2022/05/10 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にアルンさんが現れました。
ムツキ > 王都で購入した家を管理するための人員をどうするか考えて。
結果として奴隷を購入することに決め、奴隷市場都市バフートへと赴いた。
何ヵ所かの奴隷商を見て歩き、これという相手がおらず、次で最後にしようかと思いながら。
ふと周りを見渡した時に、桜色の髪をしたミレーの少女が目にはいる。
一人の奴隷商が売っているらしき少女につけられている値札は、ミレー族としてもかなり高額である。

「あんた、そのミレー族の奴隷は何か秀でている所でもあるのか、随分な高値みたいだが」

少女を売っている奴隷商に問いかけると、その問いに奴隷商は、少女はが初物である事や、体も健康である事、ミレー特有の高い魔力等を上げていく。
それを聞いて、じっと少女を見つめ、何かを考え始めて、奴隷商に話をさせてほしいと言いながら、少し金を握らせ許可を得ると。

「ミレーのお嬢さん、名前を聞いてもいいかな、後何か少しでもいい特技と言える事や使える魔法なんかはあるかな?」

近づいて、そんな問いを少女へ告げながら、上から下まで少女をじっと見て、少女の答えをじっと待つ。

アルン > 奴隷商という生業が街の根幹を成す街
対外的にも公にそれを謳っているだけあって、その商店の数は星の数ほど。
当然、その質はピンからキリまで実に様々であり。

隠れ里を襲った賊が少女を売ったのは、そんな奴隷市場の中でも中の下といったところの奴隷商だった。
買い取られ、店へと移動するまでの短い間であっても、既に商品として値札を付けられる。
その金額は貴族であっても即金で払うのに二の足を踏んでしまうほど。
少女が纏う服は襤褸ではないにしても、街娘のそれと大差のないものであることを鑑みれば、何かの間違いだと思ってもおかしくはなく。

「―――っ!?」

魔法封じの首輪をつけられた少女は、若干やつれてはいるものの奴隷商が言うように病気持ちには見えない。
ただひどく怯えているようで、見知らぬ男性が近づいてくるだけでビクッと身体を震わせて強張らせ。
返事らしい返事もなく、ただただふるふると小さく首を振るばかり。
何かを喋ろうと口を動かしてはいるようだけれど、その小さな口元から言葉が紡がれる様子もない。

ムツキ > 少女の様子に少し首を傾げ、ちらりと奴隷商を見るが、特に変わった様子は無い。
もしかすると、声が出せないのか、出せない様にされているのか。
少し悩んだ後で。

「とりあえず無理に声を出そうとしなくてもいいから。
頷きと首振りで答えられる質問にするから」

そう言いながら一歩下がる、ミレー族が奴隷にされるのは大体は奴隷狩りの結果で。
とすれば少女が初物である事が本当だとすれば、奴隷狩りにあってそれほど立ってはいないのだろう。
そう考えれば、少女が男性というか、自分を買おうとする相手に恐れを抱くのも判る。
とはいえ、此処に来て見つけた購入しても良いと思った相手に、いくつかは確認したい。

「まず一つ目、何かしら魔法などは使えるか。
二つ目、簡単でもいいが家事などはできるか。
とりあえず、これについて答えてくれるか、後、信じられるかは置いといて危害を加える気は無い。
君を買う事も考えての質問だから、素直に応えてくれるとありがたいんだが」

初物であるという理由をつけて法外な値段設定をしている以上、其処は流石に嘘ではないだろう。
奴隷商といえども商人であるし、違法合法どちらであっても、商売で嘘をついた商人はその後は商売にならなくなる。

アルン > 体格の良い相手は、それだけで襲撃者の姿を呼び起こさせる。
いくら違う相手だと頭で理解してようとも、身体が言うことを聞いてくれない。
あまりに愚図だと思われても、ひどいことをされてしまうかもしれない。
そんなプレッシャーも相俟って、余計に掠れた呼気しか出てこないという悪循環で。

半ばパニックになりそうになっていると、相手が一歩引いてくれる。
しかも質問内容も変えてくれるという。
過呼吸になりかけていた息を整え、何度か深呼吸を繰り返し。
怯え、警戒する様子はそのままではあるけれど、小さく頷き返すことはできた。

けれど初めの質問に関しては、何かを思い悩むようになかなか首を動かさない。
腰を引きながら、じっと相手の様子を窺うこと数十秒。
いい加減、奴隷商の方が焦れてきたころ、ようやく小さく首を盾に動かして。

続く二つ目の質問には、先程の逡巡が嘘のようにあっさりと首肯を返す。
距離は保ったままではあるけれど、危害を加えないと言う相手の言葉は信じられるかもしれない。
薔薇色の瞳には、先程よりも怯えの色は少なく。
代わりに相手の一挙手一投足さえ見逃すまいと、じっと窺っており。

ムツキ > じっと見るのではなく全体的にみる、武術でいう所の観の目的な見かたで少女を見てわかったのは。
やはり今の所、恐怖が勝っているのであろう事。
特に、奴隷商の視線を気にしている様子から、扱いが良いという訳でもなさそうで。

「うん、判った、答えてくれてありがとう。
最低限でも家事ができるならありがたいな」

そういってから奴隷商の方へ向き直ると。

「彼女を買わせて貰おう、値段はそのままで良い、ただし言ってったことに嘘があったら。
いや、其処は言わなくても此処で商売してれば判るだろうから、信じよう」

マントの内から取り出した袋を奴隷商へ渡す。
硬貨の立てる音がしなかったからか、中身を確認した奴隷商が直ぐに笑顔に変わる。
中身は宝石で、全てきちんと売れば少女の値段を超えるであろう質と量が入っていた。
そうして、奴隷商が少女の値札の上に、売約済みの印を押して、取引が成立する。

「これで君は俺の奴隷になった、少なくとも俺の目の届く所で何かあれば俺の方で対処する、
仕事としては、細かくは後で説明するが、家の事を任す積もりだ。
さっきも言ったが、危害を加える気は無い…ただある程度は家事以外の事を覚えてもらうと思う」

奴隷商から渡された、少女の首輪につけられた縄を、少女自身に差し出して。
着いてくるように指示を出す、奴隷に対する行為としては奇異な物だが、少女の感情を少し考えての処置。
流石に首輪を外すまではしないが、それでもこの街では珍しい事だろう。

アルン > それまでイライラと待っていた奴隷商も、いざ言い値で売れるとなれば急に愛想がよくなる。
さすがに当の本人も吹っ掛け過ぎの値段だと、自覚もあったのだろう。
それが値切りの交渉もなく、そのままの値段であれたのだから、踊り出してもおかしくはない。

その一方で、少女はと言えば。
売買が成立したらしいことは理解はできるけれど、その値段までの詳しいことは分からない。
それ以上に重要なこととして、自身がこの先どうなるのかもさっぱり分からない。
不安そうにしながらも、頼れるものがないもないなかで、ぎゅっと己の腕を抱えるようにして。
そうしているうちに、淡々とあっという間に会計処理が済まされていき。

「………わ、わか……まし、た…」

ほくほく顔の奴隷商が去っていき。残された男から、説明を受ける。
こくん、と首を縦に振った後で、小さく掠れた声を紡ぐ。
それは雑踏の中では聞き取れないほどの小さな声ではあったけれど。
手渡された縄をどう扱って良いものかと、困り顔で見つめるばかりで。

ムツキ > 動きを止めている少女に対し、少し苦笑しながら。

「とりあえずは、この街をでて南にあるダイラスに向かう。
そこからは王都まで船で戻る、んだが」

いきなりの状況に何をしていいか判ってない様子の少女に移動予定を告げてから。
ふと気づく、彼女がミレーの隠れ里かその周辺出身だとしたら地理等は判らないのではないかと。

「とりあえず、俺についてきてくれ、まず街をでる、そこからは追々説明するから。
あんまり離れると変なのに絡まれるかもしれないけど、縄でひかれるのはやだろうし。
大丈夫ならマントの端でも持ってくれるとありがたいんだが」

おかしな相手に絡まれてもどうにかする自信はあるが、無い方が楽だしなと。
とりあえずは着いてくるように大雑把に指示する、マントに関しては少女が折り合いを付けれるか次第だが。
周りからは、甘い対応だとみられていそうだが、それを気にする様子もなく、ある程度少女が動くのを待つつもりで、声を掛けているようで。

アルン > 「う、み……? ふね……?」

話には聞いたことはあるけれど、生まれてこの方、ずっと山奥の村に隠れ住んでいた少女にとって見たこともない場所
怯え一辺倒だった少女の瞳に、僅かではあるけれど違う色が浮かぶ。
ただ、それについて何か付け加えるようなことはせず。相手の顔色を窺う仕草は変わらない。
街を出るということは理解したらしく、小さく頷くものの。
何かを気にするように辺りを見回して。

「…………」

片手に自らの首輪が繋がった縄を。もう片方の手で相手のマントの裾を握る。
先程から殴るどころか、触れて来ようともしない相手は、どうやら本当に危害を加える気はないらしい。
まだまだ信用はできないけれど、大人しく付いて行く分には問題ないだろうと思え。
相手の歩幅に遅れないように、いそいそとその後をついていき。

ムツキ > 少女を連れてバフートを出る。
その間は、少女への軽い指示等はあったが、命令という感じを与える言い方はせずに。

「ダイラスについたら少し休むのに宿を取るから。
疲れたら、声を掛けてくれれば休憩なりするからな」

街道に出て、少女に声を掛けながらマントの距離が詰まる事も無く。
そうして、初めての海に少女がどんな反応を示すのか。
宿の部屋は同じ部屋になるので、其処でもどんな反応を示すのか。

それはまだ少し先の話、奴隷の少女を買った男と、買われた少女の関係はまだ始まったばかりで……―――。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からアルンさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からムツキさんが去りました。