2020/03/11 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にビデラ・フォーランハルトさんが現れました。
ビデラ・フォーランハルト > ヤルダバオートの一角、ゾハル聖堂騎士団の管轄する聖堂。
そこにまた、男の声が響く。

「何と痛ましい…親族からそのような者がでてしまってはさぞ不安でしょう
ですが、貴方が信仰している限り、貴方は確実に守られます。ただ…」

護衛の任務も一段落したところだ。
けれど、いわゆる下っ端である彼に休みなどは少ない。
むしろ、彼の方が休むのを拒絶している節もあるのだが…
それでも、任務が終わってすぐ眠ることなどできはしない。

今日もこうして、主教の教えを求めてやってくる者がいるのだから。
彼の目の前で泣き崩れる老婆が言うには、共に住んでいる息子がノーシス主教に反発し、神の名を汚す言葉を日常的に繰り返しているという。
それを聞いて、内に芽生えた怒りを抑えながら、表情を優しく作り出す。

「貴方の血を分けたご子息が、主から怒りを買っても、何ら不思議ではありません。
そうならないよう、私も協力いたしましょう。ご子息のお名前は…?
血縁として近しい貴方からの言葉だからこそ、素直に受け取れないという場合もあります。
ここは、血縁などのしがらみが全くない私が代わりに教えを説きましょう」

にこやかに、そう告げる男は、非常に人が良さそうに見えるけれど。
名前を聞き出したのは、確実に捕縛するため。
主の名をこの街で穢す輩には、しっかりと『布教』を施さなければならない。

主教に心酔しているこの老婆なら、息子が長期間姿を見せなかったとしても反発はしないだろう。

「ご安心を、奥様。私が最善を尽くします。どうか、ゆっくりと家で休息を」

最後に、優しく老婆の肩を撫で、聖堂の扉まで見送り。
一つ、息を吐く。
予定が一つ増えたが、自分の仕事もこなさなければ。
次に現れるのは、迷える子羊か、それとも。