2021/08/18 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にシシィさんが現れました。
■シシィ > 都市の外れに位置する、小さな祈りの場。
商用をこなし、訪れた理由は───とくにはない。
異郷であり、異邦の女。この都市を訪れるとそれはより強く意識するから、あまり大きな聖堂を訪れることはしないせいかもしれないが。
古ぼけた石造りの建物を訪れる。どこか取り残されたようなたたずまいのその場所は、やはり人も少ないのか、静かだった。
黒い噂は絶えない都市でもあるし、それが半ば真実だとある程度の地位にいる人間だと気づいてしまう、見えてしまうものの──、こうした場所は、そういった俗世からは遠く切り離されているようにも見える。
実際はどうだかは知らないが。聖堂を管理する神官に声をかけ、いくばくかの喜捨を行い、礼拝の場へと歩を運ぶ。
不思議とすれ違う人はいなかった。そういうものなのかもしれない。
商用として訪れることはあっても、あまり深くこの場所にとどまったことはなく。
少しの物珍しさに誘われるまま、礼拝堂の中、ゆっくりと歩を進める。
柔らかな素材のワンピースの裾がそんな挙措にふわ、と広がり、揺れていた。
───あとはただ、静寂がそこにある。信仰の場所としては、よほどふさわしく感じもした。
「───………」
■シシィ > 壁に刻まれた浮彫や、はめ込み窓の模様───植物がモチーフながら、主神と思しき存在の逸話が表現されている。
古いもののようだが手入れはよくなされているようだった
ひとしきりそれらを堪能したのちに、改めて祭壇へと向かう。
点された燭台の明かりが、点々とその歩みを誘うように設置されている。それらの間を泳ぐように歩を進める。
ゆら、と翻るワンピースの裾をさばいて、たどり着いた祭壇の前でひざまずく。
祈りの作法はどこも似たようなものだが───指を組み合わせ、主神の名と、小さな祈りの言葉を紡いでしばらく。
特に願うことは、あまり見つからないので、旅路の安寧を祈る程度の簡単なものだが、そうしていた時間は存外に長かったようにも思う。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からシシィさんが去りました。