2023/04/17 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にオウルさんが現れました。
■オウル > 一言で表すなら頭痛のする街である。
少年は神聖都市ヤルダバオートのメインストリートを歩いていた。
時間的には夜、天気は月も星も見える晴れ。
今夜の仕事は『ポーション』配達、『飴玉』配達と二つ。
ひとつは依頼者の御指名でギルドから直々のクエスト、顔見知りと呼ぶには反吐が出る依頼者に『ポーション』を届け終え、もうひとつの『飴玉』はついでにそこらの聖職者や子供達に配布して、顧客を増やしてこいとの事だった。
まあ『普通』じゃない飴玉なんだろうな、とは思っても口に出さない、報酬の高さから察してその普通じゃない、どころかきっとろくでもない、所まで想像できる。
魔力の循環を高めてハイにする奴か、少々依存効果のある発情促すアレか、知ったことじゃないので早々に二つ目を終わらせる為に通りを歩いているのだが、人気がない。
外灯が道を照らしているし、通りに面したお店もやっている気配もあれば、今だ祈りの声と教えの声が聞こえてくるので、人はいるのだと思うが……通りを歩いている者は誰もいない。
「そうなると、だ。
教会に入り込むか、孤児院に潜り込むか、下層に足を運ぶか、何だけど……。」
指折りで自らの提案を数えた後に、大袈裟なほどに大きなため息を吐き出し、疲労が見える苦味混じりの笑みを浮かべて、肩を落とす。
どれも面倒な手法だから。
教会に入れば中々でてこれないだろう。
孤児院も以下同文。
下層に行くと危険がマシマシ、トラブルに巻き込まれる可能性も大。
さて、どうしたものだろうか?
仕事を途中で放棄するわけにもいかない。
ので、とりあえず人の気配を求めて通りを彷徨う。
■オウル > 歩きながら飴玉の残り数を数える。
ズボンのポケットに入れた手の指先で皮袋の上から、飴玉が幾つあるか触れて数えるに、『あと3個』とそんなに多くない。
それでも数を減らすために自分を生贄にはしたくないけども。
「適当な手紙を書いて寄付を装って押し付けが最適解?」
歩きながら、小首を傾げて自分の提案と評価を口にする。
提案も評価もそれしかアイデアがないわけで、最悪は仕方なくの手法をとる事にしよう……出来れば直渡ししたいが。
石畳みが敷き詰められた通りを一人歩く。
それにしても、人っ子一人、シスター一人遭遇しない。
時間的なものなのか、今は祈りの時間か眠りの時間か、さてどうしようか。
時間は有限である。
何事も無ければただただ無常に過ぎていく。
仕方なく少年は今宵宿泊する宿へと戻ると早速手紙の作成にはいるのだった。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からオウルさんが去りました。