2016/12/17 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > 寒さに凍える肌を夜風に晒す。
厚手のマントも、肌を温めるアミュレットの類もない。
ただ鍛えた体一つで闇に立ち尽くす。

それに意味があるかといえばないのだろう。
ただ、酒で火照った身体を冷ましに外へ出ただけだ。
酔った気がしない。強い酒とはきいたがこの寒さに体を温めるのが精いっぱいのようだ。

グスタフ > ここには何もない。
見上げた空は星を隠した雲が闇夜を吹き抜けていく音のみ。

雪はまだか。

言葉に乗せようとしたそれは肺まで刺さるような寒さに、音にならずに消えた。
熱がいる。酒か。それとも。

グスタフ > 「いや、信仰はある。何もない、などと……」

そんな言葉だけが零れた。役にも立たない愚痴を零して。独り。持て余す。
時間を。空間を。手に火付け役の酒瓶が液体を躍らせている。
一口煽れば、唇に火が付く。

吐いた息が白く煙を上げて。
遠く伸びた。

グスタフ > 酒場の灯り。
こんな世界の果てのような場所にも生活はあるのだ。
人の業よ。果てを見なければ気が済まぬ。

この街には信仰がある。
それも人の業か。心にも果てはあるか試しているのか。

「……らしくねぇぞ」

唇を拭った。酔っているのかもしれない。
独りで酒を煽るからだ。この寒さの所為だ。

きっと、そうだ。

グスタフ > 酒場の中へと踵を返す。

外はどうだった?
酒場の親父に聞かれて、唇を歪める。
「何もないさ、この街には……信仰しかない」

クオ・ヴァディス・パテル。
「クオ・ヴァディス・パテル(信仰はいずこ)」

熱が喉を流れ落ちた。

グスタフ > 客はもうこの男一人だった。
酒場の主人は小さな背中を丸めて料理を仕込んでいる。
そんな酒場の主人の代わりに、まるで主のような態度で、居座る男。

酒の肴も切らして、酒を煽る。
とっくに店は閉店だよと酒場の主人は告げるようだったが。
知ったことかと、男は居座る。灯りがついていれば、今はいい。

グスタフ > 「ツケはもう払っただろう」
そういうことじゃない、と酒場の主人はため息をつく。

酒を煽る。肴が欲しい。
眠れない夜に。酔いも回らず。唇に火がともる。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からグスタフさんが去りました。