2022/11/30 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にシュティレさんが現れました。
シュティレ > 神聖都市ヤルダバオートと呼ばれる都市です、私は今、此処に来ております。
理由は……あるにはあるのですが、今ではそれは副次的な理由でしかないのでしょうから、結末物見遊山という所でしかありません。
この場所は、聖域、聖地とされる、この国の最大の宗教都市で、ヤルダバオートなる主神を祭る為の都市とお聞きしております。
周囲を見回せば、聖職者が主に行き来をしており、その中に、傭兵や商人、町民が歩く、という形になりましょう。
静寂の中にある都市と言って良いこの場所は、しかし、最近の戦争事情からか、傭兵や冒険者が増えてその限りではなくなっているそうです。
先程ジュースを買ったときの店主がボヤいておりましたのを聞きました。
この国は、全体的にそう言った事情での悩みが多い物と思います。
この国の為政者は何を想っているのでしょう、私の国であれば――――と、栓無き事を考えてしまいます。

さて、と気を取り直しながら、特に私には、目的の場所は在りません。
ゆるり、と足を踏み出せば、綺麗に整地されている石畳がヒールの音が静かに響きます。
こつ、こつり、と音を鳴らし、静かに行交う聖職者を眺めて進むのです。

この町にある違和感、はっきりとわかる其れ。
私は口にせず、先程買ったジュースの器より、少し、果実水を吸いながら進みます。
はしたないと思われましょうが。
ベンチにたどり着く前に喉が渇いてしまいましたし、冒険者という物はこういうのが基本とも聞いております故に。
今は冒険者ではありませんが、其れっぽくした方がいいかもしれないと思い、俗な動きをしております。

とは言え、何処か、座るところでも、と私の目は、右に左に、揺れて探すのです。

シュティレ > 道を行きながら、ベンチか、バルかを探し、視線を動かしていきます。バルの方がいいと思うのですが、街並みの多くは宗教関連の建物や、其れに付属したものになります。
冒険者ギルドと併設の……は在るのですが、其処は流石に騒がしくて好きになれません。
どうしたものでしょうか、と私は、思うのですけれど、まだ、慌てる時間ではありませんので、更に、と足を勧めます。

歩きながら、思考を飛ばすことにしました。この町に感じる違和感という物に関して。
それは、直ぐにたどり着きます、神聖都市と謳っている割には、そのような力が、少ないのです。
確かに、一部には強い力を感じますが、その程度であり、街中は、全くと言って良い程神聖な感じが無いのです。
私はアンデッド―――と言っても、死者ではなく、死を超越した存在という意味での、不死者なのです。
だからこそ、スケルトンやゾンビのような聖属性の魔法で、消滅するような脆弱さは無いのです。
聖属性の魔法が効くのは、血族が、魔に寄った存在だから、魔族だからというでしかありません。
共通的にダメージを受けるような魔法を食らえば、弱点など関わらずダメージを受けるのは当然のこと。
そう言う意味であれば、私もヒトと同じように生きていると言って良いでしょう。

思考が逸れましたが、兎にも角にも、加護という物や、聖なる力、という物、そう言った物が感じられないのが違和感なのです。
普通の街程度ではないでしょうか。
魔物除けをしている町という認識でしかありません。

ふと、視線を感じたので、私は足を止めて周囲を見回します。
敵意とか、そういう物では無さそうです、物珍しさの、好奇の視線、と捕らえられましたから。
近づいてくるも良し、離れるならそれで良し。

果実水を啜る私は、どう見えるのでしょう。

シュティレ > 私の視線に気が付いたのか、好奇の視線だったのか、それとも別の意図があったのか。
唯々、そのまま消えていったようだ、私に、如何と言う事が無ければ、気にすることもありません。
関わり合いにならないなら、それで終わりなのです、それだけの話なのでした。
視線が無くなったのであれば、私は視線を当初の目的……静かに飲めるバルか、ベンチを探すことにと思ったのでしたが。

「……無くなってしまいました。」

果実水を飲みながら歩いていたからなので、当然と云えば、当然なのです。
静かに落ち着いて飲むと言う事が出来ないので、其れなら別の事をしましょう、と近くのごみ箱に、ぽい、とジュースの器を捨てました。
さて、と視線を上に向けてみます、時間は良い感じに遅くなって来ているようです。
それならば、宿を探すか、其れよりも前にマグメールに戻るか、も考えなければならないでしょう。
ただ、この町はあまり着たことがありませんし、興味がない訳ではありません。
それなら、もう少し滞在して、この町を色々と見て回るのもいいのではないか、と思います。

そうしましょうと、私は決めてしまえばあとは行動のみでした。
宿を探し、宿を手配する、それだけの事なので、私は、逢魔が時へと変わっていく街の中へ。
夕闇に溶け込んでいくように、歩き去って行くのでした。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からシュティレさんが去りました。