2017/03/18 のログ
■シャドウ > 金と言うものが有れば仕事は尽きない、それがお布施であれ腐ったモノであれ金は金。誰かの借金の証文を買い取り、その借金を取り立て、必要あらば更に金を貸して重責で押し潰す。仕事は仕事、好きも嫌いも無い、――がオレはこの仕事を気に入っている。
今宵は王都ではなく神聖都市ヤルダバオートに来ていた。
目的は簡単、美味しく実った果実を回収しに来たのと花壇の一つに肥料を与えに来た。その肥料も腐っているかもしれなが、少なくとも今のところは順調に蕾をつけている、まあ収穫には程遠いかもしれない。が、それでいい、焦って咲かせるよりもじっくりと成熟させてから摘み取る方が高く売れるからだ。
さて神聖都市とやらで十分に熟れた果実と言う名の金を回収を追え、その花壇に肥料もまき終えて結局財布はプラマイゼロ、財布の重みに増減は無く何時もどおり軽い財布に足取り重く、今宵も咥えた煙草モドキを揺らしながら、何か新しい仕事に食いつけそうな気配がないか散歩を続ける。どうせ今から王都に戻る馬車があるわけでもなく、徒歩で帰る心算もない、宿は花壇で寝ればよいし、質素ではあるが食い物も飲み物も心配の必要は無い、だから気が向くまま、足先が向くまま歩き続ける……。神聖都市の表層の教会が立ち並ぶ通りを神聖都市には似つかない黒い衣をまとい、咥え煙草モドキをしたままで。
「……地下はなァ、美味そうな話が全部しゃぶり尽くされてるんだよなァ……。」
人差し指でどうにも消えぬ眉間の皺を解し何時もの如く歩きながらの愚痴は続く。そう、地下層の事は知っている、が言葉の通り地下は既にしゃぶり尽くされた骨か、仮にまだ食えそうな肉があってもそれはお手つきされたモノばかり、だから現状は地下に降りる心算は無く……
■シャドウ > 美味しそうな話が無ければ、何か金になる鳥が見つからなければやる事は特になしと、足先は自然と花壇の方へと向うのだが、途中こんな時間でも開いている貴重な酒場を見かけると、其処で幾つかみやげ物を見繕い、それから改めて花壇の方に向けて歩き出す。花に与えるのは水だけでもダメ、肥料だけでもダメ、まあ偶のサービスと言うやつだ。しかし、いい加減に王都に花壇を作りたいし、花壇を手入れする女が欲しい。……が、全うに募集しても喰えそうな奴が来るとは思えない。しばらくは色々と歩き回って美味そうで便利そうな女を捜すことを目標にしようと、一人誰にと無く頷く。で、おもいっきり煙草モドキの煙を吸い上げて身体に魔力を満たすと、後は大あくびをしながら神聖都市の何処かへと消えていくのだった。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からシャドウさんが去りました。