2016/06/27 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート とある聖堂地下」にサフィールさんが現れました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート とある聖堂地下」からサフィールさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート とある聖堂地下」にサフィールさんが現れました。
サフィール > (地上には瀟洒な大聖堂、地下には仄暗い売春宿。
この街にはきっと珍しくも無い構造なのであろう、そんな地下施設の一角。
区画整理、という言葉とは無縁であるのか、迷路じみた細い石畳の通路が蜘蛛の巣のように張り巡らされ、
娼妓として連れ込まれた娘たちの逃亡を阻む―――らしいが、頑丈な鉄格子で通路と区切られた牢獄へ入れられた己には、
そもそも逃亡の恐れなど、無い、と言って良い。
喪装として纏っている黒のドレスは裾がはしたなく捲れ上がり、
上等な絹のストッキングはところどころ擦れ破れて、生白い素肌が覗いている。
靴は何処へ遣ってしまったのか、普段被っているヴェールは何処に落としたか、
―――代わりの装飾品とばかり、後ろ手にされた己の両手首には、くろがねの枷が填まっており。
冷たい床へ横様に倒れ伏す己の顔は蒼白く、閉じた瞼は持ち上がる気配も無く、
―――街角で屈強な男に捕まり、連れて来られる過程で派手に暴れた為、
何か強い薬を使われてしまったのか、魔術の類を使われたのか。
娼館は既に営業中、であるらしく、何処からとも無く女性の悲鳴やら嬌声やら、
男の下卑た笑い声やらが聞こえてくるけれども、何れも、己の意識を浮上させるには至っておらず)

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート とある聖堂地下」にナイジェルさんが現れました。
ナイジェル > (何処から入ってきたのだろうか、細い石畳を通路をゆっくりと進む男、蜘蛛の巣状で迷路じみていれば時には意図しない所にも繋がる、その典型的なパターンなのだろうか。
ただ、男の歩む足取りはそういった事を気にしていないか、何処に出たとしても楽しめれば言いと考えているのだろうか、はっきりとしている。
しばらくした後に頑丈な鉄格子が並ぶ牢獄が続く通路に変わり、ふむと一つ頷いただけで歩みを止めないまま踏み込んでいく。
幾つかの牢を見て歩いた後で立ち止まるのは、黒のドレスを纏った女の入れられた牢の前、裾がはしたなく捲れ上がりストッキングが所々擦れ破れているのを見ると抵抗したために入れられたのは分るが、そこに至るに辺り何があったのだろうと少し興味が湧いてくる。
気を失っているのはその姿で分るが、わざわざ起こさずとも起きるのを待っても良いかと鉄格子に背を預け、その場に座り込んで)

サフィール > (つまるところ、社会勉強、なぞと称して、小娘が些か羽根を伸ばし過ぎた、
そのツケを支払わされようとしている、というのが客観的な見方であろう。
供の者もつけずに気侭な散策に繰り出した挙げ句、何処ぞの悪党に目をつけられ、
イキの良い新商品として攫われ、金払いの良い客が現れるまで、或いは、
躾けのなっていない小娘を好む誰ぞが訪れるまで、冷たい牢獄に打ち捨てられて過ごす羽目に。)
―――ん、……。
(意識を奪われ、拘束されている事実にも、ここが娼館の一角であることにも、
気づかぬ侭眠り続けているのが、幸い、と呼べるかどうか。
覚醒すれば、または強引に目覚めさせられてしまえば、たちどころに霧散する「幸い」ではあるが。
―――鉄格子の向こう側、片隅に設えられた鉄扉を開けて、中へ入る為の鍵は、
リングに通されて扉のノブに引っ掛けられている。
つまり、―――この新商品の管理体制は、すこぶる緩いようだった。)

ナイジェル > (僅かに漏れた声で肩越しに振り返るが、女は意識を取り戻した様子は無く、崩れたまま。
姿からして眠っている時に攫われてきたはありえなく、街中などで抵抗して此処にいるがかと考え、このままいては攫ってきた者と鉢会うかも知れぬなとあたりを見回す。
掴んで揺らしてみると壊せなくも無さそうだと感じはするが、そこまでしてもと思っていたところで目に入ったのは、扉のノブに引っ掛けられている鍵、罠なのかそれともと微苦笑を浮かべて)

その時に考えれば良いか。

(ぼそりと呟くと鍵を手にして扉に使うとかちゃりと音がして外れる。
本気で捕らえておく気が合ったのかと考えながら、きぃと音を響かせて扉を開くと鉄格子の中に入り、眠っている女のの元へと寄る。
後ろ手の両手首にかせは嵌められているが、鎖で繋がれていないのを見ると好都合だと笑い、下手に此処で意識を取り戻させ、騒がれると厄介だと姫抱きにして牢を後にする。
離れてしばらくしてから聞こえてくる騒がしい音、戻ってきたかと考えるが、迷路状であればそこまで気にかける事でもないと牢獄の並びが終わってからしばらく歩き、適当な扉の一つに入る。
念のためと灯りは付けないまま、女が目覚めるのを抱えたまま待っていて)

サフィール > (扉の施錠が外される、耳障りな金属音が牢内に響く。
意識のある時ならばここぞとばかり、きゃんきゃんと喚き散らしたか、精一杯の威嚇として睨みつけたか。
―――けれど現実には、己は男が牢内へ入り込んでも、間近に眼差しを投げかけられても、
ぐったりと弛緩した侭で目覚める気配も見せず。
抱きあげられた際にだけ、また微かに呻くような声を洩らしたものの、
人形のように容易く、運び出されていずこかへ。
男が後にした牢へは、もしかするとそろそろ、商品を客のもとへ運ぼうとした誰かが現れ、
商品が逃げた、などと騒ぎ始めているかも知れないが、
―――意識を奪われた商品が騒ぎ立てて、自らの居場所を喧伝することも無く。
何処ぞの部屋の暗がりの中、いっそ健やかな寝息を洩らしていた己が、暫くの後、僅かに身動いだ。
眉間に軽く皺が寄り、長い睫毛に縁どられた瞼が小さく震え―――やがて。
未だ焦点の曖昧な侭、しかし、曇りの無い青い瞳が、幾度かの瞬きを措いて見開かれ)
―――、 …な…に……、 (真っ暗。此処は何処、―――わたくしは、今、いったい何を。
ぎこちなく唇を動かすものの、声は大半が掠れて、吐息にしかならず)