2020/02/23 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にアディさんが現れました。
アディ > (周囲はまるで朝か昼の市場のように煌々とした明かりで照らされ、かと思えば一角は夜の闇よりも深い黒で覆われ、なんとも此処は騒々しくて剣呑としていて、それが何とも心地よい。

黒衣の女は上等な身なりをしているが誰も供をつけておらず、そんな喧騒の中を実にゆったりとした足取りで歩いていた。

奴隷には興味はないが、まるであらゆる生物を一緒くたにまとめたようなこの場所でしか手に入らないモノがある。
――…と、そう聞いてわざわざ赴いている。)

「…この辺りと、お伺いしたのですけどねぇ…」

(道に迷っただろうか。
懇意にしている行商人が奴隷市場に店を構えているのは知っていたが、こうして訪問するのは初めてのことだった。
いつもは城に招いているのだが今は人を招くには少々都合が悪く。
嗚呼、こんなことならせめて迎えを頼めばよかった。
さすがにここらで道を尋ねるなんて不用心なことはしたくないものだし。)

アディ > (こんなにのんびりとしていていかにもカモになりそうな姿の女だが、実はこの辺りは何かと取引先が多い。
さっきから挨拶を交わしているものは何人もいるのだが、いかんせん彼らは仕事中。
道を聞こうと声をかけるタイミングを逃し、今に至る。
さすがに奴隷の調教中に道を尋ねるなんて無粋なこと、できるはずもなく。)

「あちこち繁盛しているようで何より…なんですけどね」

(いいのかどうか。
そういえばさっき挨拶をした商人が躾をしていた奴隷、大変愛らしい少女だった。
自分を見て助けてくれるのかと思ったようだけれど今まさに無理やり飲み込まされた媚薬を作った本人だと教えられて、絶望に震えていて。
どうせすぐに何もかも忘れてしまうんだろうけど。)

「あ、せっかくだから感想を聞けばよかったわ。
なかなか飲まされた方の感想なんて聞けませんものねぇ」

(失敗したなぁ、と呟きつつ先程後にした店を振り返る。
ああもうあの子何もわからなくなって、とてもしあわせそう。)

ご案内:「奴隷市場都市バフート」にリヒトさんが現れました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からアディさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にアディさんが現れました。
リヒト > 「――お目当ての子でもいたかい。」

(彼女からすれば唐突にもなるだろう男の声。
どうやら彼女の視線の先、媚薬を盛られた少女の姿を男も捉えていたらしい。
彼女の意識が己の方へ向けば、色気も無く薄く笑みを浮かべ、鼻を鳴らす。)

「商品にも見えないが……どこかの店主かね。
さて俺は……ちと、届け物に来たんだが……少し良いか?」

(それなりに真面目に仕事中である男、時間に余裕はある物の、細かな道を把握しきれていないとの事。
身なりの良さもある相手を警戒させないよう、少し離れた位置から住所書きだけを差し出して。
彼女がそれを読むのであれば、近場ではある物のわかり難い位置の店舗を示していることがわかるだろうか。)

アディ > 「ふあっ…!? あ、 あぁ、驚いた… いえ、そうではないのですけど…」

(すっかり気を抜いていて、らしくなく驚いて振り返ってしまった。
普段は眠たそうにも見える目が大きく開いて、心臓が少し早く脈打っている。

振り返った先には初めて見る男の姿があって、無意識に一歩後ずさった。)

「店主では、ありませんけれど…
あら、この住所ならもう少し先のほうじゃありません?というか…」

(自分の目的地と一緒なのでは?と、握りしめていたメモ書きを広げて男の差し出したものと見比べた。やっぱり同じ店のようだ。
どうやら配慮して少し距離を取ってくれているらしい相手の様子に、緊張が少し解ける。)

「わたくしも、こちらのお店に向かってましたの。
よかったら一緒に参りましょう。」

リヒト > 「そう警戒せずとも、手を出すならもそっと暗い道へ行くさ。」

(思ったよりも余程驚かせてしまった様子には、喉に籠る笑い声を漏らす。
場所が場所、警戒される事を気にする事はなく、取り敢えずはメモ読む相手の出方伺って。
続く返事には少しばかり目を丸くしつつ、なんとも幸運な偶然に感謝をするのだった。)

「店主でなく、店に用事と言うと……それこそ買い物か?
あんたのような身なりなら、独りで歩くのはなんとも、似合わんがな。
まあ、目的地が同じなら都合が良い、よければ連れて行ってくれ。」

(届け物と依頼書もついでに見せておこう、警戒されないことに越した事はない。
どうやら奴隷調教用の薬類、それこそ彼女が作るような物も混ざっているだろう。
相手が納得したのなら、その案内に従って隣を歩むつもりで。)

アディ > (自分が思ったよりも大きな声を上げてしまったようで、恥ずかしいと言わんばかりに肩を落とす。
ああ、笑われてしまったし。
偶然とはいえ同じ目的地を目指す者同士、やはり1人で歩くというのは少々心細く
ようやく人心地を得たような気分だった。
女が一人で歩くには少々雑多すぎて、歩くにくくもあったし。)

「ええ、あちらのお店とは長くお付き合いしておりまして…
行商から戻られたと聞いたものですから。
たまには街歩きでもと思ったのですけど…慣れないことはいけませんね」

(少々、というかだいぶ後悔した物言い。
彼と出会ったところから店まではたいした距離はないものの、
人混みが邪魔をして歩くにくく感じる。
道案内をしているつもりだが、あっちへふらりこっちへふらりとまっすぐ歩けていない姿は男には頼りなく見えるかもしれない。)

リヒト > 「たまには、と言うと。普段はあまり出歩かないのか?
見た目だけでの判断にはなるが、中々良い所の令嬢のよな雰囲気がある。」

(たまの街歩き、散歩に向いた場所でもないだろう。
彼女の後悔の声音に重ねるよう、男がくすりと笑った。
人混みと喧噪に溢れた道はただ二人だとしても中々に歩きづらく。
ついで、頼りなくふらつく相手の足取りは歩きづらさを余計に増させていた。)

「しっかりしてくれ、はぐれられては俺が困る。
なんなら手でも引いてやろうか。」

(相手のふらつきに合わせ、寄ったり離れたり繰り返さねばならぬ男が文句を言う。
片手差し出して相手の腕を誘うのは、勿論冗談の響きではあるが、半分本気。
返事に迷っているくらいであれば勝手に手を掴んで、歩きやすい形に落ち着かせてしまおう。)

アディ > 「まあ、初めてお会いした方にそのように仰っていただけて光栄です。

普段はあまり…というより、ほとんど出歩くことはございませんねぇ…
今からお会いする方も普段はこちらに来ていただいているんですけれど、
どんなところなのか一度は見ておきたいと思いまして…」

(なにせ、お得意様があちらこちらにいるのだし…とは言わないが。
道案内が頼りなくてついに文句を言った男から差し出される腕に、
少し驚いたように目を開いた。
あまり迷う様子もなく、遠慮なく腕を絡めさせてもらう。)

「――…ふふ、エスコートがお上手ね。
女性の扱いは慣れていらっしゃるの?」

(先程から気を遣ってそばを歩いているのが十分にわかる。
粗野に見えるけれど見目も整っているし、女性には困ることなどないのだろう。

男と連れ立って歩くだけで驚くほど歩きやすい。
ようやく人混みを抜けると二人の目当ての店が姿を表した。
ぼんやりとした明かりが灯り、店の前にcloseの看板が立っている。)

リヒト > 「女に関わらず、何かを運ぶのには慣れているさ。
お前のような美人ならそれが丁寧にはなるがな。」

(身なりの話だとか、美人だとか、そう褒める言葉の響きは案外甘くない。
ので、口説いているとも世辞だとも聞こえにくいだろう。男から見た事実の羅列、に似て。

腕を緩くとも絡めていれば、遠慮して距離作る必要なくなった分だけ歩きやすく。
彼女からしても、人混みに退けられてふらつくことが随分と減ることになっただろう。
そうこうしていれば、元より大した距離でもなし、目的地には早めに到着できる。)

「――店主に会いに来たんだったか?
場合によっては骨折り損だな、可哀想に。」

(closeの看板を出すにはまだ早い時刻であるから、店主が留守なのだろうと推測する。
実際はどうあれ、男は届け物だけ出来れば十分であるので、適当に荷物受けでも利用しよう。
たまの外出が全くの無駄足になるのかもしれない彼女の方を見れば、口元緩めて薄く笑み。)

アディ > 「褒めてくださってるの?うれしいわ。
丁寧に扱われて喜ばない女なんておりませんもの」

(素っ気ないともとれる男の言葉の羅列は好ましく、
他愛もない会話も心地よい。
なるほどさっきまで自分は心細かったんだな、と認識した。

目的地に到着したところでようやく一息つけた。
たいした道のりではなかったけれど、人混みを歩き慣れない身としては
ちょっとした冒険にも近く感じられた。)

「いいえ、心配は御無用よ。
店は閉じるように言ってありますの」

(closeの看板が立てられている店の扉に手をかけると、
するりと開いていくのだった。
まるで我が店かの如く、男を連れ立って店の中へ。
生活道具から拷問具まで幅広く取り扱うこの店の中は
軽い足取りで歩くには物々しく、薄ぼんやりと照らされた
商品たちがなんとも不気味に浮かび上がるようだった。

その向こう、カウンターには小太りの男が二人連れ立っているのを
とっても不思議そうな顔で見つめている。)

リヒト > 「は、は。荷物と違って喜ぶのなら、丁寧にする価値もある。」

(言葉交わす内、静かに口元緩めるだけだった笑みに音が乗る。
特別に良いことがなくとも、道中は楽しく過ごすに越した事はない。)

「ん、成程……――店主か?荷物と客を届けに来た。
たまたま表で、俺の方が案内を受けてな……そう不思議そうな顔をしないでくれ。」

(我が物顔に店へと入り込んでいく彼女へ、半歩遅れて男が入店する。
物々しい商品の取り揃えではある物の、この地区ならば珍しいわけでもない。

幾つかの、装飾過多な器具などに視線惹かれたりもしつつ、まずは目的の店主の下へ。
相手も荷物が届くことは知っているから、引き渡しから支払いまではスムーズに済むだろう。
話しかける店主が不思議そうな顔しているものだから、隣と目合わせてから軽い説明も添えて。)

「そう言えば、この店と長く付き合いがあると言っていたが。
一体全体、どういう関係なんだ。」

アディ > (届け物があると聞いていたから、店には先に入ったものの
お先にどうぞ、と促し少し後ろで待っていることにする。
女は何某かの花を乾燥させたものだったり、木の根のようなものだったり…
そんな少々色気のないものばかり。

男の用事が済む頃に隣に立つと、不思議そうな店主のほうへにこりと微笑む)

「ごきげんよう、ご無事で何よりですわ。
わたくしのお願いしたもの、用意してくださったんでしょ?」

(店主は、恐縮した様子でぺこぺこと頭を下げる。
用件を言い渡すと店の中とは似つかわしくない華美な装飾をした箱を
女の前に差し出し、箱の中身を開けて見せた。

ほんの僅かな、木の枝と花。
そして花の蜜であろう琥珀色の液体が入っている小瓶。)

「関係? ああ、そういえば何もお話せずにきてしまって…
うぅん、そうね… 取引先、といえばいいのかしら。
わたくしは薬屋なのだけど、世界中のいろんなものを使いたくて。
この方が旅に出るときに欲しいモノをお願いしてますの。」

リヒト > 「薬屋で、その仕入れのための関係と言う事か。
てっきり奴隷を飼う好事家あたりかと思っていたが……外れだったな。」

(店主の応対の仕方から、やはりこの女がそれなりに良い家柄なのだろうと察しつつ。
特にそれで大きく態度変えるでもなく、相変わらず淡々とした口調で冗談を飛ばした。

話し続けつつ、隠す様子も無いから箱の中身は遠慮なく覗いてみせて。
知識のない男には、ただの植物としか思えない物へついつい首を傾げた。)

「全く量が無いように見えるが……余程珍しい木か何かか、これは。
どんな薬の材料にするつもりなのか、と……ふふ、いや、すまない。
知識がないくせに、職業柄かどうにも話を聞きたくなってしまう。」

(覚えた疑問をまた連続で飛ばしてしまった物だから、自分でその問いを一旦下げる。
そもそも名前すらも知らぬ、偶然出会っただけの仲、あまり聞き過ぎるのも不作法だろうと。)

アディ > 「ふふ、ご期待に添えなくて申し訳ありません。」

(出会い頭に奴隷を眺めていたのがよくなかったのか、
とんだ好事家だと思われていたらしい。
まあ実際見ていたものは奴隷だったのだから、致し方ない。

横から覗き込む男に見えるよう箱を傾ける。
ほんのりと甘い香りと、枯れ木の匂いが漂う。)

「ええ、それも花が採取できる時期が限られてまして…
今回ちょうどその時期に旅をなさると聞いたので、
無事に受け取れて安心いたしました。

少量でも十分な効果が期待できます。
それこそ何百人にも与えられるほど…

いいえ、ご興味を持っていただけて光栄ですわ。」

(箱を閉じて包んでもらう合間、男の疑問にゆったりと答えを返した。
好奇心旺盛なのかそれも仕事の一環なのか。
包みはあまり待つことなく差し出され、無事に受け取ることができた。
男の用件も終わっているようだからと連れ立って店を出ようとして)

「そういえば… わたくし、名乗りもせずについてきて頂いてましたね?」

リヒト > 「何百人……薬とはわからんな。食えば一人分にもならないような量なのに。」

(実物の大きさを見たからか、余計に彼女の言う効果の強さが信じられない。
唸るような声出しつつ、彼女の用事終わったあたりで男も荷を背負い直す。
来た時と同じよう、二人そろって入り口を抜けて、夜の闇少し増した喧噪の中へと立ち戻る。)

「いや、そもそも俺も名乗っていない、そう言う物だろう。
だが何かの縁と言う事で聞かせて貰えるのなら、それは勿論嬉しいことだ。
俺は運び屋のリヒトと言う。機会があれば、お前からも仕事を受けたいものだな。」

(至極今更の事になりつつも、折角の機会と言う事で男は自分から素性を名乗るだろう。
ちゃっかりと仕事の売り込みなんかもしながら、聞けるのならば彼女の名前も記憶に留めた。
さて、用事が済めば後はもう帰路を辿るだけ、宿へ戻るもよし、酒を引っ掛けに行くも良し、そんな時間帯。)

「そちらはもう帰りか?どうせ道は同じだろう、途中まで送らせてくれ。」

アディ > 「本当に。 でも、それがおもしろいのではないかと思って…
なぁんて話をすると、変わってると言われてしまうんですけど」

(男の唸る声もわからなくもない。なんせ本当にひとかけらなのだから。
店の前まで見送りに出た店主に軽く挨拶をすると、
また世界が戻ったようにざわめきはじめる。
静寂を恋しいと思いつつも、別に何も言われていないけど
今一度男の腕を取りつつ)

「わたくしはアント―ニアと申します。
親しい人はアディと呼んでくださるから…
あなたにもそう呼んでいただけるとうれしいわ。

そうね、あなたのような方なら安心して任せられそう。」

(夜も深くなり、市場はより一層騒がしくなっている…ような気がする。
店の中が静かだったせいでそう感じているだけなのだろうか。
途中まで、と彼は申し出てくれたのでよろこんで受けることにする。)

「ええ、あまり長居しないよう家のものに言われてますし…
でも本当は少し名残惜しくて。」