2016/11/12 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にミーシャさんが現れました。
■ミーシャ > 「……フンフンフンフーン……。」
足取りは何時よりも軽やかに、気分だけなら今にも空を飛べそうなくらい機嫌よし。
今宵は一仕事終えて納品まで終えて、一先ずの先払いで小遣いまで編集長に頂いてしまい、懐は昨晩より確実に暖かであった。
それで何故ヤルダバオートに居るかと言えば、理由は一つ
編集長に美味しいお酒をだす店があると聞いたからだった。
最初は話半分にかなりの角度に首を傾げたものだが、以前一度来た際に確かにそんないろんな意味合いで美味しい香りがしたな?と思い出したのだ。
腐敗と堕落と嬌声とお酒の芳しき香り
神聖都市であるば感じ取れる事がない闇の甘美な芳香
そんな訳で、今宵は寒空の下に襟首のたった吸血鬼です!と言わんばかりの赤い裏地の黒のマントを何時ものワンピースの上に羽織り、周囲を警戒できるように蝙蝠を1匹お供につけて、神聖都市の中を散策しているのである。
■ミーシャ > ……さて、気分を何とか落ち着かせて、もう一度現状を確認しようと思うのだが、出版社で編集長に聞いた話だと、美味しいお酒をだすお店が神聖都市ヤルダバオートにあると言う。
お店の場所は………地下とか路地裏とか、お店の名前は……
――…思い出せない。
久しぶりの現金収入と仕事が終わった事で気が抜けた所為だと思うが、その部分の記憶までさっぱりと抜け落ちている。
それに、道を尋ねるに尋ね難い場所ではあるし、幾ら腐敗と堕落の香りがするとしても、まさか衛兵に聞くわけにもいかない。
店の概観や看板が記憶にあれば蝙蝠や狼や蟲を飛ばすのだが、それも……ダメだ。
「ンー………私とした事が痛恨のミスだナァ……。」
眉間に僅かに皺を寄せ、少しだけ落胆した重たい声色で溜息と同時に愚痴を呟き、左手でクシャクシャと腰まで伸ばした銀色の髪を掻き乱す……シュルとウィッグの位置が僅かにずれたが、それは気にしない。
それ以上に今可愛くない仕草だが、それもまあ、気にしない。
ともかく立ち尽くしても結果は変わらないと、それっぽい、神聖都市に似合わない人影を見つけては、こそこそと後を追うように歩いていく……。
気がつけば弾む足取りも中々に重たく……。
■ミーシャ > 「………うーン………。」
今夜は編集長の好意でヤルダバオートの宿の一つに部屋を取ってもらっている。事前に連絡していたとは手際が良い、のはいいのだけど、さて目的の店も見つからず、ここらにそんな感じのお店らしきものも見当たらず、どうしたものか……。
ひた、と一先ず足を止め周囲に視線を向けるのを止め、落ち着こうと、左手を胸にあて静かにつめたい夜気の混じる空気を吸うと、白い湯気と共に大きく息を吐き出す。
さて、本格的にどうしたものか?引くには早く、行くには目的地がわからずと、思わずかくりと小首をかしげ、鼻先を指先でコリコリと掻く……。
■ミーシャ > 「………安酒くらい売ってるよ…ネ?」
流石に断念するしかないと判断し、目的をランク下がる安いお酒に変更すると、来たときと逆に足取り重く、夜の闇へと消えていくのだった。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からミーシャさんが去りました。