2017/10/24 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にローズマリーさんが現れました。
ローズマリー > ―――――気が付いた時には、暗闇だった。

何処か冷たい床の上へ、後ろ手に縛られ、目隠しと猿轡まで施されて転がされている。
但し、己にとって幸いな事に、両手首を一括りにした縄の結び目は緩く、
必死に身を捩っているうち、手首に幾つもの擦過傷を作りはしたが、何とか解くことが出来た。

猿轡を外し、目隠しの布を外して身を起こせば、其処は四角く薄暗い石造りの部屋。
部屋の片隅に置かれた簡素な寝台、其の傍らには、何が入っているのか見当もつかないチェスト。
まるで牢獄のような―――其の部屋の出入り口は唯一つ、正面に見える頑丈そうな鉄扉か。

「如何、して……此処は、一体…何処、―――…」

分らない、分らないが然し、留まっていて良い場所で無い、事だけは知れる。
何かの薬を嗅がされでもしたものか、ふらつく四肢を叱咤して立ち上がり、
扉に取りついてぐっと押してみる。

―――――当然の如く、開く気配の無い扉。
己の目線の高さより少し上方、格子の填まった小窓から、精一杯背伸びして覗き込んだ先には、
部屋同様、薄暗い通路が見える。

そうして―――不意に。
何処からか聞こえてきた悲痛な女の声に、己はますます身を強張らせた。
此処に居てはいけない、絶対に、此処は良くない場所だ。
無骨なドアノブを見つけ、ガチャガチャと音を立てて開扉を試みる。
如何して、此処は何処、誰がこんな事を―――頭の中を支配するのはそんな疑問より、差し迫った恐怖だった。

ローズマリー > 一頻り、ノブを回してみたけれど扉が動く気配は無く、
先刻とは別の方向から、別の女性の悲鳴―――否、嬌声が聞こえてきた。

此処、が嘗て己の預けられていた修道院の地下だとは知らず、
此処で何が行われているかも知らず。
逃れられない己はふつりと意識を失い、其の場へ崩れ落ちてしまう。

深く、深く、更に深く。
落ちた意識が覚醒をみるのは―――――果たして。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からローズマリーさんが去りました。