2023/02/05 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にロージィさんが現れました。
ロージィ > 街の中心部、とある奴隷商が構えた店の一角。
天幕の陰に半ば隠れた檻の中で、一見怯えた風情で膝を抱え、
蹲った体勢を繕いながら。

女は油断のない眼差しで、でっぷりと悪徳に肥え太った店主の、腰の辺りを見つめていた。

今、店主は女の入れられた檻の上に片手をつき、すぐ前の別の檻に入った商品について、
客人と値段交渉半分、雑談半分の遣り取りを続けている。
店主の意識の大半はきっと、客人の懐具合に注がれているのだろうが、
女の意識は彼の腰に―――――そこにぶら下がっている鍵束に集中していた。

素足ではあるし、首輪もつけられている。
けれど幸い拘束はされていないし、檻の鍵はたったひとつ。
あれをそっと奪って、こっそり鍵をあけられたら。
――――――あとはきっと、どうにでもなる。

からだの陰に隠した左手が、時折、そろりと伸びて格子に触れる。
そこから店主の腰に下がる鍵束までは、女の掌ひとつ程の距離も無かった。
タイミングさえ間違わなければ、と逸る気持ちを抑えつつ、女は鍵束と、
それを腰に括っている、革紐の結び目を視線で手繰り始める。

ロージィ > めいいっぱい伸ばした指先が、店主の腰を掠めた、と同時。

「―――――――――― あ、」

不意に傍らから突き出てきた手が、女の手首を捉える。
痛みに顔を歪ませながら振り仰いだ先には、客人の顔があり。

悲鳴をあげて抗う女が、檻から引きずり出されるのも、
デモンストレーションと称して衆目に晒されながら嬲られるのも、
この街では日常茶飯事である。
つまりはそんな一幕が、今日も繰り広げられることになり―――――――。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からロージィさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にレベリオさんが現れました。
レベリオ > 夜になってもこの街は眠らない。
むしろ、後ろ暗い催しは夜の方が盛んとなるだろう。
熱気の籠った奴隷市。
壇上に上がって売られる奴隷の死んだような目と
大金の気配にほくほくしている商人の顔。
彼等を見る観衆の、欲望の目、期待の目、あるいは嫌悪の目。
それらを、人だかりから少し離れた場所で見詰める。
佇むのは、建物と建物の間の路地を背にした場所。

「今日も賑やかなことだな。実に素晴らしい。」

赤い瞳の下、薄い唇が言葉を紡ぎ出した。
低く紡ぎ出される、どこか愉し気な色合いを帯びた声音だ。
好奇の色を乗せた視線は、壇上から順番に、観衆へと向けられる。
もし、それを見ているものがいれば、こう表現するだろう。
まるで、獲物を値踏みしているようだ、と。

もし、誰かにそう言われたら「正解」と言って路地に引き込むか。
そんな、想像の傍ら観察を続ける男。
唇に挟んだ細巻き煙草から、淡い芳香の紫煙が吐き出され、奴隷都市の空気に溶けていった。

レベリオ > そうして、深夜の観察は続く。
獲物に出会たかどうかは、また別のお話で。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からレベリオさんが去りました。