2016/04/17 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にグリモワールさんが現れました。
グリモワール > それ程は遠くもない場所に見える広大な戦場、それがよく見える小高い丘に佇んでいた。
フワフワと両手に書物を抱える白い少女、それが他の者が見た自分の姿だろう。
あちらこちらで起こる金属と金属の打ち付けられる音、そして、色んな感情を込められた声が響き渡る。
少女の視線はそんな所よりも、派手な閃光や爆発音を起こす、そんな方向へと向けられていた。

「あはっ♪無駄に争い合うのはどうでも良いんだけど、丁度良いものが見れそうね?」

書物から手を離すとフワッと浮かび上がり、パラパラと頁が勝手に捲れていく。
それが止まれば、白紙の頁が開かれるようになるだろう。
チラッとその頁に向けた視線が、又、魔法や術が使われているだろう場所へと向けられた。

グリモワール > ポウッと書物が輝き始める。
見ている先に魔法が、術が、行使される度に、それは繰り替えされていく。
チリチリと小さな音を書物が立てており、そこを見たならば、白紙だった頁に幾つかの文字列が並んでいた。
その度に、少女は満面の笑みを浮かべている。

「もっともっと、これだけいるんだもの、私にいーっぱい見せてね♪」

視線を所々に向けていく、それは、何処も魔法や術が行使されている場所。
見る者が見れば分かるだろう、その白紙へと浮かび上がってくる文字列。
それは、その者が使った魔法や術の詠唱から名称迄、全てであった。
その目で見た力、それを魔導書へと刻み付ける力、それが少女の能力の一つだ。

グリモワール > 何時間と続く戦場での戦い、さすがにそれだけの時間が経ってこれば、真新しい力は見れなくなってくる。
視線を何処へ向けても、何も文字は浮かばなくなってくる。
そうなれば、もう用事は無くなってしまう。
パタンッと書物を閉じ、もう興味は無いとばかりに立ち去ろうと踵を返す。
でも、そこで少女は動きを止めた。
何か案でも浮かんだかのように、にんまりと笑みを浮かべたのだ。

グリモワール > 「うふふっ♪戦争に凄い力が使われたなら、きっと、次はもっともっと強い力を持ってくるよね?」

楽しそうな呟きを漏らし、改めて体を戦場の方へと向けた。
書物はフワフワと少女の正面へと流れ、ピタリと止まる。
先程と同じだ、書物は勝手に頁を開き、パラパラと頁が捲れていった。
だが、今度は違う点があった。
開いた頁には、ビッシリと文字が綴られているからだ。

グリモワール > 少女は笑みを崩さぬまま、何かを口ずさみ始める。
その唇の動きに合わせるように、その頁にある文字が輝いていく。
片方の頁を埋め尽くす程の文字、その輝きが増せば増す程に、少女から漂い始める魔力の濃度が高まり始める。

戦場にもちらほらと変化が起こり始めた。
それは、魔法を使う者達の反応。
この戦場ではない、離れた場所から、信じられない程の魔力が放たれ始めたからだ。
当然、何か起こるのだろうと警戒をし、それに対応せんと身構えていた。
…だが、それも次第に身構える姿勢から、怯えた様にその場を離れようとする動きに変わる。
その強大過ぎる魔力の持ち主、その者が魔法を行使する指定の先が、この戦場のど真ん中だからであった。
それを受けてなのか、お互いの軍勢の動きが緩む。

グリモワール > 「バイバイ♪」

その呟きと共に、文字列の最後の一文が読み上げられた。
身動きが出来なくなる程に凄まじい圧力と共に、上空から何かが見えた。
その何かは、どんどんとその大きさを増していく。
より大きく、更に大きく、どこまで大きくなるのか分からない。
相当な遠方から落ちてきているのだろうそれは、よく見れば岩の塊の様に見えた。
誰しも分かる訳がない、それは巨大な隕石。
とは言っても、山ほどの大きさとか、そんなに巨大と言う訳でもないのだけれど。

此処まで来てしまえば、最早逃げるとかの問題では無いだろう。
混乱、逃亡、硬直、様々な様子を見せる者達。
そんな場所へ、一塊の隕石が落ちた。
大地を大きく揺らす振動、そして、落下の衝撃に吹き飛ぶ戦場。
兵達は木の葉の様に舞い散って、それが終わった後には大きなクレーターが一つだけだった。
両軍に伝わっていくのは、共に軍勢の全滅との報告だろう。
少女の姿は、もうその時には丘の上には無かった。

ご案内:「ハテグの主戦場」からグリモワールさんが去りました。