2023/05/03 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にクレイさんが現れました。
クレイ >  
「……」

 非常に面倒な事になった。とにかく面倒な事になった。
 今や視線を全て集めている状態。構図としては男の後ろに小さな首輪をつけたまだ幼い少女。そして男諸共に武器を突き付けている兵士の構図。
 事の発端は少し前。仕事に人手が必要だったこともありこの街で労働力を確保する。その為の目利きとして派遣された。そしてその帰り道。
 しかし……そこで子供の奴隷が脱走した。同じ臭いを嗅がれたか縋りつかれて今に至る。

「……あー」

 正直奴隷は安いものではない。とはいえその逃げ出した少女は明らかに人攫いか何かで無理やり連れ去られたように見える。
 本来なら突き返すべきだが……それをすると非常に酒が不味くなる。
 凄く渋い顔をして。

「あー……あー!! もういいよ。俺がこいつを買えば良いんだろ!!」

 そう言って追いかけてきた集団に金の入った袋をドサッと投げつけて。
 ついでに指をさす。

「明日連れて帰る! しっかり綺麗な服を用意しておけ。最低限馬車に乗れる程度のな!! お前も明日には街だ。だから今は戻れ。金は払ったから安心しろ!」

 戻ったら孤児院なり教会なりに押し付ける構図になる。もしくは自分の部下に任せても良い。子供好きだしそれもそれでありかもしれない。
 どちらにしても買うと宣言した以上は今更引き下がれない。
 ありがとうおじさんなんて子供に言われれば。

「お! に! い! さん!!」

 なんて言って不機嫌そうにドスドス歩いて行く。安くない買い物を無駄金払ってしてしまった。
 クッソなんて言いながら頭をガリガリ掻いて歩く。
 しかも滅茶苦茶目立った。1人になった今でも酒を飲む場所すら探すのが難しそうだ。 

クレイ >  
 自分のお人よしも大概にしないといけないなと思ったりはする。戦場では相手が子供だろうとためらいなく切り殺す癖してこういう場では子供には甘くなってしまう。
 傭兵ならその辺を考えないといつか足元をすくわれると思いながらも中々癖は治せないでいた。
 やはり視線が気になる。

「見世物じゃねぇ。こっちみんな」

 シッシッと回りの視線にあっちいけとジェスチャーを返しながら道を歩く。
 相当に目立つせいもあっていつもならそれなりに狭いはずの道なのに男が通ると道が出来る。
 何時もなら歩きやすいのに今日に関してはそれも気分が悪い。