2019/03/25 のログ
クレマンス > この本戯が始まった頃に見せた少年の表情とは違う。
穏やかな微笑みであったり、優しげな声音であったり、それは彼の内面に触れているように思えて聖女の心を殊更暖めた。
淫靡な結合を深める下半身とは別世界のように、近づいたままの視線は初めての恋そのものを表すように甘く。
頬に触れる指に気持ち良さそうに笑みながら、ズンと膣奥をさらに深く突かれては喘ぎ。

「……ひぁっ……はぁっ……ふ、ふふ……今日がいちばんしあわせです…から…ぁ」

未だギチリと肉棒に膣圧を押さえ込まれ、子宮口をしっかり捉えられているために、
相手か己か、動かなければ抜けそうにもない。
それ故に快楽は持続してしまい、頭がしゃっきりと戻るにはもう少し時間が必要そうだが、
それも幸福感を味わうにはちょうど良いのかもしれない。
気遣うように近づいた唇の真意を悟られ、向こうから唇が重ねられ、瞼閉じ。

「ンぅ♥…………ふ、……はぁ…♥
 ――――ギュンター様が好き……すき……離れたくありません……」

いくら生まれて3年とはいえ、精神年齢が人間の3歳というわけでもなく、普段は見た目相応に振る舞っている。
そのはず―――なのだが、恋というものは
ここまで欲求を抑えられなくなるものなのかというほどに、キスの合間に紡がれる言葉は大人気無い。
もちろん、自由になったら世界を学べと言われたことは憶えている。
好きに生きろと言われ、思い浮かんだのはもう少し広い世界で民と触れ合うことだった。
だがその一方で、こうして触れ合っている時間がいずれ終わると思うと我が儘になってしまう。
己が露わにした素肌を指先で撫で、鎖骨に触れ、肩のラインを辿り、奔放な発言をしてしまうのだ。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 聖女の瞳も、吐き出す吐息も、紡ぐ言葉も。
肉欲とは異なる幸福感によって甘く蕩ける様な色を湛えている。
快楽に喘いでいた彼女が、此処迄変わるものかと僅かな驚きを覚えながら、淫蕩に喘ぐ姿に薄く唇を歪める。

「…今日が一番幸せ、か。であるならば、此れからのお前はより大きな幸福の中で生きる事になる。広い世界で、幾らでもお前が望む事を成せるのだからな」

此の狭い神聖都市から彼女を解放する事が彼女にとって幸せな事なのだろうと言葉を紡ぐ。
彼女の好意を受け止めながら尚、自由である事の方が幸せであると思ってしまうのは、未だ好意に鈍感な部分があるからかもしれない。しかし――

「ふ……ん、っ………ふ…ぁっ……。
……おや。随分と我儘になってしまったな、クレマンス。お前には、幾らでも好きに生きる自由も、長い時間もあるというのに」

啄む様なキスの後、彼女から零れた言葉を耳にすれば、きょとんとした様に瞳を瞬かせた後、困った様な笑みで首を傾げる。
己の様な男と過ごす時間よりも、彼女が幸福を得られる術がある筈だと、穏やかな口調で告げるだろう。
それは散々に従属を強いる様な言葉を吐き出しながら、結局は彼女に幸せになって貰いたいと思ってしまった己の甘さであり、本心でもある。彼女の髪を撫でる己の手が、様々な者の血で汚れている事も、そんな言葉を発した要因の一つだろう。
彼女に好意を覚えたからこそ、己に思慕を抱く事が彼女を不幸にさせるのではないかという漠然とした恐怖感でもあったのかもしれない。

擽る様な彼女の手に僅かに身を捩りながら、未だ萎えぬ肉棒を抜く事も無くゆるゆると動かし続け、揺蕩う様な快楽と共に、壊れ物を扱う様な繊細さで再び彼女の髪を撫でた。

クレマンス > それは本音だったので、己がどれだけ得手勝手な発言をしたのか自覚できていない。
髪を撫でられ心が充足し、素肌に触れて体温を感じ、唇を重ねて情を深め、未だ繋がる下腹部から享楽までも得て。
それ以上の幸福が、外には有るのだと少年は言う。

「……私が好きに生きている間……ギュンター様はどこにいらっしゃって…何をされているのですか…?」

己を幸福にするために自由を与えてくれたことに、聖女は気づかなかった。
ただの子供のような我が儘とはいえ、離れたくないと伝えた己を広い世界へ放すのだ。
――――それは、共に生きるのは難しいということなのだろう。
この時間が有限で、いずれお互いの体温がそれぞれの肉体だけに戻るという事実を突きつけられたようだった。
一瞬の寂寥とした面持ち、声音を、自ら埋めようとするように、抱きつく。
揺れる肉棒の先端が、精液で膨張した子宮をぐりぐりと刺激してしまって、熱い息も相手の頬や肩にかけてしまうのだが。

「んっ……あっ、はっ……あさ……が……朝が、来ません…よ…に……」

怯えるような手に撫でられながら、己は夜が明けることに怯えて呟いた。
あなたが好き――という言葉は、何度も伝えた。
後はこうして己の欲求のままに甘え、縋り、神に懇願することしかできない。
神より愛する者をつくってしまった己を救うとは思えなかったが。

―――――唇が、少年の白い首筋に押し当てられる。
感触を確かめるように舌先が触れて、そして、ちぅ――と吸った。
朝が来るとすれば、少しでも長く己のことを想ってもらえるようにと、痕を刻もうとしたのだ。
己の胎には彼の痕が残ろうとも、相手は湯浴みしてしまえば己のものは何も残らないと、思って。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「……今迄と変わらぬよ。敵を倒し、謀略に耽り、血塗られた理想を目指す。聖女であるお前には、見せられぬ様な醜さでな」

彼女に自由を与えれば、己は再び一人で宮中の闇に沈むだけ。
今迄と何ら変わりない世界に戻るだけだ、と静かに告げるだろう。――自分こそ、狭い世界に生きているものだと、己を嘲笑う様にクツリと嗤いながら。

そして、己に縋りつく様に抱き着く聖女を受け入れ、僅かに悩んだ後、そっとその背中を抱いた。己の手が彼女に触れても良いのかと怯えながら、幼子をあやす様にその背中を撫でるのだろう。
だが、彼女から零れた声が。朝が来ない事を懇願する言葉が耳を打てば、その動きは静かに止まる。

「……朝が来るな、と言うのか。輝く様な、暖かな朝ではなく、この一夜が終わらぬ事を望むのか。…それは、最早神ではなく悪魔に祈るべき言葉だな。
――だが、お前が宵闇を望むなら。私が往く、冥府の様な闇でも臆さないと言うのなら。広く暖かな自由な世界ではなく、腐臭と汚物を煮詰めた様な人の世に沈むと言うのなら。………私と共に来い。クレマンス」

己が快楽に堕としたとはいえ、神に仕えていた聖女が自身の欲望の為に明けない夜を望んだ。それは、背徳ではなく背信に近い願い。冥府の悪魔に祈りを捧げる様な言葉。
それでも彼女が構わないというのなら、悪魔の様に他者を陥れる己でも、彼女の願いを叶えられるだろう。それが果たして本当に彼女の幸福に繋がるとは限らなくとも。
――結局は、己も彼女を手放したくなかったのだ。だからこそ、此れが聖女にとってより良い道では無いと知りながらも、低く、囁く様に問いかけた。

己の首筋に吸い付き、懸命に己の肌に紅い華を咲かせようとする聖女の髪を撫でながら。
聖女を堕落させる悪魔として、ぐちゅり、と僅かに肉棒を最奥に押し当てる。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からクレマンスさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。