2015/10/17 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にクラリーチェさんが現れました。
■クラリーチェ > 一介の貴族として、裕福な家に産まれた者として、両親に可愛がられてきた娘として……神頼みをする機会というのは少なかった。
おかげでヤルダバオートの信仰というものに目を向ける機会も必然的に少なかったのだが、今は少々事情が違う。
辱められてからというもの塞ぎこんだ心を少しでも奮い立たせるため、不可思議な教えにも耳を傾けざるをえない。
母親の愛用する気付け薬が密かに手放せなくなってから、真摯に対応してくれたメイドの奨めによって気晴らしの旅行がてらに来てみたが、まだ少女には鬱屈した気分が拭えずに居た。
「えぇ、えぇそうね……また帰りに寄ってみるわ」
また一人、安っぽい紙に落書きしただけの免罪符を売りつけに来た商人に愛想笑いを浮かべ、声の張り上げ方だけが一人前の神父の横を通り過ぎる。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」に魔王アスタルテさんが現れました。
■魔王アスタルテ > (神聖都市ヤルダバオート。その名の通り、ヤルダバオートという神を中心に信仰している街だよー。
実際に魔族から人間を加護している旧神アイオーンと違って、このヤルダバオートは人間にとって何の役にも立っていない。
それなのに、人々は呑気にヤルダバオートを信じているものだから、滑稽なものだよね♪
アスタルテは、人に化けた四天王を連れてヤルダバオートの街路を歩く。
そんな時、目に飛び込んできたのは、なんと人間の可愛らしい女の子だよ!
気品があるようにも見えるけど、貴族の子かな?
魔王アスタルテは、クラリーチェの前に立ち止まった)
「おねーちゃん、貴族の方かな?
この神聖都市ヤルダバオートに、王都から祈りにきたの?」
(無邪気な笑顔で、気さくに話しかける)
「名乗りもせずに突然ごめんねー。
あたしは、アスタルテだよ。
君の名はなんていうの?」
(そして、この神聖都市で堂々と、その魔王の名を口にする)
■クラリーチェ > 名前を呼ばれれば伏目がちだった顔を慌てて上げ、声の方向を探す。
今まで声をかけてきた人間が商魂たくましい…といえば聞こえのいい欲の張った大人ばかりだったからだが、それが失敗。
四人の間に目を走らせるがソレらしい反応が無く、下を向いて今日久しぶりに出会った自分より小柄な人物(?)にちょっとした驚きを見せる。
「はい、ブロンディ家のクラリーチェです。お祈りが半分、観光が半分という感じで…不敬かもしれませんけど本音はそんなところ」
相手が子どもとあって気楽に応えられた。
少しだけ後ろの人々にも目を向け、そちらの顔色を伺いつつ腰を軽く落として視線を合わせながら人差し指を自分の唇に当てる。
もっとも、腰を落とすほどの身長差でも無かったのだが、なんとなく相手の言葉からお姉さん的な立ち振舞をしたくなったためだ。
「アスタルテさんもお祈りに来ているの?」
■魔王アスタルテ > 「クラリーチェちゃんっていうんだね」
(魔王アスタルテ率いる魔王軍に所属する者に、王都にて王族や貴族に成り済ます魔族も大勢いるが、さすがに下級貴族であるブウロンディ家の名を聞いてピンとくるものもない)
「そっかぁ。ここは神聖な都市だもんねー。
観光に興じたくもなるよね。
だけど、それはそれで布教とかには注意しなきゃだね」
(クラリーチェに目を向けられた後ろの四人、人に化けた魔王軍四天王は特に反応を示す事もない。
しいて言うなら、アスタルテの従者的な雰囲気とでも言うだろうか。実際に、腹心であるわけだが)
「お祈りというより、どちらかと言えば観光の方かな。
あと、ちょっとしたお仕事で来ているんだよ」
(ヤルダバオートもやはり、魔王軍の者が既に潜入しており、その魔の手が迫っている。
魔王としてのお仕事なので、もちろん人間にとっては良いものでもない)
「それでクラリーチェちゃん、さっきまで塞ぎこんでいたようだったけど、何かあったの?」
(きょとんと、小首を傾げて、子供らしい純粋で優しげな声で問うてみる)
■クラリーチェ > 信仰の薄さを咎められないと知り、最初は露骨に安堵する。
が、布教に注意という言葉には一瞬反応に遅れを生じさせ、あくまで子供に笑いかけていると分からせるような微妙な笑みを浮かべた。
「貴女も観光なのね。
お仕事って言うと……どこかの司祭様にお知り合いが?
それとも商店へのお使いかしら?」
背後の人々の雰囲気から自分よりも高位にある貴族と判断したものの、目下の友人に対するような態度は変えない。
なんとなく子守りで着いて来た人たちに思えたのに加え、改まった場面でない観光で堅苦しい言葉を使うのは相手も嫌がる気がして…。
そのため、出来る限り些細な事と言いたげに笑って首を振る。
「大丈夫よ、ちょっとだけ残念なことがあっただけだから。
さしずめ大人の事情というものかしら……そうね、そういうこと」
勝手に納得して首を振る。
ただふわりと広がった髪に紛れて、まぶたが緊張気味にピクピクと痙攣し、神経質になっている感覚がまだ消えていなかった。
■魔王アスタルテ > 「お仕事の内容は、さすがに言えないよ。
ごめんねー。
それにしても、この街は治安もよくて、雰囲気もいいよね。
宗教都市という側面が出てるのかな」
(最も、それは表向きでの話。
裏では、シスターちゃん達がいくらでも犯されたりしている表裏がある街なんだよねー)
「残念な事ねー……。
大人の事情かぁー、クラリーチェちゃん、まだ幼いのに色々抱えこんじゃってるわけだね。
この国も随分と醜くなっているわけだからねー。
貴族の女の子にも、ふとした事で不幸が降り注ぐ事もあるよね。
例えば、可愛らしい女の子が誰かに犯されちゃったりとかね♪
特にクラリーチェちゃん、すっごくステキな女の子だもんね!」
(『女の子が誰かに犯される』という例は特に意味もなく、単にアスタルテが『可愛らしい女の子が犯されている姿ってすっごくイイよね!』という性癖からなんとなく出てきた言葉である)
■クラリーチェ > 納得した様子で頷いて直ぐ、自分の背負い込んだ悩みについて「幼いのに」といわれたことに違和感を覚える。
その分だけ真剣に耳を傾けると自分より幼いはずの子供が知る国の実体がより重くのしかかってくる。
口を強めにつぐんで再び頷くと、軽い物言いだというのにじわりと涙を浮かべてしまう。
「そういう……ことも、あるのかも知れませんね」
滲んだ涙は時をおかずに流れだし、"ごめんなさい"という極小さな謝罪の言葉とともに少女は来た道を引き返して駆けて行った。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からクラリーチェさんが去りました。
■魔王アスタルテ > (アスタルテの言葉に、涙するクラリーチェ。
国の事で、相当悲しい事でもあったのかな?
アスタルテはそれをさらに煽ったという結果にもなるだろう。
去って行くクラリーチェを、いつもの無邪気な笑みではなく、真剣な眼差しで見送った。
アスタルテは振り向く事なく、背後にいる四天王に語りかける)
「ねぇ……人間達の国には、クラリーチェちゃんみたいな不幸な思いをしている人が多いよね。
あたしもさぁー、結局のところ、人間達を恐怖させて不幸のどん底に突き落としている存在の一つではあるんだけどねー。
ああいうのを見るとね、この国を早く魔王軍の手で支配してあげてもいいよね、とも思うよ。
もちろん、王都は旧神の加護で守られているし、進行するなら焦らずに慎重にいくよ。
あたしは魔王だから、あくまで魔族や魔物の事を第一に考えるけどねー。
だから結局のところ、この国を支配しても、魔物が支配する国になるよ。
だけど、今のこの国は腐敗してしまってるからね」
(そうは言っても、アスタルテもまた可愛い人間の女の子を犯しちゃう立場なんだけどね!
そもそも、アスタルテは魔族や魔物を掌握する者であって、人間の敵だ。
四天王は、アスタルテの言葉を真剣に、耳に入れていた)
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」から魔王アスタルテさんが去りました。