2019/12/01 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にジェイさんが現れました。
■ジェイ > 月明かりが、罅割れた天井の硝子から差し込む。
照らされる信徒の席には埃が積もり、祭壇に掲げられるべき神は撤去されてしまった。
入口の戸も開け放しになって、秋の風に蝶番の壊れた扉を揺らすだけ。
維持するべき人材も、必要もない。けれど、取り壊すには金がかかる。
要はそういう見捨てられた建物だ。
地下にあった、女を弄ぶ施設も今はその名残だけを残している。
使い道といえば、誰かがこそこそ逢引をするか、浮浪者が寝床にするか、密談にでも使うか。
少なくとも、神の家には似つかわしくない用件だけだろう。
「――諸行無常、と言ったかな。」
昔、どこかの国で聞いた言葉を口にする。
黒い服の男は礼拝堂の真ん中。信徒席の間に佇んでいた。
何か目的があると言う訳ではない。
王都からの護衛の依頼のついでだ。
――依頼主の聖職者は、報酬を払ってそそくさと教会に消えていった。
そこで何をするのかは、依頼には入っていないし、どうでもいいが。
王都に歩いて帰るには遅い時間。
宿を探すか、どこかで野宿をするか。
思案しながら足が向いたのが此処だった。それだけの話だった。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にルビィ・ガレットさんが現れました。
■ルビィ・ガレット > 無表情で、朽ち果てた教会に立ち入る。
……が、
「……………」
先客に気づいた途端、足取りに"わざと"迷いを生み出す。
表情も気弱そうな、相手の出方を窺うような。遠慮がちなものに。
――正直、半分ほど魔の血が流れていると言っても。教会など恐くはない。
そのへんの人間なども恐くはない。……だが、自分の正体をわざわざ、
初対面の相手に知らせてやる必要は無い。
飽くまで"躊躇いがちに"……を装いつつ、相手のほうへ歩み寄る。
第一声は、自分から行こう。先手必勝という訳でもないが。
「――まさか。人がいるとは思いませんでした」
穏やかな、柔らかい声。ぎこちない笑みを浮かべて見せる。
内心は、相手がどういった人物なのか気になっているし。
「どこまで猿芝居を続けたものか」と、表情に似つかわしくないことを考えており。