2020/01/20 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にソーニャさんが現れました。
■ソーニャ > 「しつこいわね、違うって言ってるでしょ!」
きっと鋭く睨めつけて、腕を掴む男の腕を振り解こうとするも、
無駄に肉付きの良い無骨な指が解けることは無かった。
逆に声を張り上げたことで、別の男が寄ってきて取り囲まれるという、
絵に描いたような悪循環の真ん中で、己はますます剣呑な表情になる。
「何度言わせるのよ、あたしは売り物でも、奴隷でもないの!
その辺のガキどもと一緒にしないで、腹立たしいわ!」
その辺、と指差してみせた檻の中、これから売りに出されるか弱い生き物たちが、
びくびくと身を震わせるのが目に入って、いっそう苛立ちが募る。
あんなモノたちと同じだと思われているなんて、魔族の矜持が許さない。
しかし現実問題として、男たちに取り囲まれ、腕を掴まれた己は、
このままオークションの舞台へ引きずり上げられてもおかしくない状況にあった。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にルヴィエラさんが現れました。
■ルヴィエラ > (此処最近、この都市へ訪れる機会が増えて居るのは
新たに迎え入れる娘を探すと言う目的も在った。
既に壊れて仕舞って居る娘では致し方が無く
全てを迎え入れる程の王国が在る訳では無い
素養か、或いは覚悟の何れかが伴う娘でなければ
迎え入れた処で、唯其の娘にとって不孝で在る事には何ら変わらぬ
其れでは――客の前には出せぬのだ。
余り目立たぬ様相で通りを歩きながら
ふと、幾人かの「売り物」に視線を投げていた矢先
道の先の騒がしさに気付いて、其方を見やった。
見れば娘が一人、数多の男に囲まれている状態
何もこの街で珍しい光景では無い訳だが。)
「―――――……おや、こんな所に居たのだね。」
(――暫し、様子を窺った後で。
そんな声を主張するように響かせては、男達の隙間から割り入った。
まるで、さも知る仲で在ると言わんばかりの気安さで
彼女の背へと片掌を触れさせたなら――其の刹那、彼女の頭の中に一言
声を送るだろう。)
『――合わせて置きなさい、面倒が増えて仕舞うよ』
■ソーニャ > 己の立場を誤解させる一番の原因は、恐らく首を彩るリボンチョーカーだ。
一見するとファッションのようでもあるが、見る者が見ればそこに宿る、
封印の力の残滓を感じることも出来る筈で。
それが飾りでは無く首枷の類であると気付かれてしまえば、そこから先は。
だから、己が小さな身体で幾ら吠えても事態は変わらず、
今にも無理矢理担ぎ上げられるのでは、といったところで。
不意に、一人の男が輪の中に分け入ってきた。
その男の手が背中へ触れて、反射的に、馴れ馴れしい、と怒鳴りそうになったが。
「――――、人を迷子扱いするなんて、良い度胸じゃないの。
あたしを先に放り出していったのはそっちでしょ、
おかげで酷い目に遭ってるのよ!」
すう、と大きく息を吸い込んで、渾身の芝居である。
もっとも、普段の己の態度と大差は無いのだが。
立てた人差し指で新たな男の胸元を小突き上げんばかりに、
さも、男が己の連れである、という態度を示してみせた。
てっきり何処かの逃亡奴隷だと思っていたのか、それともカモだと思っていたのか。
己を取り囲んでいた男たちが一斉に、闖入者たる男へ視線を向ける。
誰かの口から不満げな声で、何者かと問う声が上がった。
■ルヴィエラ > (実際、相手の立場が誰かの連れで在ろうと
主人が不在の間に連れ去られ、何時の間にか売り飛ばされる
そんな事も在りえるのがこの街だ
あと数分遅ければ、或いはもう少し他の男達が取り囲んでいたら
彼女の扱いが如何なって居たかは、凡そ察しが付く
其れを、必ずしも止める訳では無いし、放って置く事も在る、が。)
「おやおや、其れは誤解でね。
一応これでも、はぐれたと判った後は探していたのだよ?
まぁ、結果こうして見つかったのだから、赦してくれるかな。」
(まるで「いつもの」掛け合いの如くに、そう返しては
のほほんと笑って、彼女の肩に手を回すだろう
ふと、周囲から掛けられた不満の声には、僅かに振り向いて
そうだね、と、少しばかり考えた後に、フードをほんの僅か
目元が垣間見える位に持ち上げて見せてから。)
「『ファタール』の者だと言えば…通じるかな?
ハイブラゼールでは、其れなりに名は通って居ると思うのだがね。」
(――果たして、周囲は其れで納得するだろうか
それとも、逆に訝しみ、怪しむだろうか
ハイブラゼールの高級娼館、その名前自体は、こんな場所で在れば知る者は多い筈だが
問題は、信用されるか否か、だろう)。
■ソーニャ > 厚底のブーツを履いていても、彼我の身長差は歴然としている。
しかしなればこそ、少しばかり背伸びをしてでも、
己は銀髪の男の胸倉を掴みさえしてみせよう。
「遅いのよ、もう少しで売り飛ばされるところだったわよ!
覚えてらっしゃい、後でお父様に、嫌というほど叱って頂くから!」
ぐっと顔を近づけて、爛々と輝く金色の瞳には、混じり気の無い怒気がある。
色だけは父譲りの眼光ではあるが、迫力の程は如何なものか。
ともあれ、親しげに肩を抱く腕を払うことはせず。
男の身元を質す声に、返した言葉の中身はほぼ理解不能。
ハイプラゼールとは確か、王国随一の歓楽街の名だったか、と思う程度。
しかし、それを聞いた男たちの方は直ぐに理解したらしい。
若干一名、お前も売られる側じゃないのか、などと言い出した者が居たようだが、
別の男に慌てた様子で制止されている。
どうやらこの男、それなりに名も顔も売れている、ようだった。
自然に一端が崩れた輪を抜け出し、彼らの目が届かぬところまで。
大人しくついていくのも、そこまで、である。
人目が周りに無いと見るや、己はぱしりと、肩に乗った男の手を叩きにかかり。
「――――お礼なんか言わないわよ、お節介男。
いざとなればあんな連中、いつだって皆殺しに出来るんだから」
助けられた、ということの方が屈辱だと言いたげに、
不機嫌丸出しの表情を男に向ける。
■ルヴィエラ > 「まぁまぁ、其の時は責任をもって何とかさせて貰うよ
君の「お父様」は気難しい上に、子煩悩で在るからねぇ。」
(胸倉掴まれながらも暢気な笑顔は変わらず
あははは、なぞと笑いながらも、抵抗せずに揺さぶられよう
さて、如何やら多少の効果は在った様だ。
ファタール自体が、この都市でもそれなりのお得意様で在るのだと
どうやら集まった者の中でも、知る者は知って居たのだろう
約一名、不遜な物言いをした男が居た様だが――今は、放って置こう
集団の輪が、自然と崩れた端を彼女と共に歩み抜け出せば
再び、元の何事も無い街中まで戻って行き。)
「―――――勿論、私の勝手な気まぐれなのだからね。
だが、無闇に騒ぎを起こしては、君も彼らも面倒なだけだろう?」
(ぱしり、払われた掌に、彼女を見下ろす。
別に謝礼など期待してはいないと、一言告げれば口元を笑ませ
けれど、再び彼女の腰元に腕を回せば――其処から、娘の身体の奥へ
とぷん、と、黒き蛇を二匹、水面へ沈む様に潜り込ませて。)
「だが、そうだね…折角だ、なぜこんな所に居るのか位は、教えてくれるかな?」
(さて――娘の感覚や魔力への感知が高ければ、気付けるやも知れないが
そうでなければ、続いた質問に意識を引かれて仕舞うだろうか
自然、話すのには邪魔だと路地の裏へ入る様に促しては
人目を、避ける様に)。
■ソーニャ > 暢気な顔で揺すられるに任せるのも、大人の余裕というものか。
それはそれで腹立たしいが、あまり悪目立ちするのも避けたいのは事実。
ふん、と鼻を鳴らすだけに留め、掴み寄せた手は直ぐに放した。
オークション会場の喧騒を離れ、少し歩いたところで。
馴れ馴れしい男の手を払い、投げつけた言葉を捨て台詞に、
男からも離れようとしたのだが。
肩から離れた掌が、腰の括れを捉えにくる。
必然的に引き寄せられて踏鞴を踏み、ますます深く眉根を寄せながら。
「何、……気安く、触らないでちょうだい。
あたしが何処で何をしようと、あんたには関係――――、」
ズ、ル――――――
睨み上げた眼差しが、ちょうど、男の紅い瞳を真っ直ぐに捉えた瞬間。
身体の奥、腰へ触れた掌では到底触れられる筈の無いところで、
何かが這いずるような感覚に襲われた。
ぎくりと身を強張らせ、咄嗟に片手で男の手首を掴みにゆき、
「―――――何を、してる、の」
詰問、というには震えが勝り、確認、というには不安げに過ぎる。
けれども確かに、何か、が身体の中に入り込んでいるのを感じるから、
それを仕掛けているかも知れない唯一の存在たる男の手は、
引き剥がしてしまわねばならない。
問題は己の片手の力程度で、それが叶うか、であるが。
声を荒げようにも、辺りにはいつの間にか、人影ひとつ見えず。
■ルヴィエラ > (本当に其れだけの力が在り
かつ、無残に人間達を殲滅せしうる残虐さが在るのなら
恐らくはこの街なぞ、既に壊滅している事だろう
だが、其れをしないのは、力の存在が騙りで在るか
或いは、そこそこに「理性的」で在るか、だろう
引き寄せた娘が、未だ拒めども抵抗にまで至らないのなら
其の顔を見下ろしながら、僅かに首を傾げて見せ。)
「―――――完全に無関係、とは言い難くてね。
君が、唯散歩をしていただけと言うのなら、其れは其れで」
(都合が良いのだけれど、と、一言を。
そうして――人目のない場所にて、フードを取る
彼女の司会に、其れまでフードに隠されて見えなかった
己が姿を、顔を晒しては――ひと目で、人間では無いと知れるだろう
彼女の胎の奥に潜り込んだ二匹の蛇が、臓腑を這う
そして辿り着くは、雌の核たる子宮――聖域たる器官
其処に、緩やかに絡みつき、戒める様に甘く締め上げ)
「……何、私と出会った証をね。
こうしておけば、君の言う「お父様」にも伝わるだろう?
娘が、誰の元に囲われたのかを、ね。」
(漸く――抵抗を見せた彼女の腕では、己が腕を解く事は叶わないだろう
其の身体を、ひょい、と抱き上げて仕舞えば、目線の高さは同じとなり
そして――其のまま、叶うならば娘の存在を、己が背後にある影の中へと
引きずり込み、攫おうとする筈だ
もし、其の段になって娘が更なる抵抗を見せるのなら、其の時は
胎の奥、子宮へと絡みついた蛇が両翼へと牙を突き立て
媚毒を、流し込み始めるだろう)。
■ソーニャ > 理性はともかく、人間に対する慈悲の心など。
欠片ほども持ち合わせていない己が、力を発揮しない理由はただひとつ。
発揮すべき力が、深く強く封じられているからだ。
被っていたフードを取り払い、こちらを見下ろす男の貌。
紅い瞳も、整い過ぎた造作も、明らかに人の理を外れた美である。
勿論、それだけで己が呑まれるようなことは無いが、
「や ―――――― め、離し、……
ひ、かえろ、無礼な、―――――― っ、っ……!」
ゾロリ、と臓腑の間を潜り抜け、這い回る闇色の何かが、
雌を雌たらしめている象徴、ある意味最も脆弱な器官を絡め取る。
無意識に下腹へ力を籠めたけれども、竦み上がればそれだけ深く、
甘く、やんわりと、逃れられぬように縛されて。
「は、な……し、………離し、なさい、ふざけるな、っ……!
誰が、あんたなん、か、―――――― ひ、ぃ、!」
掴んだ手首を引き剥がすどころか、軽々と抱き上げられて攫われそうになる。
声を荒げ、じたばたと手足を暴れさせて抗おうとしたが。
胎の中で蠢く蛇が鎌首を擡げ、大きく口を開けて噛み付いた。
子宮の両翼を襲った鋭い痛みが、痺れるような熱感に変わり――――
一瞬にして、意識を刈り取られてしまう程の官能が全身を支配する。
くたりと脱力した娘の身体は、人形のように男の懐へ沈み。
程無くして男の姿ごと、路地の暗がりに呑まれ――――消えた。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からソーニャさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からルヴィエラさんが去りました。