2018/06/03 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にグラスシエルさんが現れました。
グラスシエル > 自分からはあまり近づかないようにしていた場所である
未だに、小規模な戦闘を繰り返す戦争のミニチュア、ただし命がけなのは戦うもの全てが変わらぬ世界だ
今回は傍観者ではなく、足は地面にある、群がる魔族達。
王国の者ではないとわかっていても、その容姿は、魔族たちにとって忌むべき存在には違わないのだ。
素晴らしい、これでこそ魔族、これでこそわかり会えぬ種族である。

「これこれ、これだ…この敵意、殺意こそが俺らとお前らの関係だ――なあ、兄弟ども?」

首を回しつつ、そう呟く。戦闘狂のつもりはないが、やはり戦天使として生まれた――いや、造られた以上、こっちのほうがシンプルと言うかしっくりきてしまう。王国内の共存をみてなんとなくもやもやしていたものがスッキリするのだ。いや、スッキリしてしまうのだ

どうやら、狂ってるのはお互い様らしい

「どうした?お前らが嫌悪する天使だぞ?こないのか?たった一人の天使に群がって見物か?あぁ?」

口汚い挑発、其処にいるのは天使には見えぬ、獣のような瞳をした戦士である

グラスシエル > 背後から土を蹴る音がした――大斧を持った魔族の兵士が跳躍して襲いかかる。
素晴らしい――背後からまず開始、ますますもって殺し合いではないか。正々堂々正面からこない部分を称賛してしまいたくなる、が、そんな余裕は無い。
遅い、そして大振りだ。身体を回しつつ、蹴りを放つ。大振りな斧が落ちる前に魔族を蹴りが地面に横薙ぎに叩き落とす。
適当すぎる、巨大な獲物ならば本来この脚は届かぬはずなのだから
当然、あたれば死ぬ、この一撃で自分が死んでいる
だが、幾戦もくぐりぬけてきた戦天使は間合いを違える事無く、巨大な斧を抱えた魔族を蹴り抜いた

「さぁ開始だ!天使の肉は美味いと魔族では言うらしいぞ!?お前ら食ってみせろ!さぁ、さあさあさあさあ!」

吹っ飛ぶ魔族、叫ぶ天使、それを合図に、同時に5人ほどの魔族が襲いかかる。ここからが本番だ
雰囲気としては格下ばかりだが、数の暴力は最も恐ろしい
僅かなミスが致命傷になり、複数ともなれば立ち回りにミスは決して許されない。
獣のような瞳を燃やしながらも、少年は冷静に、必死に立ち回りを探る。決して油断はしない、見くびらない、これはただのコロシアイなのだから。障壁を貫かれ、身体に当たれば死ぬのだ、其処には格下も格上もない。最も平等なルールがある

――殺さねば殺される

天使が吠える。5人の魔族の兵隊の群れに身をこれ以上無く低くして突っ込む。狙うは一体づつだ。確実に喉笛を食いちぎり数を減らす計算に思考を全力で傾ける

グラスシエル > まずは一匹目の獲物を視線に捉える
同時に襲いかかってきた中で最も手前、一番先頭に立つ勇気ある愚か者からだ、同時にしかけても呼吸を合わせて仕掛けてきてる訳ではない故に順序は自然と決まる。最も勇気のあった魔族の戦士様、御愁傷様

少年が突っ込む、獲物以外の連中が援護できない一瞬がチャンスである
魔族の懐に最も深く潜り込むと同時に低い体勢から、右手を突き出す。
手甲が歪み、いびつな鉄の爪へと変化する。先手だ
そのまま狙うは、魔族の首。上向きのフックのような軌道で首に爪が引っかかると同時に、思い切り引き裂く
急所を捉えた感触と同時に今度は向かってくる魔族とは真逆、間合いを思い切り引き離すように跳躍した。
同時に、魔力によって十本以上の矢を生み出し、降らせる。
これに当たればラッキー、これに当たらずとも狙いは残りを散らせる事だ。複数と乱戦なぞ、実力差以前の愚行である。むしろ残りの魔族にはまだ来てほしくないのが本音。最初に仕掛けてきた5匹は死んでも迅速に、かつ無傷で倒さねばならない
様子を見る集団に「複数でかかれば殺せる」という期待は抱かせてはいけないのだ。一瞬で殺せたのはむしろ狙い通りで幸運である

グラスシエル > 残念ながら、自分には対多数を圧倒できる魔術も、魔力もない。故に一匹ずつ仕留めなければならない。しかも相手が増えぬ短期決戦でだ
こちらが疲弊する前に、自分の得意な戦法で残りを殺す作業をどれだけ効率的に行えるかを考える。

魔法の矢は、生憎命中せず。しかし目的は果たした。3匹が同じ方向に飛び退いたが、1匹だけ逸れたのを、天使は見逃さない
はぐれた魔族に疾風のように飛びかかる、逃さない。必ず仕留める
真逆の方向に飛び退いてくれた幸運もあり、今度は一発勝負ではない、踏み込んでからまずは蹴りをくれてやる。当然この蹴りも殺す気ではあるが、残念ながらここは凌がれる。頭部を必死に固めた相手の腹部を

「――破ッ!!」

少年の拳が撃ち抜く。魔力を拳に乗せれるだけ載せて繰り出す拳は先程の魔力の矢より余程凶悪な殺傷力を生み出す。
軽鎧を打ち砕きながら魔族の腹部を貫く
次――次だ、まずは後3、その後どうするかは相手次第といったところだ。
少年の背後に魔力の光が煌めく。相手の魔法の矢が飛んできたのを確認すると同時に、真横に避けつつ間合いを詰める。糞が小賢しい、遠巻きに撃たれるのが多数からは最も辛いのだ。今度は魔力の障壁に魔力を注ぐ。下級魔法程度ならこれで凌げる。
矢を弾きながら突っ込む。多勢と侮っていた相手が恐怖に歪む様を見て内心ほくそ笑む。良いぞもっと恐れろ怖がれ身をすくめて動けなくなってしまえ。その間に俺はお前ら殺すんで
恐怖はもっとも恐ろしい毒の一つだ、相手を恐れれば恐れるほど冷静な判断ができなくなる。挙動も遅くなる。相手の混乱を誘うなら今しかない、と危険を承知で、障壁を貼ったまま3匹へ体当たりをするように間合いを詰める。
逃げようとした魔族が2匹、これは無視。取り残された1匹をしっかりと仕留める。脚がすくんで動けぬ魔族の首を、再び天使とは思えぬ凶悪な形をした爪が襲い、引きちぎった
逃げる2匹は――ち
戦意をなくした様子の魔族兵は、魔族の群れへと逃げ帰った。勿論そこに飛び込んだらこちらが死ぬ

群れていた魔族は、一瞬のやりとりで惨殺していく天使を恐れる。狙い通りであり、こいつらを全部殺す気はそもそもない。引いてくれるならむしろラッキーだ。リハビリは終わりである
最後に自分が扱える中でド派手に広がる炎の魔法をお見舞いする。と、同時に今度逃げるのはこちらである。まああの様子ならば追っては来ないだろう。

人間側の陣営に、全速力で飛ぶ。砲火や矢に巻き込まれないように高度をあげて、安全圏まで避難。
自分がやりあっていた場所は小競り合いの端だし、敵も下級の兵士だった。無理には追っては来ないだろう
安全圏まできて、ようやく息を付く。
ああ、怖い――クソくだらないリハビリだった、やはり殺し合い等クソくだらないと思う。心が腐るし荒む。良いことなんか何一つ無い。
下級魔族が相手だろうと上級魔族が相手だろうと、自分がミスれば死ぬ。ゲームではないのだ。まあ、だからこそ――戦天使である自分がそれを忘れぬためにやったことではあるが

グラスシエル > 「しかし――よくやるもんだな」

自分が居た場所以外では当然戦闘は続いている。戦況も拮抗、泥沼である
お互い消耗戦、良いことなんか一つもないが故に、ここで引くとその分戦況が悪くなる最悪の状況だ
上空から見下ろしながら、泥沼の戦場を見る。自分がいるべき場所でもある戦場を
ただ、人間に肩入れしてやる義理もない。頑張れ王国、負けるな王国、と心の中でどうでもいい気分で応援する程度だ、精々俺の嫌いな魔族を削ってください
なんて思いながら、戦天使は戦場を見守る

グラスシエル > 少年自身は、本来殺し合いは好きではない、というか命をチップとかありえない話である。純粋な力比べなら、嫌いではないのだが――
少年はもう一度、手甲を爪に替える。いびつな爪は獲物をつかめば引きちぎる、切り裂くまで離さない。これが少年の必殺であり最大の獲物だ
体術同士ならともかく、こんなものが役に立つのは、当然、獲物を殺すときだけである

「ま、遊びで造られたわけじゃねーしな…っと」

動きのない戦場を見るのも飽きた。というように少年はその場を去る。
また、ここに来るかどうかは――まあ心が腐ってきてから考えよう、と

ご案内:「ハテグの主戦場」からグラスシエルさんが去りました。