2017/07/17 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・某修道院地下」にヴァイオラさんが現れました。
■ヴァイオラ > 先日、奉仕活動として外出した際の出来事は、未だ記憶に新しい。
よっぽど修道院長に訴え出てやろうかと思ったが、何とはなし、
高位聖職者の前で姦淫がどうの、など、口に出すのもはばかられた。
しかし、もしかすると、さっさと告げ口していれば良かったのかも知れない。
『この前のこと、未だ怒ってるのか?良いこと教えてやるから勘弁しろよ』
などと言われて引き摺って来られたのは、修道院に附設されている聖堂の地下。
やけに厳重な鍵の掛かる扉を潜った先に、細く伸びる地下通路。
そしてその果てにあったのは―――――いわば、神をも畏れぬ享楽の園。
「なっ…こ、これは、いったい…!?」
とある一室に足を踏み入れ、わずかに数秒後。
入ったばかりの扉をばたんと鳴らして飛び出した、己は絶対に悪くない。
『なぁに騒いでるんだ、このぐらい、まだまだ序の口だぞ?』
先輩はそう言って笑っているが、冗談ではない。
牢獄かと思うような石造りの暗い部屋で、うら若き修道女が、
数人の男に囲まれ、淫らな奉仕を強いられている姿、など、
何が序の口なのかと問いただしたい。否、やっぱり聞きたくない。
先輩はさっさとその中に混じってしまうし、今、まさに女の顔に
白濁を吐き散らした壮年の男が、修道院長だと気づいてしまったし。
何なんだここは。
どういう場所なんだ。
一番淫戯のたぐいから遠い場所を選んだつもりで、もしかして己は、
もっとも近いところへ潜りこんでしまっていたのか。
扉を出た勢いのまま、ぺたりと壁に貼りついて、信じられない思いで
声もなく凍りつく己の前で、ゆっくりと扉は閉ざされてゆき。
―――――それでも洩れ聞こえてくる女の啼き声に、何だかこちらの方が泣きたくなった。
■ヴァイオラ > 『強い心をもって立ち向かえば』肉欲など、どうにでもなる、とか。
ここへ世話になると決めたその日、穏やかな表情で説いてくれた人が、
あの有り様なのだから、説得力など欠片も無い、というもの。
ズキン―――と小さく、肩甲骨の辺りが疼いたので、
修道衣の胸元を片手で押さえつつ、詰めていた息を吐き出す。
すう、はあ、すう、はあ。
深呼吸を二度三度、はああ、と脱力して肩を落とし、己の足許を見つめながら、
「……人は人、自分は自分。
そんなの、初めからわかってたでしょう、ヴァイオラ。」
己に言い聞かせるための言葉を、俯いた唇からぽつりと零す。
先輩や修道院長がこんな人たちでも、己さえ強い意志を持ち続けていれば良い筈だ。
扉越しのくぐもった悲鳴が、明らかに嬌声と呼ばれるものに変わっていても、
―――――聞こえない、聞こえない。そう、なんにも聞こえない、と。
■ヴァイオラ > ふと気づけば、扉の向こうで、聞き覚えのある男の声が近づいて来ていた。
いま、修道院長と鉢合わせてしまったら、どんな顔をすれば良いものか。
さすがに気まずい、だけでなく、何だか怖い。
壁にへばりついてしまっていた身体をどうにかもぎ離し、
もと来た通路を小走りに辿って、地下を抜け出すことに。
開いた扉の向こう側、修道院長に見咎められなかっただろうか、と
思い悩みながら、決められたつとめに励むのだろう―――――。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・某修道院地下」からヴァイオラさんが去りました。