2022/07/04 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にロブームさんが現れました。
ロブーム > 巨大な教会の中庭。そこは、一般人にも公開されている憩いの地。
小さいながらも人工的な池が置かれており、その近くのベンチに、ロブームは座っている。

「ふむ。良い場所だ。必ずしも教会は豪奢にしなくても良いというのが私の意見だが、こういう土地の使い方ならば神も喜ぶだろう。信徒たるもの、金は神の心に沿う様にすべし、だ」

という男は、しかし決して神の味方とは言えぬ存在だ。
魔王。そして、悪魔、その二つの属性を有する、人間の敵だ。
だが、彼は悪魔としては悪癖がある。
即ち、美しき心を持つ者を愛するという悪癖。

故に、彼は美しき心をはぐくむ、宗教や神を愛している。
信じている訳ではないが、時たまこうしてヤルダバオートに現れ、良き活動をしている教会に支援金を送っている。

「さて。もう少しここで休んだら、私も仕事に戻るとするか。
支援者がいつまでも敷地にいると、この教会の者たちも恐縮してしまうだろうからな――」

ロブーム > 「……む?」

そこで、男は何かに気付いた。
視線の先にあるのはロザリオだ。
宗教都市だ。シスターや神父でなくても、信者の証やファッションとしてロザリオを付ける者は多いが……。

「ふむ……持ち主を調べようと思えば調べられるが、やや億劫だな」

見つけ出したとして、どうしてそのロザリオの持ち主が解ったのかという話にもなりそうだ。
魔法使いと嘘をついても良いが……魔王である自分が、人間の職業名を名乗るのは、あまり気乗りのする嘘ではない。
謙譲の心を持つ者は好きだが、自分自身がそれを持っているかは別の話だ。

「少し探して見つからなかったら、此処の管理者に渡すのが、一番穏当か」

この場に捨て置いても良いが、此処は神を信じる者の庭だ。
彼らの心の美しさに敬意を払い、偶には善行をするのも良かろうと。