2018/07/13 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート エマヌエル教会」にリータさんが現れました。
リータ > 生神女は1日の大半を教会で過ごす。

日差しが落ち着いてきた午後、少女は長椅子に座り、窓からの日光を頼りに本を読んでいた。
聖堂は他の教会に比べ質素で薄暗く、神を祀る祭壇だけが煌びやかである。
朝からちらほらと見えた宗徒の姿は途絶え、扉は開いたままなのだが
日が傾くまで生神女と修道士だけの時間が続く。
そんな空き時間、少女は王都で手に入れた本を読み耽る。
魔族の国について書かれた本なのだが、誰も全貌を知らないのだから真偽は不明。
捕虜や斥候から得られた情報を記してあるようで、事実より筆者の見解が多い。

リータ > 「………あまり参考にならない…。」

聖職者らしい性格の少女にしては珍しく、愚痴っぽい独り言。
百聞は一見に如かずという通り、それが叶うのなら問題ないのだろうが、
少女は教会から離れることは少なく、離れたとしても王都に滞在するくらいで他国に渡った経験などない。

過日の遠征ではどの程度の数、帰還者がいたのだろうか。
どこまで深く辿り着けたのだろうか。
それによっては己が今手にしている本より、よっぽど写実的な文章が出来上がるのではないかと思うが、詮無いこと。

「『外のことは気にするな』……。」

父によく言われていた言葉をなぞる様に口にする。
己の義務はここで果たすべきであり、外は関係ない。
おそらくは、そういうことなのだろう。
ぱたんと本を閉じ、脚の上に置くと瞼も閉じて瞑想、しばし。

リータ > 気を落ち着け、ゆっくりと瞼を開ける。

国は混沌としており、立場の弱い者から屠られている。
やはり必要なのは、誰もが認めざるを得ない様な神の奇跡ではないだろうか。
ならば己がすべきことは――――

本を抱え立ち上がると、開いた扉を振り返る。
そろそろ日は傾きはじめており、家路に急ぐ人々が道を歩いている。
間もなく幾人かの信者が訪れるはず。

その時まで少女は祭壇の前で両膝をつき、祈りを捧げる。
今日まで毎日そうしてきたように。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート エマヌエル教会」からリータさんが去りました。