2021/08/24 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にヘルティナさんが現れました。
ヘルティナ > 奴隷市場の中でも、奥まった場所に位置した或る地下店舗。
天井から吊るされたオレンジ色の明かりに薄ぼんやりと照らされながら、
カツン、コツンと床を叩く靴音を伴って店内を物色するのは、赤いドレスを身に纏った一人の女。

「――よくもまぁ……此れだけの品を揃えたものですわね……。」

店内に所狭しと陳列された商品の数々を眺めながら、感嘆にも呆れにも聞こえる物言いでそんな呟きを漏らす。

魔法仕掛けの拘束具や責め具、特殊な材料や製法で作られた媚薬類、
果ては粘液を滴らせて蠢く触手生物に、それらの一部を材料に作られたであろう衣服――

中には鎖に繋がれ檻に入れられた、種族も年頃も様々な奴隷達が陳列される姿も見られたが、
その店で取り扱われていたのは専ら、彼女達の調教や夜伽の際に用いられるであろう道具類だった。

「まぁ……それだけの需要がある、ということなのかも知れませんが……。」

少なくとも他所の国では滅多に目に掛かれないし、そもそも作り出そうなどとも思わないだろう。
皮肉にも其れが却って女の好奇心を刺激したようで、金色の双眸はそれらを物珍しそうに眺めていた。

所有欲が刺激されたかどうかと言われれば、また別の話ではあったけれど。

ヘルティナ > 「……嗚呼、でもこの『投げた先に居る相手を勝手に拘束する枷』なんていうのは役に立ちそう……。
 こんなことでは無く防犯の用途で売り込めば、もっと買い手もつくでしょうに……。」

ふと手に取った、一見何の変哲もない鎖が付いた革のベルトの説明書きを見遣っては、
今度こそ、心底呆れてしまったような溜息がひとつ。

けれども其れを手に取った侭、僅かの間逡巡するような素振りを見せた後、
ひとつ頂こうかしら、と店の奥の暗がりに居た店主の元へと持ち寄って。

「――それでは御機嫌よう。それなりに面白いお店でしたわ……?
 またの来店は……まぁ、気が向いたら考えておくわ……。」

会計を終えて、店主へとそう挨拶を投げ掛けてから。
カツン、コツンと地上の往来へ戻る階段を昇る靴音を伴って、女は店を去って行った。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からヘルティナさんが去りました。