2018/09/05 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にローズマリーさんが現れました。
ローズマリー > 今宵もまた、清めの『儀式』の場に、修道女姿の女は居た。

品はあれど贅を尽くした内装、瀟洒な聖堂に設えられた祭壇の上。
修道衣に銀のロザリオ、白絹で目隠しを施され、祈る形に組み合わせた両手の手首を、
胸の前で一括りに、やはり白絹で縛られた女。
衣の裾は下腹まで捲り上げられ、両脚は―――――両脚は、僧衣の男の肩へ担がれ、
ゆらゆらと人形のように揺すられている。

僧衣の男が数人、貴族然とした身なりの男がやはり数人――――そして、
今宵は前回の夜と、少しだけ様子が違っていた。
『徳高き殿方に、清めの儀式への御協力を御願い致します』という貼り紙が、
聖堂の入り口へ掲示されており。
傍らに立つ僧衣の男に声をかければ、儀式の概要を教えて貰える。
幾許かの金子と引き換えに、儀式への参加を許される、という――――

もはや、幾らか舞台設定に凝っただけの娼館のようなものだろう。
幾度目かの洗浄を受けながら、そんな風に考える、女の心は未だ醒めていた。
悲鳴も、嗚咽も、啼き声も、すべて芝居じみていて。
現に―――――己は未だ、一度も達していない。
つまらない、と、ひそかに溜め息すら吐いていた。

ローズマリー > そうして―――――夜が明けるまでに、幾人の『善意』を浴びることになるのか。
気休めにすらならないと誰もが知りながら、儀式は続く。
幸か不幸か、女がもう一人の人格に変わることも無く―――――。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からローズマリーさんが去りました。