2017/08/13 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 地下聖堂」にルシルさんが現れました。
ルシル > (ふだん、王城の外はおろか、部屋からも出されない立場だけれど。
それでも月に二度ほど、ひと目を避けて夜更けに、小さな旅に出されることがある。

その夜だけ、一般にひろく開放された地下聖堂。
何もかもが純白の、そのただ中に、ひとり。

白い簡素なローブだけを纏い、頭には白いヴェールをかぶって、
白絹で目隠しをほどこされた己の両手は、胸の前で組み合わされている。
祭壇を背にしてたたずみ、うつむいて祈りを捧げるような姿勢は、
けれど、己の意志でほどけるものではない。
両手首は目隠しと同じ材質の布で括られ、細い首にはやはり白い首輪。
項部分から伸びたしろがねの鎖が、祭壇の傍らにある、頑丈な柱へ結ばれて―――

つまり己には逃げることも、隠れることも、祈りを止めることも許されていない。
頭がぼんやりして、からだが熱くなる、不思議な香を焚かれた聖堂の中で、
ただ、ひと晩を過ごす。
訪れる何者をも拒まず、受け容れ、許すことが責務、と。
幸いにして今まで、純潔を奪おうとする者までは現れていないけれど、
きっとそれさえ、受け容れなければならないのだろう、と)

ルシル > (誰のために祈るのか、何のために祈るのか。
そもそも、祈りとはいったい何なのかさえ、己にはわからなかった。

ただ、そうしていろと望まれたから。
望まれ、命じられ、従うことしか知らない己は、そうして夜が明けるまで、
この聖堂で過ごすことに―――――。)

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 地下聖堂」からルシルさんが去りました。