2018/09/21 のログ
■ティリア > (だが、残念ながら。
如何に軍属としての訓練を始めたとはいえ、娘は所詮人に過ぎない。
この男が何者であるのかを…根本的に気取れず、見誤っていた。
人の形をしている、人と異なる器官を持たない、それ即ち人であるのだという当て推量。
銃弾が、只の人間に対してならば確実に致命打たり得ると。
地下を埋めるこの闇が、同じ人間同士であるのなら、暗視も出来る己にとっての優位だと。
その決めつけが如何なる結果をもたらすのかは、未だ…)
そう、か。――数日前迄の此処ではね。シェンヤンから来た商家の…妻と娘が捕まって、嬲られていた。
密輸事件とは何の関わりも無いのに、魔導機兵――あの、天使の紛い物を呼び覚ましたと言いがかりを付けられて。
異端への裁きという名目で…あぁ、神の威を借るなんて、実にタチの悪い遣り口で――犯されて。犯されて、只犯されて、いた。
(…東の国の言い伝えを思い出したから、だったが。
どうしてもその発想は。彼の地の者達が遭った憂き目に直結する。
男曰くの、勘違いした連中の愚行。未だ其処に、彼等の気配がこびり付いているのだと言わんばかり。
かつ、と。爪先が、あらゆる体液を染み込ませているのだろう意思床を蹴って音を立て。)
……取り返せる物なら取り返したい。
取り返したい、と願う人は、助けてあげたい。
まぁ…僕自身のソレは、貴男の言う通り……
(失せ物とは。喪失したのではない、亡失されたのだから。
最早この世に有らざる物を、如何にして取り返せと言うのか。
眼窩に象徴される、己の失せ物。
見透かしたような物言いに唇を歪め、嗤ってから。)
あぁところで。……どうして、こんな所に?
規制線は未だ残っていたと思うし、関係者以外立ち入り禁止で…
元々、此処に関わっていた者は。一昨日、昨日、で根刮ぎ検挙したと思うけど…?
(事後の捜査に引っ掛かってこなかった者でも居たか。
それとも、神聖都市のお偉いさんか何かなのか。
疑りは忘れていないのだ、と示す声音の棘と。未だ銃架に掛かった指と。)
■ルヴィエラ > (――此処で起きた事の顛末が、娘の口から語られる。
良く在る事だ、何かにつけて罪を押し付け、或いは捏造し
其の裁きだと嘯いて謂れの無い凌辱を延々と繰り返す
娘の語気は、まるで自分の事の様な憎しみすら帯びて響き
苛立ったように石畳を蹴る姿を眺めれば――僅かに肩を竦めて見せた。)
――此処では、其れこそが実に都合の良い正義だったのだよ。
だが、まがい物の正義は、実に簡単に慢心と油断を生む。
悪行を行う物は数居れど、自らの行いを神に押し付けるのは三流と言う物だ。
(大仰に悲しんで見せるでもなく、かといって笑うでもなく
穏やかな声音で、詳細は理解できたと、娘に感謝を告げる。
それから――ふふ、と、静かに微笑を浮かべて見せれば
未だ銃架に指を掛けた儘の娘へ、ゆるりと首を横に振って。)
――なに、其の昔立ち寄った事が在ってね。
時折こんな風に、気まぐれにふらりと寄る事が在るのだよ。
とは言え、本当に昔は、私の様な者が入る事は出来なかったのだが…。
(何処か懐かしむような声音、それから、ふと階段の上へと振り返っては
上を示し、再び彼女の方へと向き直って。)
―――…其れと、もうひとつ。
生憎ながら――上に居る彼らは私には気付いて居ない様だ。
勿論、キミが下にまだ残って居る事にも、ね。
(――刹那。 階の上から、出発の、撤収の号令が遠く響くだろう。
無論、軍人である彼女も、きっとそこに混ざらなければならない筈だ、が。
――上に向かう階段の前へと、己が、立ち塞がる形)。
■ティリア > そうとも、貴男の言う通りだ。
例え為す事柄が悪業だとしても。其処には、責任を伴うべきで。
同時に、己が力を奮うべきだ。何もかも借り物でしかないのなら…意味も無いし、価値も無い。
(善悪だけで事を判断するつもりはない。
例えば国家という大きな生物を生かし続ける為には。
護る為にも、戦も起こり得ざるを得ないのだろうし――奴隷制という物も。
山程の諸問題を抱えており、改善していかねばならない事項ではあるが。
かといって無くなってしまえば、膨らみすぎたこの国にとって、労働力も何も立ち行かなくなる必要悪。
だが、彼等は違った。悪を悪と自覚する事も、自ら責も義務も負う事をせず。
剰え実に都合の良い形でのみ、神に縋り神を騙ってみせたのだ。
例えば、下はと言えば貴族の出として。人を殺せる武器を預かった身として。
権利に伴う義務を否定した愚かしさは、剰りにも度し難かった。
勿論、目の前の男にそれをぶつけても。何ら意味はないだろう。
それでも、堰を切ってしまった苛立ちは、そうそう簡単には止まってくれず。
殆ど一息に言い切ってしまった後から漸く。少しばかり息を弾ませながら…頭を下げた。)
失礼、つい。……つぃ、ね。本当に、嫌な事ばかり思い浮かぶから。
……そうだね。こんな所。出来るなら、入って来ない方が良い。
(少なくとも、あの似非聖職者達とは無縁の人物であるらしいとだけ、察した。
多少の疑心は緩むものの。では、何者なのかという根本の疑問。
改めて、その事を問う――つもり、だったのだが。)
…え……?
(待て。この男は何を言っているのだ。
首を傾げたその刹那。階上から響いたのは上官の声。
それどころか、点呼の号令すら明確に。
一人、二人――全員が揃っているという確証の言葉は明らかに、異様。
何せ此処に一人。…娘が確かに、この場に存在しているというのに。
まるで端からその一人は存在しなかったと。或いは、誰も彼もが、一名忘れてしまったとばかり。
…何故、どうして、の疑問が。立ち塞がる男に直結する。
次の瞬間、銃の一つを抜き出して…前に。正面に、男の額に向けた。)
――――貴男の、仕業…なのか。何のつもりだい?
もう、此処には何も無い。得る物も、懐かしむ物も。それこそ…取り返せる物も何一つ。
意味なんて無いんだ。だから、退いて。……僕が。引き金を引く前に。
(唇を引き結んでいた。ともすれば震え、ぶれそうになる照準を、手元は必死に押さえ込んでいた。
…異常。異様。少なくとも、その男が只者ではない、とだけは。
確信せざるを得なかったから。)
■ルヴィエラ > この世界は、善悪だけでは量りきれない物だからね。
だが、此処に在ったのは唯の傲慢さ、其の象徴だ。
―――……私としても、消えてくれたのは素直に喜ばしい事では在る。
(――ただ、其れは恐らく彼女達とは異なる意味合いで、だ。
国家に、軍に忠誠を誓うならば、其の行動には常に責務が伴うのだろう
だが、己にとってそんな事は些細事でしかない。
ただ、娘の言葉に最後まで耳を傾けたのは、其の感情に興味があったからだ。
正義感と言うだけではない、執着の様なものを――きっと、感じ取って居たのかも知れぬ
息を乱した彼女へと、気に止まぬよう笑って告げながら。
頭上にて響き渡る、撤収の号令に、おや大変だ、とばかりに首を傾ける。
上に居る誰しもが、此処に居る娘の存在になんら疑念を抱かないまま
馬のひづめの音が、軍靴の音が、ゆっくりと移動を開始して行くならば。)
――――……どうやら、忘れ去られて仕舞って居るようだね。
或いは…、……彼らには、キミが帯同して居る様に見えたのかも知れない。
いずれにしても確かめねば判らないだろうが…、……おっと、其れは危ない。
(何処かからかう様な声音が響き、其の間にも、行進の音は遠ざかる。
とうとう、抜き放たれた銃の砲口が此方へと向けられるなら
おっと、と両掌を掲げて見せる物の――表情に焦りの気配は微塵も無く。
――彼女は気付くだろうか。
階段側の明かりに照らされた腕の影が、彼女の背後に位置する事を
そして、其の影から、二匹の黒蛇が床を這い、其の足元へと近づいて
脚を、ずるりと這い上がり――其の、胎へと沈み込んでしまう事に
気付けば振り払う事も出来よう、けれど、其れでは銃口は外れて仕舞う
気付かねば、其の胎へと入り込む蛇が、一瞬で子宮へと絡み付き
――卵巣に、其の牙を通して媚毒を、流し込んでしまう、か)。
■ティリア > だから信じるなら。世の善悪ではなくて、自分の善悪。
少なくとも私は………そう、思っている、よ。
(声音は少し沈み込んだ。それを信じているのではない。それ以外を信じられないだけ。
物悲しさを自覚しているからこその消沈は。されど、決して長くは見せないだろう。
…より正確に言えば。それどころではなくなった、と言うべきか。
確実に遠離る同胞達。間違いなく…己は居ない事になっていた。
或いは別の可能性もあるが、男の言うようにそれを確かめる術は、この場には存在しない。
一刻も早く地上に出るか、同胞達を追い掛けるか…だが、それにはどうあっても。
立ち塞がる男を排除する必要が有った。
否、そうしない限り。この男を何とかしない限り。
更に事態が悪化する事になると――本能で理解させられていた。
既に片手は銃口を向け。もう片手も、腰の二丁目を手探り乍ら。)
そうだね、あぁその通りだ。…魔術?魔術士?
少なくとも導士には見えないし、彼等の報復だとも、それだったら相手違いだとも思わないけど――
(言葉を止める事が無いのは。何でも良いから話していなければ。交わしていなければ。
正体不明の不安感に圧し潰されそうだから。
幾つかの可能性を視野に入れつつ…この時、右目の魔具は。
目の前の男の顔と、魔道機械の件で取り調べられた者達の記録とを照合していた。
数多保存された書類に、似顔絵に、それ等の記録が次々と眼窩を過ぎり……
だからこそ、気付かなかった。只でさえ狭まった視界の外。
男が眼前だからと、暗視を切ってしまった影の奥から。薄黒い何かが這いだした事に。)
―――― ………!?
(気が付いたのは、恐らく、既に手遅れとなった時。
脚に絡み付いてきた何かは、見下ろした時には内腿に迄這い上がり、スカートの中に消え。
視認出来ぬ内…きっと、実体を持たぬかの如く胎に溶け。
服生地を盛り上げた異物の消失に目を見張った…次の瞬間には。
急激に、胎の奥が燃え上がる。)
っ ――…!? っひ、 ぁ゛ …何 何し、てっぇ゛ …っっ っ…!!
(視界毎焼かれる如く。一瞬で、胎から脊髄、脳髄に駆け上がってくる熱と…悦。
瞬間見開かれた生身の瞳は。露骨な、恐怖に塗り潰されていた。
瞬く間に燃え上がる胎の底――子宮。忌むべきとしか言えない、牝の場所。
堪らず膝が崩れ落ちていく刹那、躊躇も何も無く引き金が引かれ。
轟音。火薬が爆ぜ、鉄弾が撃ち出され――但し、この状態で。果たして男に当たるやら。
そして、地下に反響する銃声の余波が消えぬ内。
蹴りつけた床の上にへたり込んでいた。
空っぽになった銃を投げ出した両手が、必死に下腹を…胎を押さえつける。
其処を燃え上がらせる物。沸き上がる物。…熱が、意味する物。
全てを堰き止めたい、潰してしまいたい、というように。)
ひぅ゛ ……っぅ、っぁあ、 ぁ ぁ、 ぁ ぅぁ ぁぁ…っ………!?
■ルヴィエラ > ―――正しい、とは必ずしも言えない信念だが、私は嫌いでは無いよ。
後は、その信念と言う物を何処まで貫けるか次第、だが…、
……ふむ、成程。 其の眼は何かしらの仕掛けが在るのだねぇ。
(選んだのではなく、他に頼れる物が無かっただけ。
まるで、そう訴える様な其の沈んだ表情は、けれど、次の刹那には霧散する。
其の腰元に在る幾つもの銃は、当たりさえすれば間違い無く、人を死に至らしめる物だろう
ただ、一つだけ問題が在るとすれば――其れが、人間相手であった場合には、だ。
一瞬、娘の眼から何か微弱な魔力を感じ、仕掛けが在る事だけは理解する
次の刹那、己が仕掛けた不意打ちから、逃れる事叶わなかった娘の反撃の一発が
けたたましい反響音と共に、己が胸へと正確に撃ち込まれ、心臓が在る筈の部位を貫き――
――背後の壁へと、何事も無かったかのように減り込んだ。)
―――……いやはや、何かしらの魔法が込められて居なくて一安心だ。
それにしても、慌てた中でも正確な一撃だったよ、私で無ければ間違い無く死んで居た。
……なに、大したことではない、唯の正当防衛と言う物でね。
(先に威圧してきたのは、相手だと言わんばかりの道化めいた声音。
胸元をさっとひと払いした其処には、既に弾痕は存在せずに――揺らめく闇。
地面へと倒れ伏した娘の傍へと、ゆっくりと距離を詰め近寄れば
其の傍にて、娘の背に片掌を置きながら、己もゆっくりと屈み込み。)
私はキミの敵では無い…色々と理由は在るのだが、まぁ、寧ろ其の方が信じられないだろうから
―――唯の気まぐれ、と言う事にして置こう。
(どくり、どくりと、黒蛇の牙より注がれる媚毒は、女の身体を卵巣より発情させて行く。
強烈な、生物としての本能めいた疼きを、無理やり暴き出す其れは。
過去、其の身を快楽と凌辱に身をやつし、喰らわれる事を知って居る娘には
残酷なまでに、悪しき記憶を呼び覚ます事と為るだろうか。
既に女としての機能を有して居る子宮が、目覚め、熟れて、発情し
抑え付けようとする娘の掌を裏切る様に、強烈に脈打ち始めるのを伝えて仕舞いながら
腰に置いた掌が、ずるりと娘の身体の中に沈み込む。
次の瞬間、媚毒を注ぎ込まれている最中、堕落へと引きずり込まれようとして居る其の器官を
―――掌が、包み込み、甘く絞り上げる、か)。
■ティリア > その為に、此処に居た…と。思ってくれて構わないよ。
人間何時だって、迷った時は、原点に立ち返るべきだ。
此処は、私とは関係の無い場所だけれど――良く似ていた、から。
(そして、何か一つに定めてしまったから。…縋ってしまったなら。
例えそれが、復讐という、酷くどす黒い感情だったとしても。立ち続けるには必要だった。
答えこそしなかったが、裏を返せば否定しなかった魔具の瞳。人を殺す、その為だけの武器。
それ等にも、依って立っている娘だが。いざそれ等が無力だと…通用しない相手がいるのだと。
世界の真理を思い知らされたその時には。もう、取り返しの付かない状態だった。
確かに、弾丸は男の躰を射貫く。肋をすり抜け、胸郭を貫き、心の臓を抉った筈。
実際、その胸元には確かに貫通痕すら刻まれているというのに。
男は顔色一つ、声音一つ変えなかった。痛苦など有って無きが如しと言わんばかり、揶揄すら浮かべ。
…見開いた瞳の先。弾痕すら呆気なく掻き消える。
無かった事になる銃創。居なかった事にされた娘。…きっと、そういう力なのだろう。
本当に己は引き金を引いたのか。壁に突き刺さった弾は現実なのか。
死んでいた、等という言葉も…戯れ事なのか。おためごかしなのか。
何一つ解らず。そして、確かめる術もない……そも確かめにすら行けなかった。
頽れ、座り込んでしまった床の上。情けなく両脚が投げ出され、冷たい石を尻の下に感じるのと共に。
ぐじゅりと。不快感その物めいた、濡れていく感覚が。胎の底に湧きつつあった。
呆気なく。こんなにも呆気なく。熱が躰を狂わせる。)
ぃ………い、や ぁ…やめっ、 ひぐ…!
て、き …そう、敵、敵だ―― …!こんな、っ こんな事する、のは………
お前は…お前みたい、な、男が 、僕を――私、を …!
(そして、その熱は。過去に味合わされた熱と比しても、特段に痛烈だった。
先ず、即効性が有り過ぎる…娘には理解しきれない事だが、浸透どころか直に、子宮へ卵巣へ与えられたのだから。
…同時に。恐らく、実体すら無い蛇の牙は。未だその場所に突き立てられ、毒を流し込まれ続けている。
心臓が荒く跳ねるその度、全身を駆け巡る血流が、子宮から拡がる熱毒を着実に…拡げていく。
拡がり、伝わり、染み渡り。何処迄も発条に苛まれていくその上で。逐次補填され続ける蛇毒は、拡散し薄まる事が無い。
徹底して熱の中核を子宮に、その双翼に。
僅かにでも気を抜けば、下腹を苛む両手が滑り落ちて。恥も我も無く、身も世も無く、浅ましく自らを慰めてしまいそう。
実際、己の指でも何でも良いと、疼きに疼く膣孔が。ますます淫蜜を垂れ流す。
男の手が、触れた。例えそれが服越しで。背中や腰でしかないのだとしても。
他者に触れられる事と…それが、異性である事と。たったその二点だけで、剰りにも狂おしい。
燃え盛る牝孔を穿ち抜き、嬲りに嬲って、更なる熱を注ぎ込んでくれるのは…対極の生き物、牡だけなのだと。
思い出してしまうから――もう既に。牝へと堕ちる事を知っている、忘れたいだけの肉体が。)
―――― ……、っ…!? …… っ、っ …ッ――――!!!
(…次の瞬間。もう、言葉にならなかった。
この世の誰が…突き上げられるのでも揺さ振られるのでもなく。
子宮を、直接手掴みで愛撫される等という経験を持っているだろう。
幻の如く、我が身の内に沈み込む男の手。そんな常軌を逸した光景への恐怖も何も押し退けて、快楽が爆ぜる。
胎の中枢その物を揉みしだかれ、搾り出される快楽は、人の身で耐えられる筈もなく。
声が声にならず、唯々天を仰いで藻掻き、震え…過剰な程の痙攣は。
振り切れた快感が頂点に達し…そして、其処から戻れない事を。男にも…娘自身にも見せ付けていた。)
■ルヴィエラ > (――原点に立ち返る。
確かに、そういう意味では娘にとって、この場所は相応しい場所なのだろう
けれど、今となっては、原点に返ると言う其の言葉は、全く別の意味と為る
人で無いと察せて居たなら。 その力量差を量る勘が在ったなら。
或いは不安と恐怖に立ち向かい、堂々と対峙できる胆力が在ったなら。
きっと結果は、また随分と異なって居たのかも知れない。
己を、敵であると断じて、そして、問答無用で突っぱねるなら。
其の時点で確かに、己は彼女の敵となって仕舞った。
ならば、敵である以上己がとる行動は、ただ一つ。
――大いに、愛でる事だけだ。)
――――やれやれ、これはもう、話も聞いて貰えそうにない。
君が過去にどんな仕打ちを受けたのかは知らないが、其れと私は無関係だ
私はただ、もう少し友好的にお近づきに為りたかったのだが…まぁ、仕方ない。
(――掌が、娘の子宮を余りにも丁寧に、丹念に愛でる。
本来、そんな手管が通用して良い筈がない。
触れられる筈の無い器官を、直に指先で揉み絞る手管なんて物は。
けれど――指先が齎す物は、間違い無く、悦。 何処を捏ね、何処を絞り、擦り上げて揺さぶって
触れ方を判って居るかの如くに、尋常では無い愛撫が与えられて行く。
其の傍で、まるで其れが片手間の様に言葉を響かせて居れば
強烈に震える娘の身体を、もう片方の腕を胸元へ回して崩れぬ様に支え
其の合間に、何処からかわき上がった、影で出来た寝台の如き台座に、其の身体を伏せさせてやり。)
――…ふむ、確かに…随分と荒らされたようだね、君の身体は。
様々な場所が傷付いたままだ、此れでは満足に子を孕む事も出来まい?
……どれ、少し弄ってみようか。
(――ふと、子宮を文字通り掌握しながらに、聞こえて居るかも怪しい娘の耳元へ囁いた。
次の刹那、掌が増える。 娘の、今現在進行形で媚毒を流し込まれている卵巣を、両の掌が柔く絞る様に愛でれば
其処から、媚毒とは異なる熱が、次第に雪崩れ込んで行く、か。
其れは、治癒の力。 凌辱と暴虐の日々によって、傷付いた娘の胎を癒す力。
雌として、まだ失った訳では無いモノを、再び取り戻させて行く其れは
――けれど、代償めいた背徳の快楽を同時に齎して仕舞う筈、か。
即ち――強烈な、排卵を。 産み落とし、絞り出す事への、如何しようも無い、快楽を)。
■ティリア > 【継続】
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からティリアさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からルヴィエラさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にグスタフさんが現れました。
■グスタフ > 黴臭い部屋だ。蝋で固まった薄布の向こうに何かがある。
聖印を切りながら、聖言を唱える。
運命の正しきかな。死の聖なるかな。
それは彼のような神罰の代行者が唱える誓言。
「もうすでに私の人生の大半はあなたに捧げた――」
服薬暗殺者としての生は苛烈で。ただで済むわけはなかった。
クスリの度重なる使用は寿命を確実に削り、後何度使えるかというところまできている。
「だが、まだ足りない」
拳を握る。老いたからだ。
若返ることはないが。力強さだけはまだ変わらない。
「まだ足りないと、仰られるのですね」
首を垂れる。薄布の向こうに。
そこには何もないはずだが。なにかある。
恭しく、どこからか現れた盲目の従者の手からそれを受け取る。
「承ります。聖釘を」
目の前に掲げたそれを、左腕に握り込んだ。
血が滴り、釘は男の手の中へ潜り込んだ。
ただ、それだけ。
釘を渡した従者は自害し、事切れ。
男は立ち上がり、踵を返した。
■グスタフ > 迷路のような地下を抜け。街に出た頃には夕暮れも過ぎ、とっぷりと暮れていた。
深く息を吸い込む。少し冷たい夜気を肺に取り込み、吐き出す。
頭をぼりぼりとかいて。夢から覚めたかのように。
「まったく、どちらが夢かねぇ」
いい夢とわるい夢。どちらも現実から遠く感じる。
火を用いない葉煙草を噛みながら歩く。
苦いのはなんだ。現実か。それさえも夢か。
股間がむずがゆくなる。
「まったく、夢なら色っぽいのがいいぜ」
■グスタフ > 左の掌に浮き出ているのは中に入り込んだ異物。遺物。
奇跡の欠片だ。神の御業か、信仰の証か。
手を握っても痛みはないが。なにか心が削られる思いがある。
人目がして、袖で手を隠すと歩きはじめる。
これからはそういう生活だ。見せびらかすようなものではない。
こんなものを手に入れたところで、生活を変える気もないが。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からグスタフさんが去りました。