2019/10/13 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にマリアナさんが現れました。
マリアナ > 今宵、王国軍所属のエルフの姿は神聖都市にあった。
日中に行われた大聖堂での催し物にて、聖女の護衛を命じられての来訪だったため、翌朝には王都に帰還すべく出立する予定であった。
皆、場所を弁えた行動を心がけよ。と兵達に言った筈なのだが、蓋を開けてみれば王国軍にあてがわれた宿には兵士の姿は少なく、神聖都市らしからぬ賑わいを見せる酒場だけならまだしも地下に存在するという売春施設に向かった者も多いようだった。

嘆かわしい。
そんなぼやきも、上層部からして腐っているこの国では無意味だ。
エルフは悶々とした気持ちを晴らすべく宿から出ると、夜の散歩に向かう。
王都とは違い、静まり返った夜だった。地下はまた違うのかもしれないが、己が知ることはないだろう。

「――――王都より星がよく見えるな。」

教会の並ぶ通りで立ち止まった女。
夜空を見上げて僅かに表情を柔らかくする。
迷ったが、やはり眠る前に少し歩くことにして正解だったかもしれない。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にジェイさんが現れました。
ジェイ > 夜空から降り注ぐ星の明かり。
仮令、地上がどれほど腐っていても、その色合いは変わらないだろう。
だから、その内側さえ見なければ、夜はいつだって静謐だ。
そんな中に響くのは、女のささやかな独り言と。
立ち並ぶ教会から歩み出てきた男の微かな足音だろう。
黒い帽子を風から守るように軽く右手で抑えながら歩く。
そのまま、歩けば――ちょうど、立ち止まるエルフの女とすれ違う形になるか。

「今晩は。佳い夜だな――。」

軍服に身を包んだ相手にすれ違い様に向けるのはそんな言葉。
感情の籠らない、色合いの薄い声音。
同時に、常人なら気付かない程度に微かに微かに漂うのは鉄錆たような香り。
鮮血の、甘い香り。