2021/12/05 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にリヴェラさんが現れました。
リヴェラ > 夜半を過ぎても背徳の街は眠らない。
むしろ、昼間よりもより一層、その熱気は昂っている。
大通りを歩いて行けば、そこかしこに首輪や鎖に繋がれた少年少女が虚ろな目で道行く人を眺める。
彼等を売る商人の声が五月蠅く響き、時折、近くの建物から嬌声と悲鳴が混じる。
喧騒を潜り抜けていけば、まるで見世物のように広場には大きな仮設舞台。

今夜は、大きな競りが開かれているのか。
舞台の上では、何人もの奴隷が順番を待つように並べられている。
その中の一人は、“味見”と称して有志の客に弄ばれている最中。
競りに参加するものも、そうでないものも、淫猥な声を上げる彼女に目を奪われていた。
肉と肉、体液と体液がぶつかる音さえ聞こえそうな交わり
汗と、涙と、それ以外の体液が飛び散って、最前列を濡らす。
紳士も、淑女も、下卑た奴隷商人も、ただ、背徳を愉しんで、奴隷の絶望に耽溺する。
それはそういう場所で、そういう時間だった。

「初めて来ましたが――」

その中で、女は独り言ちる。
広場の片隅。人込みからは数歩離れた場所。
サービスで配られる薄い酒精の入ったグラスを片手に、催しを見つめる。
まるで喪服のような黒いロングドレスに黒いヴェール。
薄い帳の奥で、深い深い蒼色の瞳が、とろりと、微笑った。

「――とても、綺麗な場所ですね。」

囁くような声音が零れ落ちる。
何処か、愉し気な色合いを含んだ声音だ。
そうして巡る蒼い視線。
映るのは、奴隷か、奴隷を求める者か、それともそれらを愛でる者か。