2016/06/26 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にタマモさんが現れました。
タマモ > 戦場というのは、獲物を求める上ではなかなかの良狩場だ。
まぁ、タナール砦という人間と魔族が入り乱れる場所と違い、人間が多いのは少々不満ではあるが。
それでも、時折、人外の者も紛れ込んでいる。
…戦場だけに、人間でもそれなりに力を持った者も居るだろう。

戦場となっている場所より、そう離れていない辺りに少女は居た。
それでも、戦場ど真ん中から見れば目立つような場所ではない。
現に、こうして遠目に戦場を眺めていても、寄る者は居ない。
のんびりと、獲物でも見付けたら攫って喰らうなり、弄ぶなりしてやろうと考えていた。

タマモ > 「所詮、虫けら共の戯れじゃな…つまらん」

吐き捨てるように、ぽつりと呟く。
もう少し見てても楽しめそうなものを想像していたのだが…思ったよりも、戦場としては面白味に欠ける内容だったのだ。
目立った強さを持つ者も見えない、まだ一方的な虐殺や、派手な魔法や術での大破壊を見ていた方が楽しいもの。
少女にとって、こんなものは戦いというものに入らない。
少女は幾つも連なるように転がっていた岩の一つ、その上に腰掛けていた。
軽くなにやら考え込む、広がる戦場を見渡すように、左から右へと視線を巡らせる。

タマモ > 大した事を思い付いた訳でもない。
だが、少なくともこんなだらだらとした戦いを続けられるよりも、マシな事を考えた。

『集え、彷徨える魂共』

ぱちん、と指を鳴らして力ある言葉を紡ぐ。
その言葉に反応するように、辺りの地面から、不鮮明な何かが揺らぎ浮かび上がり始める。
少女はそのまま何もしない、再び戦場を眺めていた。
そうしている間にも浮かび上がる何か…死者の浮かばれぬ魂は数を増し続けていて。
…戦場だけあって、面白い程の数が集まるものではないか。
ちらりと辺りを一瞥し、集っていく魂の数に、くすりと笑みを浮かべる。

タマモ > 「戦いとは、もっと殺伐としたものじゃ。
…それを教えてやるが良い」

ぴっと人差し指を立て、周りに浮かぶ魂へと言葉をかける。
ゆっくりと、その指先が戦場へと向けられた。
まともに数は数えてなかったが、戦場で争い合っている人数より多い事もないだろう。
とはいえ、少なくもない、半数以上の数は集まっている。
動作に合わせるかのように、一斉に魂は戦場へと向かっていく。

どこか倦怠気味に映る戦場、それが一変したのはその後だ。
所々で敵味方構わず襲い掛かる者達が現れ始める。
魂は意志の弱いものから順に乗り移り、死ぬ事も恐れぬ狂戦士を作り上げていた。
どちらの陣営なんて関係ない、それは無差別に起こっていく。
狂戦士となった者達、まだ正気を保っている者達、少女の考えるそれらしい戦場へと姿を変える様子に、唇の端をつり上げる。

タマモ > これで、後はのんびりと眺めれば事が済むだろう。
やろうとしているのはなんとも簡単な話、弱者を削ぎ落とし強者を残すだけ。
これで残った者を自分が相手でもしようかと考えた。
どうせ戦場だ、何が起ころうと誤魔化しようはある。
…敵味方すべてが全滅しようとも、報告がいかなければ自軍が全滅したと思うだけだろう。
まぁ…何の役にも立たない者が残る結果が目に見えているが。

とはいえ、こっそり逃げ帰る小賢しい者が居ても面倒だ。
その点は、控えるように何体かの魂を待機させておく。
…その魂は、戦いに耐え切れず自害をした者達を選出しておいた。
さぁ、後は戦が終わるのをゆっくりと待たせて貰おう。
目を閉じ、耳を傾けてそれを待ちに入る。

タマモ > ぴくり、と耳が揺れ…閉じられた目が、ゆっくりと開く。
そろそろ決まる頃合だと、そう判断出来たからだ。
気が付けば、見渡す限りほぼどこかにあった人影もほぼ消え失せていた。
代わりに、そのすべてが地面に転がっているだろう。

では、行くとしようか。
残った者がどんな者か…思った通り役にも立たぬ者ならば、さっさと殺してこの場を去ろう。
少しでも楽しめる者ならば、軽く相手でもして喰らうか、楽しませて貰おう。
ふらりと立ち上がると、残った音のある場所へと向かい、とん、と地面を蹴って舞い上がった。

ご案内:「ハテグの主戦場」からタマモさんが去りました。