 思い出せない。
 女は冷静すぎていっそ棒読みに近い命乞いをした。

ダグラス > 危なかった。
相手の振り込んだ刃は盾の半分ほどを切り込み、あと少しで腕にまで達していただろう。
だが、運は自分に味方したようだ。
地面に組み伏せた相手の両手を抑え込み、馬乗りになった状態で顔を見下ろし。

「いい度胸だ。だが俺はお前を殺してから蹂躙したほうが二度おいしいんだぜ……ん?」

相手の命乞いに下種な笑みを浮かべて非道な言葉を放ったところで首をかしげる。
空にかかっていた雲が晴れ、少しばかり月明かりが増せば一筋の明かりが相手の顔を照らし。

「お前この間風呂場で抱いた女じゃないか。
 くく、こんなところであうとは奇遇だな」

少し考えるように首を傾げたのち、思い出したかのように相手の頬に手を添えながら言いはなち。

空木 >  脇差を抜ければ腹を刺してやろう。
 女はあくまで抵抗するつもりだったが、相手が言葉の最後に疑問符を乗せると、こちらも疑問符を頭の上に浮かべた。
 ぴとりと頬に手が置かれた。殺すにしては妙な動きであるが。

「………あぁ、やはり、以前のお方でございますか……はて、つい先ほどわたくしが殺した下っ端はダグラス様の手の者で? 恨むならばたんと恨んで頂ければと……」

 不遜な物言いだった。挑発と受け取られてもおかしくはない。
 女は頬に置かれた手に手を重ねた。ピントの合わぬ赤い目が闇でぱちくりとした。

「それでわたくしをどうするおつもりで……? く、く、く……今宵のわたくしは血に飢えております故……扱いには、慎重にされたほうがよろしいかと……慎重などという言葉が似合いそうな図体ではないようですが……」

 一通り喋ると、押し黙った。
 声に覇気がないことは相手によく伝わったことだろう。

ダグラス > 「なぁに、死んだ部下のことなど気にはしていない」

強ければ生き残り女と酒を楽しめるが弱ければ魚のえさ。
それが海賊業の楽しさと考えるゆえに、相手より弱いがために死んだ部下のことなどすでに顔も忘れていて。

「そうだな、俺は良い女を前にしては命の危険すらどうでもよくなる性分だからな」

相手の挑発めいた言葉にも楽しそうな笑みを浮かべ。
相手の脇差しを抜けばそれをナイフ投げのように廃屋の隅に投げて突き刺し。
相手がそれ以上の抵抗をしなければそのまま相手の服に手をかけて一気に力任せに破り捨て。
相手の身体を晒させればそっと指を胸から下腹部まで撫でて。

「血に飢えるのは俺も同じこと。
 まだ刀に血を吸わせたいってんなら、俺に犯されろ。
 たっぷりのお前の腹に種をつけてやれば殺さないでやろう」

空木 >  唯一残った脇差はあっけなく武装解除されてしまった。
 男がサラシに手をかけ破り捨てる。着物も手早く剥ぎ取れば、血の匂いと火傷の痕跡残る肢体がさらけ出されるだろう。
 男のざらついた指先がたわわに実った双丘から、下腹部までをなぞりあげる。
 既にじっとりと濡れて月光を反射する股座がもじもじと両足が擦り付けられるのに合わせて動いた。

「それもまた一興、乙なものでございますね……稀におなごが泣き叫ばなければ“そそらない”お方もいるようでございますが、果たしてダグラス様は……?」

 答えはイエスだった。ここで殺し合いの続きをしてもよし、行為に耽るもよし。
 女にとって渡りに船でしかない。
 女はこくんと頷いて見せると、ぺろりと赤い舌をチラつかせ――。

ダグラス > 「はっ、泣き叫ぶ女も好きだが。
 気の強い女はもっと好きだからな、そんなことで萎えることはない」

相手の心配を一蹴するように頭を振り。
自らもズボンを下ろせば大きく怒張した男根を取り出す。

「女は股を開いて男の子を孕めばそれでいいんだ。
 お前が石女でないことを願ってるぜ」

どうやらすでに濡れつつある様子の相手の股に何度か先端を合わせた後。
ゆっくりとほぐしながら相手の中に男根を埋めていく。

その後、たっぷりと楽しんだ後は依頼者には斥候を殺したと報告するだろう。
服も逆らた相手がそのあとどうするのかは相手次第となるだろうが。

ご案内:「ハテグの主戦場/戦場にある廃屋」から空木さんが去りました。
ご案内:「ハテグの主戦場/戦場にある廃屋」からダグラスさんが去りました。