2020/03/03 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にビデラ・フォーランハルトさんが現れました。
■ビデラ・フォーランハルト > 「ああ…それは痛ましい…。しかし、暗い寂寥の泥濘に沈むことはありません。
貴方の母君はノーシスの導きによってより清く、より明るい場所へと導かれるでしょう。
子が、これほどまでに敬虔に、主教を重んじているのですから…」
ヤルダバオート内部、ゾハル聖堂騎士団が管理する聖堂。
そこでは、週に何度か、従士階級が主になって、悩みの相談や護衛の依頼などを受け付けている。
今、優し気な青年騎士の前に居るのは、母を事故で亡くしたという女性。
相談部屋は個室になっており、防音の魔法もかかっているため、プライバシーが守られる。
女性は涙ながらに、どれだけいい母だったか、親孝行ができていなかったことなどを語っており。
青年はその女性の肩に手を置き、優しい笑みを浮かべる。
こうして、主教を説き、信心という根を広げていくのが彼の仕事だ。
ただ、もちろん…
「ただ、主教の導きがあっても人とは非常に弱く、脆いものです
…しばらくは、眠ることも難しいでしょう。これを、水に溶かして飲みなさい。ただし、他言してはいけませんよ。
それは主の導きによってもたらされた尊き霊薬。他言しなければ、貴方の心を幸福で満たすでしょう。」
そっと、親指の先ほどの小さな布袋に入れて渡すのは、神の塩粒と呼ばれる麻薬。
幸福感を与えると共に、強烈な依存性を持つ薬だ。
こういった、裏の仕事を広めていくのも、彼の仕事でもある。
こうして中毒者を増やし、次に塩粒を求められた際には寄進を要求することで、聖堂騎士団の資金源となっている。
女性が礼をしながら部屋を去っていけば一息ついて
(あァ…、今日もまた主教の信徒を導いた…、神よ、聖女よ、ご覧いただいておりますか…)
にやぁ、と恍惚の表情を浮かべる青年騎士。
腐り始めているこの都市を、彼は受け入れていて。
それも全て、主教と聖女のために。
「――――。…さあ、次の方、どうぞ」
しかし、そんな顔では布教もままならない。
しっかりと表情を整えて、次の相談者、あるいは依頼者を呼ぼう。