2022/11/22 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にアストラさんが現れました。
■アストラ > アストラがこの都市へ来るのは久々だった。
奴隷の売買が日夜行われているこの都市では、多くの人が集まる。
安い奴隷から高い奴隷まで、種族や性別年齢ごとに値段が分けられ、健康状態や傷の有無、身体の具合の方も衆人環視の中で確認が行われる退廃的な空気。
男も女も、大人も子供も、身ぐるみを剥がされ調教師の手で暴かれて、値段が決められていくのを雑多の中で眺めていた。
アストラがあちら側に行かないのは、奇跡のようなものかもしれない。
この都市では単純に、強い者が支配者層として君臨出来る。
その支配者層に狙われたら最後、どんな搦め手で奴隷に堕とされるのかわかりはしない。
幸いにも、アストラには破落戸程度なら撃退出来る手段があった。
有無を言わせず力尽くで連れていくならば圧倒的な強者という立場でなければ難しいだろう。
「……さぁて、人探し人探し」
今日の依頼は、バフート内での人探しだ。
冒険者ギルドから依頼を請けた子が帰らず、捜索依頼を請けたわけである。
こんな都市で行方不明になったのなら、十中八九奴隷堕ちしていそうなのだけれど、と思わなくもないアストラだが。
こうして奴隷市場でつぶさに観察しているのも、見つけたら買い取って連れ帰るためだ。
以前同じように冒険者に救われたことがある身としては、放っておけなくて依頼を請けたのである。
冒険者の子の特徴を書いた紙を手に、アストラは【買い手側】の位置に立って腕を組みながら売買される商品たちを眺めていた。
■アストラ > 「うーん……ここにいないのなら、別の娼館とかかしら…。これは情報屋さんを頼らないと難しそうねぇ」
奴隷市場に出ている奴隷たちを一通り眺めていたものの、特徴と一致する人物は見当たらず。
腕を組んだまま困ったように頬に手を当てる。
冒険者業は何が起きても自己責任の世界ではあるし、陰謀やら冤罪やらで陥れられて奴隷堕ちした者も少なくはない。
とくに治外法権である場所だ、自己防衛しなければならないのは勿論、運よく助けられる運も必要なのかもしれない。
「バフートの情報屋……信用できるところなんてあったかしら」
一先ず、冒険者たちが良く集まる店にでも行ってみようと踵を返そうと。
虎穴に入らずんば虎子を得ず、とは帝国の諺だったか。
目的を達する為には多少の危険を冒すことも、時には必要である。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からアストラさんが去りました。