2021/08/13 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にノイシェさんが現れました。
■ノイシェ > 昼夜を問わず賑わいを見せる表通りからは少し外れた小さな通り。
表通り程目立った店も人々の往来も少ないその場所で、華奢な身には少々大き過ぎるくらいのトランクケースを携え佇むのは、金の髪と長い耳を持ったエルフの女が一人。
「……恐らく、この辺りの筈なのですが……。」
誰に向けるわけでもなく小さな呟きを零しながら、もう片方の手に持った小さな紙片へと一度落とした視線を周囲の風景へと所在なく巡らせる。
しかし一際目に付くような看板の類も無ければ立ち並ぶ建物はどれも似たような外見で、その様は目的地を見つけることが出来ずに困り果てているであろうことは、傍目に見ても明らかだった。
■ノイシェ > とは言え、時折通り過ぎる人に道を尋ねたところで親切に教えて貰えるような場所では無いことくらいは女とて理解している。
また一人、通り過ぎようとした通行人の視線が此方の様子を伺うように、或いは値踏みでもするかのように向けられたのに気付いてこほん、と小さな咳払いと共に佇まいを直し。
「何時までも此処でうろうろしていても仕方がありませんし……一度、表通りまで戻りましょうか……。」
そうして、傍らに置いたトランクケースを持ち上げて、赴く先はこの場所からも微かに喧騒の聞こえてくる表通りへと続く道へ。
一度表通りに出れば先程までとは打って変わり、何件も立ち並ぶ店の看板、通りからも見えるように陳列された品々――それらに時折目を奪われながらも、すぐさま手元の紙片へと視線を戻し、周囲の人々の流れよりも幾らかゆっくりとした動作で足を進めてゆく。
■ノイシェ > やがてその足が都市の中心部へと近付くにつれ、周囲の賑わいと人の流れは益々大きくなってゆき。
そんな人々の海の中に音も無く飲み込まれてゆくかのように、女の姿は消えていった。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からノイシェさんが去りました。