2018/10/28 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にアザレアさんが現れました。
アザレア > 地下に広がる爛れた欲望の都の残滓を感じさせぬ、瀟洒な聖堂の祭壇前。
修道衣を模した衣に身を包み、ヴェールを被った娘は絨毯敷きの床へ跪き、
胸の前で両手を組み合わせ、深々と頭を垂れて、一心に祈りを捧げているように見える。

けれどその実、娘は下着の着用を許されておらず素足でもあったし、
聖堂で祈りを捧げる許しを得る代わり、頭が朦朧とするほどに強い薬を、
事前に投与されてもいた。
それでも、地上に出さえすれば―――そこは間違い無く外の世界に繋がっているのだし、
折を見て逃げ出すことも出来るだろう、と、娘なりに考えて応じた取り引きだったのだが。

現実には、扉という扉には屈強な見張りが立っており、
薬の効果は想像以上にひどく、娘の身体を蝕みつつあった。
早く、少しでも早く行動を起こさなくては、と思うのに―――
足が、腰が、どうしようもなく脱力してきて、言うことを聞いてくれそうにない。
このままではいけない、と焦れば焦るだけ、薬の効果が強くなるような気さえして、
俯いた唇をきつく噛み締め、痛みでもって意識を保とうとしており。

アザレア > そうこうするうち、先刻地下から娘を連れ出した男が、再び戻ってきた。

『もう充分祈っただろう』

冷たい言葉を浴びせられ、言い返す余裕も与えられずに引き起こされる。
見張りに立っていた男の一人も近づいてきて、左右から抱え上げられるように。
浅い呼吸の合い間から、弱々しく震える声で抗おうとするものの、叶わず。
男二人に抱えられた娘の姿は再び、地下の暗がりに消えた――――。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からアザレアさんが去りました。