2017/09/14 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 教会」にエルバートさんが現れました。
エルバート > (初秋と言えど太陽は未だ夏を忘れていないらしい。
真上から降り注ぐ日差しに汗が止まらず、男は屈み込んだまま首に掛けていたタオルで額を拭った。

街外れの森の中にあるこの教会は、一見するとひと気がないものの、
訳ありの貴族や脱走を叶えた奴隷等、何らかの理由で人目を憚って祈りを捧げたい者には人気らしい。
今日も何人か出入りしたが、女性などは特に、馬車を降りてから入り口に辿り着くまで、
小道を圧迫するほど伸び放題の草むらに足を取られるようだった。
建物の脇には小さいながら畑や井戸もある。
こうしてたまに草抜きや剪定をしなければ、容易に緑に飲まれてしまうだろう。
手にしていた鎌で雑草を刈り、花々やハーブ、魔法植物は残していく。
もう少し日が落ちれば気温はましになるだろうが、森の夜は早い。何より危険だ)

暑いですね……。

(誰に言うでもなくそう零すと、手袋に着いた土を軽く払って)

エルバート > (早々に勤めを終えた同僚の神官たちは、揃って娼館へと出向いて行った。
何度目かの誘いを笑顔で断ったのは、別段娼婦を見下げていたわけでも、
神職のあるべき姿を誇っていたわけでもなかったが、
男同士で誘い合って赴くような、そんな臆病で下卑た空気に辟易していたからだ。
女を抱きたいのなら一人で勝手にすればいいだろうに)

……おや。

(草の根を掻き分けると、かくれんぼでもしていたのか少女の姿をした妖精が立ちすくんでいた。
随分驚かせてしまったらしい。弾かれたように小石の裏に飛び込み姿を隠すのを見て、
男は呆気に取られつつも小さく笑った)

驚かせてしまいましたね、すみません。
ここは危ないですから、少し離れていてくださいね。

(子どもに語り掛けるような穏やかな声音でそう言うと、相手の恐怖はいくらか薄れたらしい。
虹色の羽を羽ばたかせ近くの木の上へ降り立つと、小枝に腰掛けて足をぷらぷらと遊ばせ始めた。

この国には妖精の剥製を集める貴族や、生け捕りにした彼女らに劣情を抱く商人もいる。
あまり人間に慣れ過ぎるのも問題だろう。
興味深げにこちらを見下ろす小さな瞳へ視線を返すことはせず、男は黙々と作業を続けた)

エルバート > (伸び放題だった草むらを適当に刈り終える。今日はこのくらいでいいだろう。
無言のまま繰り返される作業はよほど退屈だったのか、小さな観客の姿は既になかった。

積み上がった草の山を袋に纏め、道具を片付けてから手袋を外す。
汗を纏ったシャツの、ぴたりと張り付く感触が鬱陶しい。
男は辺りに誰もいないことを確かめた後、このまま軽く流してしまおうと、
シャツのボタンに手を掛けつつ、井戸の傍へ向かうのだった)

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 教会」からエルバートさんが去りました。