2021/03/26 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にルッカさんが現れました。
■ルッカ > 「うひゃああん、ちがいます、ルッカ、なんにも知らないんですぅ!」
真っ赤な瞳に涙を浮かべ、情けなく顔を歪めて泣き声をあげながら、
小柄な白い人型が、ぴょんぴょんと飛び跳ねるように路地を駆け抜ける。
ふわふわひらひら、揺れるワンピースの裾からはちらちらと、白いお尻が覗いており、
尾てい骨の辺りには、白くてほっこりと丸い毛皮のかたまりが揺れている。
長くたなびく白い髪に紛れ、ゆらゆらと翻る白くて長い耳と相まって、
この人型が人間でないことを、周囲に喧伝しているようなものだった。
―――――しかし。
「ちがうんです、ルッカ、みれー?とか、いうのじゃないんですぅ~!
ルッカはルッカなの、ただのウサギさんなのですぅ、
なんにも、あやしくなんかないのですぅぅ~!」
そんなことをわめきながら、奴隷商人の追っ手から逃れようとしているところ。
はっきり言って、きっと誰も信じないだろうが―――――事実、
この人型は人間ではないけれど、ミレー、でもないのだった。
もちろん、そんなことは、珍しい物好きな奴隷商人には、どうでもいいことなのだろう。
しかし追われている本人は、みれー、とやらでなければ、
捕まらずにすむものと、ちいさな頭で信じ切っている様子だった。
■ルッカ > 「~~~~~っっ!」
とある角を曲がってみたら、袋小路だった。
声にならない悲鳴が喉を引き攣らせた、次の瞬間――――――ぽん、と。
転げて、弾んで、ちいさな白い仔ウサギが一匹。
迫ってきていた追っ手の足許を潜り抜け、ぴょんぴょんと跳んで逃げる。
無事安全圏へ逃げ切れたかどうかは、神のみぞ知る、といったところ―――――。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からルッカさんが去りました。