2020/10/09 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にジナイアさんが現れました。
ジナイア > 神聖都市に数多ある教会のひとつ
大きな礼拝堂を擁した荘厳な建物の中の一室に、今宵月光に照らされている姿がひとつ。

「…興味本位が過ぎたかな」

天井の高いその部屋には月光を落とす天窓がただひとつ。そのほかには調度品もなく、ただ無味でつめたい白壁が聳えて、今は固く閉ざされた鉄の扉が唯一の彩りだ。
佇む人影ーーー赤銅色の肌に翠の瞳の女は、月明かりを見上げなあら呟いたあとはそっと吐息を漏らす。

いつもの貴族の友人の『お遣い』を済ませて物見遊山で覗いた教会で、まさか『異教徒』だとか吊しあげにあうとは…

(まあ確かに彼らの神は信じていないが)

内心独りごちながら無味な部屋を見渡す。
手荒な真似はされなかったが、武器を取り上げられて問答無用でこの部屋に押し込められてしまった。
厄介なことに、この規模の教会で目をつけられたのでは割と正当な手段で出なければ今後の『お遣い』に差し支えそうだ。

「………さて」

考える光が、鉄扉を見やる翠の瞳に浮かぶ。
夜が明ければ、月光に浄化されたとでも言われてかいほうされるのか
…それとも……

ジナイア > 考えても仕方がない。
この国の文化は未だによく理解できない。

「待つしか無いな…」

ぽつりとまたこぼした言葉は、鉄扉の向こうに居る見張りと覚しき気配にも向けたものだ。
こちらが何もする気がないと感じれば、少しは気が抜けるだろう。

女は言葉通り、無味な部屋の月光の届かない片隅へと近寄ると座り込む。
ーーー朝になるか、それともその前に何事か起こるか。

熟れた唇にひっそりと笑みを浮かべると、暗闇の中でひとり、瞼を落とす…

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からジナイアさんが去りました。