2017/12/11 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 冒険者は。基本騎士団やら軍隊と行動を共にはしない。
冒険者は冒険者で、堅苦しい騎士やらを嫌うタイプが多い。
騎士や軍人もそうだ。冒険者など、イコールならず者。共闘できるわけが無い、という感じ。
それでも。そういう共闘、とか協調行動というものが無いでもない。

「……伝令ー。でんれーい」

ハテグの主戦場。そこにそんなマヌケな伸びた声が響く。
声の主は、戦場に似つかわしくない執事服とコート。
明らかに戦争と戦場を舐めたような格好の男であった。

「そこの人ー。伝令伝令ー。
 えっと、『あんまり離れすぎるな。それと、後方の部隊は食事の準備に取り掛かる。
 伏兵などを発見しても、間違えてもこっちには連れてくるな』。
 要約すると、こんな感じだねぇ」

黒く、堅牢さが伝わる鎧に身を包んだ女性に、男はそうメッセージを伝えた。
本当はもっと堅苦しい文章だったんだけど。その辺はまぁ、要約しても伝わるしいいんじゃね? という考えで。
今回の男のお仕事は、ここにいる第一師団の補佐。別名雑用、であった。

グリューネ >  
「敵か~~~っ!!?」

くわっ、と
満面の笑みを浮かべて斧槍の矛先を向けながら男へと振り返る

「…な~んだ、伝令かあ……。
 ああ、はいはい…だいじょぶだいじょぶ。
 敵兵は見敵必殺だから連れて帰るとかないな~い」

あからさまに残念がったような口調と表情でそう返すと、その眼をかっ開いて覗き込むようにして男へと近づいてゆく

「あれ?お前誰?お前みたいなやつうちの隊にいたっけ?
 もしかして敵?敵じゃない?敵がでんれーになりすましてたりしない???」

セイン=ディバン > 「でんれーい……って言ってんでしょーがああぁぁぁ!?」

駆け足で相手に近づいていく中。相手の姿を確認できる距離まで近づいた途端。
なぜか相手はとても楽しそうに矛先を向けて振り返ってきた。いい笑顔だった。グッドスマイルってやつだった。
身の危険を感じた男は、大声で叫ぶ。なんとか相手が理解してくれたから良かったが。下手したら首が跳ねられてたかもしれない。

「はいはい。確かにお伝えしましたよ。
 ……。あれ。そういえば。今回の仕事……。第一師団……。
 黒い鎧……。美しい白金の髪に、その斧槍……」

残念そうな口調の相手には、『でも伝えたからね? 俺知らないよ?』という意図隠さぬ、疲れたような声で答えたものの。
相手の姿を見れば、男の脳内で急速に情報が蘇ってくる。

「……もしかして、『ブラックディザスター』……。『黒い天災』の……。
 グリューネワルト・メヒティルデ・ヴァッケンハンマー!?
 うわ、マジモンかよ……。って、敵じゃない敵じゃない!
 冒険者のセイン=ディバン! アンタの味方!!」

相手の正体がわかったのと、相手が近づいてくるのは同時だった。
必死に両手を振りながら、味方であることをアピールする。
なぜだろう。目の前の女騎士さま。眼を開いていらっしゃる。
男は、呼吸を整え、どんな状況にでも対応できるようにと心構えをする。

グリューネ >  
「本当にぃ~?」

どうやら相手は自分のことを知っているらしかった
それなりに名の売れている自覚は当然あるものの、それでも
──果たして相手のこの男がこの女の異常性、悪く言えば変態性まで知っているのかどうか……

「冒険者~? ああ~…ハテグには傭兵とか民兵も結構連れてきてるんだっけぇ。
 ………で、証拠は?しょ~~~こ」

ギチッ、と革の手袋が斧槍のグリップを握りしめる音が聞こえる
伝わってくるのは明確なアレである

こいつがなりすましだったらいいなあ
だったら思いっきりコレを振って叩き潰せるのになあ
敵だったりしないかなあ

という、期待した眼をしている

セイン=ディバン > 「なんで疑うの逆に!?」

そもそも正式に依頼を受けて。そんでもって雑用しているのだ。
それなのに疑われて……あげくの果てには。

「しょ、証拠って……。そんなもん、偉いさんに確認取ってくれればいいじゃねぇかよ……」

証拠を出せ、と言われた上に。なんか知らないけど相手は臨戦態勢のご様子、である。
男はため息を吐き、こめかみを指で押す。
そこで思い出した。相手の噂。確か、相当な実力者だ、とか。
だったら、おそらく周辺の哨戒、という現状など退屈でしかたないのだろう、と。男はそう推測する。

「……はぁ。あのな、嬢ちゃん。暇つぶしなら付き合ってやってもいいけどよ。
 ……どうせ身体を動かすなら、セックスとかの方がいいと思うんだがね、俺は」

瞬間。男は体内で練った魔力を解き放ち、両手の中に銃を召喚する。
右手の手中には、散弾銃が。左手の手中にはリボルバーが握られ。

「どうしても、ってんなら相手になるけど。お手柔らかに頼むぜ?
 俺、あんまり荒事慣れしてないんだからさ」

告げる言葉はウソである。荒事なんぞ、慣れているというか、友人の様なものだ。
問題は、おそらく実力的に考えて勝ち目など一個も無い、という部分。

グリューネ >  
「めんどくさい。
 証拠ないんだな?ないなら疑わしきは滅殺だぁ、聖書にもそうかいてある」

愉しげに斧槍をギュンギュンを頭上で振り回している

「はぁ、せっくすぅ?
 …え、せっくす?何で急にせっくす?」

こてん、と90℃ぐらいに首を傾げて目を丸くする

「いやー…溜まってるにしても戦場でそういうコト言う人、見たことないなあ…。
 面白い子だね、君~」

ズン、と真横に斧槍を突き立てて、臨戦態勢を解いた……ように見えた

セイン=ディバン > 「振り回すな振り回すな!
 あと、聖書とか知らねぇっす。俺基本カミサマ信用してないから」

ぶおんぶおん。すさまじい速度で旋回する斧槍を見つつ、完全に腰が引けている。
強いって噂は耳にしたけど。なにその速度。仮にも斧槍だぞ斧じゃないぞ槍じゃないぞフレイルでもないんだぞ。
なんで女の子がそんなにぎゅわんぎゅわん回してるの回せるの。
そんな恐怖入り混じった思考は表情に出てしまっているだろうか。

「え……? いや、だって……」

唐突に。相手の動きが止まった。なんとも可愛らしい首の傾げ方。
そのままなかなかの重量感じる音を立てて、斧槍が地面に突き刺さった。
やっぱおかしいよなんでその重い感じの斧槍振り回せたのよ。
そんなことを考えつつも。男はその質問に答える。

「グリュちゃん可愛いし。抱きたいと思うのは当然だろ。
 それに、戦って勝てる気しないし? 俺セックス好きだし?
 なので、戦うメリットは一個も無い。セックスするメリットはあるけど」

呆れられるような返答。そして、この男は本気でそう思っている。
この男は妻を口説いた時もそうだった。戦場で。セックスしようと言ったのだ。アホである。無類のアホである。
だが。男は真面目な顔で、相手を見ている。本当に。心から思っているのだ。
斧槍を軽々振り回し。凄腕の女騎士。そんな情報はどうでもよくて。

この子可愛いな抱きたいな。そう考えているのだ。

グリューネ >  
「そうか、奇遇だな。私ちゃんも聖書など読んだことはない」

矛盾する言葉を平然と吐きながら、相手の返答を待って

「なるほどわかった。さてはお前、バカだな?
 そしてそんなバカになりすましなど務まるわけがない。シロだ、残念ながら」

斧槍を担ぎ直し、くるりと背を向けて

「どーやら敵兵はもう残っていないようだ。
 駐留するのは他の小隊員に任せておいてもいいな。
 私ちゃんは野営が嫌いなんだ、どうせ寝るならふかふかのベッドがいい。
 ───お前伝令役だろう?馬とかないのか」

金色の視線だけをそちらへ向けて、問いかける

セイン=ディバン > 「なのに聖書に書いてあるとか言いますかこの人。
 なんだろ、キミ変わってるね」

ちなみに男は聖書自体は流し見くらいはしたことはある。
脳内に情報を留めて置きはしなかったが。

「バカ言われた!? ってか。キミも大概だろうさ……。
 失礼ながら、あんまり賢そうには見えないぜ?」

はっきりとした一言にショックを受ける男。
意趣返し、でも無いが。小さく言い返しておく。まぁ、男の無学さに比べれば、相手は騎士という立場だ。
男以上に学があるであろう、ということは想像できる。

「そうみたいだね。いや、雑用と称して残党狩りさせられなくてよかったよ。
 ……ふむ。馬、ね。馬は無いけど。
 転送呪文が使えるから。ある程度の場所なら一緒に跳躍できなくもないよ?」

あいにく。男は馬に乗れない。ヘタなのである。それに、一冒険者如きに騎士団は馬を貸してくれなかった。
だが、男は呪文での移動が出来ると言い、相手に手を差し伸べる。
行った事のある場所にしかいけない術だが。こう見えても国内をかなり歩き回っている。
おそらくは。相手の望むフカフカベッドを提供できるであろう。

グリューネ > 「よく言われるぅ~~」

へらへらした笑顔のままのたまいつつ

「おっ、なかなか言ってくれる~。
 これでも騎士になるための試験は主席で通ったんだぞぉ?」

───体力方面はともかく、筆記はペンを転がして全問正解という奇跡ではあったが

「じゃあそれでいいやぁ、第一師団の宿舎もいいけど騒々しくってさぁ。
 たまには富裕地区の高級宿なんかで身体を休めたいと思ってたところなんだ。
 何、こう見えても私ちゃんは王国騎士、お金持ちだからな、お礼くらいはするぞお」

セイン=ディバン > 「……カハハハハッ! キミ、面白いなぁ!」

笑顔のまま言う相手に、思わず男は笑ってしまう。
今まで出会ったどんな人物よりも、変わっていて面白い相手だ。
なにせ、まったく読めない。行動も、言動も、だ。

「そりゃ失礼致しました。
 主席ってこたぁ、オレなんかよりよっぽど頭がいいんだな」

相手がまさか奇跡の如き運で筆記を突破した、などとは考えもせず。
男は謝罪のために頭を下げる。何気に素直な男であった。

「騒々しいところはお嫌いかい? なるほど、ね。
 それならいい宿を知ってるから案内できるぜ。
 金ならオレも困っちゃいないよ。それこそ、お礼なら抱かせてくれ、ってもんだ」

相手の要望を聞き、軽く相手の肩に触れる。ぶつぶつと詠唱をし、魔力を解き放てば。
あっという間に、富裕地区の中でもかなりグレードの高い宿の前に瞬間移動することができるだろう。

「宿代はオレが持つよ。女に出させた、とあっちゃ男の名折れだ」

ご案内:「ハテグの主戦場」からグリューネさんが去りました。
セイン=ディバン > (そうして、男は相手の肩を抱き、宿へと入っていった……)
ご案内:「ハテグの主戦場」からセイン=ディバンさんが去りました。