2020/07/13 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にアマンダさんが現れました。
アマンダ > 夜通し彷徨い歩いたけれど、逸れた乳母と行き会うことは終に無かった。
朝の光が朽ちかけた聖堂の影を淡く彩り、瓦礫と化した教会の残骸を照らし出す中、
己は其れでも諦め切れず、半ば幽鬼の如き足取りで歩き続けていた。

「乳母や、乳母、や………何処に、居るの、
 ねぇ、………わたくし、どう、したら良い、の」

掠れた呟きにも似た其の声を、聞き届ける者など居るだろうか。
上等な絹のドレスは着崩れ、自慢の髪は解れて、足は痛みなどとうに通り越した。
けれども、足を止めてしまえば―――もう、再び歩き出すことなど出来ない気がして。
此処は神聖都市、何処かの教会に助けを求めれば、あるいは、とも思うけれど。
―――――未だ、他人の慈悲に縋る気にはなれなかった。

アマンダ > とぼとぼと当て所無く歩き続ける其の足が、辿り着く先は果たして。
其れを知るのは未だ、少し先の話―――――。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からアマンダさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にロブームさんが現れました。
ロブーム > 「ふム……。久方のアイオーン――今はヤルダバオートか。
多少、空気が穢れてはいるが、概ね変わりはないようだわい」

太った身体を揺らしながら、正装を着た男が歩いている。
服装のせいか、それとも単に暑がりなのか、脂汗をしきりにハンカチで拭っている。
ぎょろり、ぎょろりと辺りを見渡して、時折歩くシスターを獣欲の篭もった眼で見ては、別のシスターに目移りしている。

「偶には、こうして自分で獲物を取らねばらんわいな。
さあて、『心の美しい者』は何処に居るか……」

この男、実は魔族である。
というのも、彼は心の美しいものを堕落させる悪魔――
その『美しい』の定義はかなり幅広いものの、基本的にこういう信心深かったり慈悲深い者が集まるこの街は、男にとっては猟場である。
つまり、この場合の獲物とは、そういう心を持つ女性なのだった。

「さてさて、まずは適当に歩いてみるか……」

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にロブームさんが現れました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にロブームさんが現れました。
ロブーム > 「ふむ、あの娘など良さそうだの」

そう言って、男は彼女に声をかけた。
この後彼女がどういう結末をたどるのかは、全てはこの男の胸先三寸である。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からロブームさんが去りました。