2021/11/05 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 路地」にグァイ・シァさんが現れました。
グァイ・シァ > 深夜。
空気がしんと冷えたころには神聖都市の表からは人通りが絶える。
家、或いは協会、或いは他の建物へと皆引き揚げているはすだが、特に喧噪が漏れてくることもなく、示し合わせて押し黙ったような静寂が都市を覆っている。
特に教会が立ち並ぶ辺りでは団欒の声さえ聞こえてこない。
ただ時折犬か猫かが通りを横切って、時間が確かに流れていることを思い出させてくれる。

その背の高い建物が立ち並ぶ通りの裏路地。規則正しく灯された控えめな街灯は、路地の狭さ故に逆に蟠る闇を濃くする。まるで照らされたそこだけ都市から切り取られて残されたような。

その闇濃い闇を危なげもなく歩く朱い髪の女がひとり。
神聖都市からすれば異教徒とでも呼ばれるのかもしれない。薄汚れたシェンヤンの道着を纏って、目的ありげに路地を進んでいる。

「――――…」

分かれ道。
女は片眉を上げただけで、特に足を止めることは無く左、表通りから更に離れる方へと足取りを進める。

(――――血の香り、或いは)

何が己をこの街に引き寄せたか女は知らない。知ろうとも思わない。
只惹かれるがままに、『悪魔』と呼ばれた女の姿をしたものが神聖都市を行く。

グァイ・シァ > この都市に於いて、果たして忌まわしいとされるのはこの女の存在か、それとも女を引寄せたそれそのものか

女の辿り着いた先は―――――

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 路地」からグァイ・シァさんが去りました。