2020/01/19 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にプリシラさんが現れました。
■プリシラ > 白を基調とした瀟洒な聖堂、金糸の刺繍を施された天鵞絨張りの祭壇の前。
僧衣姿の己と、純白の司祭服に身を包んだ尼僧の間にあるのは、
普段、旅のお供として持ち歩いているロッドである。
今、女司祭は祭壇に捧げられたロッドに掌を翳し、
『穢れを祓う』儀式を執り行ってくれている――――筈だった。
少なくともそれらしき聖句が司祭の口からは絶えず零れ出しているし、
眼前のロッドは神々しく光を放ち始めてすらいるようだ。
ただ――――――
「あの………」
先刻から疑問に思っていて、尋ねようとしているのだが、
雑念を捨てなさいと命じられているために、どうしても訊けないことがあった。
傍らの香炉から、ゆらゆらと立ち上る煙の色。
漂う香りはごく淡く心地良いけれど、その煙の色が―――
毒々しい赤紫であるのが、何とも場違いで不思議だった。
相対する女司祭の顔が、不自然に紅潮してきているのも気になる。
そして、己もまた―――そわそわと、落ち着かない気持ちになり始めていた。
視線が時折堪え切れずに泳いで、閉ざされた外へ続く扉を見遣る。
もし、これが罠だったら―――――今にもあの扉から、狼藉者が現れるのでは、などと。
想像力を逞しくしてしまうのも、この香炉から漂う香りの所為かも知れない。
■プリシラ > ――――――祈りの時間は、未だ続く。
ロッドの穢れは祓われるだろうが、別の穢れを孕みそうな。
そんなひと時が果てるのは、今暫く後になるものと――――――。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からプリシラさんが去りました。