2016/03/20 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にテイアさんが現れました。
■テイア > (かつては花々が咲き乱れ、妖精が愛を唄い楽園のような場所であった丘陵地。今はもう見る影もなく、馬鉄に踏み荒らされた土は乾いて砂塵を伴う。それでも、強い草木は所々に見られるが、その糧は流された血、朽ちた骸なのだろう。幾度となく繰り広げられる戦。殺し、殺され憎しみばかりが集う場所。
王国側に展開される騎衛。飛ぶ翼を退化させて、速さを求めた強靭な二本の足を持つ大型の鳥に跨る胸甲兵達。その中心に、一際煌びやかな甲冑姿で異彩を放ちながら正面に展開する敵兵を眺めやるのは銀髪の女。ヘルメットを被っていない故にその長い耳から人外種であることは一目瞭然。)
さて、相手は隣国の軍勢。規模は我が部隊と同等。ただの小競り合い程度で負けるわけにはゆかんぞ
(斥候から齎された相手がたの情報。異なる彩を放つ双眸を細めて言葉を放つと空気の振動を利用して、後方まで届く。血気盛んな男たちの声が上がるのを合図に、抜刀しその剣先を相手方へと向ける。)
打ち砕け、殲滅せよ!
(それが合図。鳥は鐙で腹を蹴られその強靭な足を駆ける。
土煙があがり、一気に相手との距離を縮めていく。それに少し遅れるように随従する騎馬。重い胸甲兵は機動力に劣る。それを補う事ができるのが、馬よりも更に強靭な足を手に入れた鳥達。しかし、その扱いは難しくまた重い甲冑を身につけたまま操るにはバランス感覚と相応の技術を要する。故に、扱える者も限られてくる為鳥を駆る者たちは切り込みとして真っ先に敵陣に突っ込む。)
■テイア > 後方、遅れるな!魔法兵、防御壁を展開。
(動き始めたのはこちらが先か、敵陣も動き始めて距離が一気に縮まる。長い耳が弓の風切り音を捉えて数瞬の後、敵陣後方から放たれた弓が放物線を描きながら雨のように降り注いでくる。相手方の予想よりも遥かに速い鳥の脚は、既にその弓の目標地点を通り過ぎて敵陣営、最前列に突き進む。すり抜けざまに剣で切りつけ、槍で突き上げ血飛沫があがり、大地が紅く染まりゆく。鋭い剣戟の音を響かせながら、風のように敵軍の前衛を抜けていく先行部隊。その速さに振り返っている余裕はない。鳥の脚との時間差で訪れる津波のように力強い馬に乗った騎士たちが混乱する敵陣を押し返し蹂躙する。)
右翼、回りこめ!
(乱戦となる中で、こちら側に押されて薄くなった相手の左翼を見て取ると指示を出す。よく通る声は、甲高く、鈍く響く剣戟や、馬蹄の音にもかき消されることはなく、常に空気の振動に乗り味方へと的確にその指示を届かせる。
右翼側に送った一瞬の視線。その視界の端に、大剣を振りかぶる敵の姿を捉える。騎乗する鳥の首ごと横に切り裂こうとするその豪腕。しかしその力ゆえの大ぶりの刃は空を切る。素早く鳥の首を下げさせ、その脚の関節を曲げさせると自身は飛び上がり手首をひねれば手に持つ剣が節に分かれて鞭のように伸びて同時に飛んできた弓矢を打ち払う。横に薙がれた大剣は、身体のスレスレの所を通り過ぎ次いでその剣で作り出された大きな風が銀の髪をなびかせる。羽のような軽さで、慣性を利用して再び自身の騎獣の上に降り立てば駆け抜けて、その者の後ろにいた兵士を鞭のように伸びた剣先に真空の刃を加えてその鎧を貫通させる。それとほぼ同時、自陣営の大剣を持ったかなり体格のいい騎士の刃ががからぶり、体制を崩した敵陣の者の鎧を砕き、その体を両断する。)
■テイア > 陣形が崩れた、詰めだ!!
(敵陣の左翼は崩壊し、自陣営の右翼が押切中央まで囲い込む形となり、また中央も後方側まで自陣営に突破された。敵陣右翼側もほぼ戦線崩壊しており、敵陣営は退却を始めた模様。鞭のように伸ばした剣先を戻すと、鋭い突きを放ち敵の騎馬を次々落馬させる。)
引き際を見誤るなよ、深追いはするな!!
(撤退を開始した敵陣、逃げるものは追わず殿を務めて攻撃してくるものを打倒していきながら指示を出す。
時間が経つにつれて、剣戟の音も段々と減っていき暫くすれば、土煙と馬蹄の余韻そして屍がその場に残っていく。)
戦いは決した。我らの勝利だ!!被害状況の把握、負傷者の収容、手当急げ!敵陣の者も生きていれば降伏の意思を確認後、捕虜として扱う事。各分隊長は報告を、手の空いているものは衛生兵、魔法兵の補助に当たれ
(勝鬨をあげれば、それに呼応した猛者達の声が大地を震わせるほど。その余韻が消え去る間もなく手早く指示を下す。統制が取れている事、普段からの鍛錬の量や質がこの部隊の生存率を上げている。しかし、戦は戦。予想通りに動くはずもなく、死傷者は付き物だ。負傷は仕方がない。敵に背を向けずに戦った証、名誉の負傷といえよう。負傷しないのに越したことはないが…。しかし死者、こちらだけは例え戦だとしてもその数が少ない事を、叶うならば誰も死なぬ事を願わぬ戦はない。死者は還ってくることはない。)
■テイア > …ふん…
(敵が完全に撤退したと見るが、警戒は怠らない。
右手に持ったその剣に付いた血糊が視界に入り、素早く振り下ろせばビシャっと小さな水音をたててその殆どが大地へと落ちる。こびり付いたものや油はあとで手入れしなければ駄目だろう。その血の持ち主もまた、国に帰れば待つものもいたかもしれない、戦いが終わる度に思うのはただの感傷だ。そんなことを考えていればキリがない。戦えない。そんな考えを払拭するように吐息を吐き出す。この手で守れるものなどたかが知れているのだ。なればこそ、守るべきものを守るために自身の持てる力全てを注ぐしかない。それ以上をと望むなど傲慢の極みだ。)
そうか、アルフレッドとノイマンが逝ったか…。
(先陣を切った者達に負傷者はいたが、死者はいなかった。騎獣を駆るだけの技術は一朝一夕で身につくものではないだけに、こちらの死者が多いとその速さを武器にするこの部隊にとっては大きな痛手となる。部隊の運営を考えればそこは安堵すべき所ではあるが、騎馬の騎士から二人ほどの死者が出た報告を受けると悼むようにその双眸を閉じる。)
彼らは強く勇敢な騎士だった。その魂に安らぎを…。
(弔いは全てが落ち着いてからと、今は言葉少なに。被害状況の報告と負傷者、味方陣営の死者の収容が終われば、魔法兵に観測結界を貼らせて見張りを強化し、敵陣であった骸の弔いの作業に入る。とはいえ、一人一人に墓をつくっていれば膨大な時間がかかるため各々の髪のひと房を集めて地に埋め、死者への祈りを捧げると風化の魔法を骸にかける。
この魔法をかけられた骸は、朽ちる速度が早まり半日もすれば風化し、その骨までもが土に還る。それが敵陣で戦い死した者へのせめてもの敬意だと思っている。この行為に賛同できぬ者へは強制していないことではあるが、ほとんどの騎士たちが協力的であることに感謝しなければならないだろう。)
■テイア > さて、帰還だ。警戒は怠るなよ。家に帰り着くまでが戦場だ。
戻ったら、弔いもかねての宴だ。私に酒で勝てる者はいるか?!
(暫く祈りを捧げたあと、暗い雰囲気を払拭するようにパンっと手を叩き合わせて務めて明るく言い放つ。家に帰るまでが遠足、のような冗談を交えつつ言えば騎士達の野太い歓声があがる。今のところ酒に関しては無敗のこの女隊長。毎度宴のたびに競うのは最早慣例となっている。私に勝てた者には一つだけその願いを叶えてやろうとは、いつ言った言葉だったか。随分昔に言った気もするが、世代が代わってもこの言葉が語り継がれている。…が、今のところ負けなしなのでどんな願いが出るかは分からない。
騎獣に跨ると隊列を組んで戦場を後にする。
戦場に散った幾つもの命達、天上の館に導かれし魂達。
悲しむ者もいるだろう、嘆く者もいるだろう。
だからこそ、彼らは笑って宴を開き見送るのだ。逝った魂が安心して登れるように、この世への未練が少しでもなくなるように)
ご案内:「ハテグの主戦場」からテイアさんが去りました。