2019/09/11 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (――――とん、と伸ばした靴先がその地を踏み締めた瞬間、しまった、と思った。

薄暗い空間、漂う香りは甘いような苦いような、とにかくあまりよろしくない感じで。
頑丈な首輪に虚ろな眼差しの奴隷たちが収められた檻と檻の間、
細い通路へ降り立ったことに気づくと、思わず、うわあ、と声が洩れた。)

う、っそだろ……全然、方向違う……。

(方向、というより、もはや街が違う。
確か、己が影を渡って赴こうとしたのは、王都、ではなかったかと。
確かにここも、暗がり、には違いないけれど――――。)

いや、……真面目な話、どうすんの、コレ。

(ほんの少し歩けば通りへ出られるだろう、ただし、通路にはここの店主であるらしき、
たいへんに恰幅の良い商人が立ちはだかっている。
その脇をそっと潜り抜けて―――出られたとして、外は悪名高いバフートの街。
ならばもう一度、背後の暗がりから潜って帰還を試みるべきか―――しかし。)

……もっかい挑戦して、もっととんでもないところに出ちゃったらヤだしなぁ。

(とはいえ、ここに長居もしたくない。
幸い、檻に入れられているのは己と似通った年恰好の少年少女たちばかり。
とりあえず大きな檻の陰に蹲って身を隠しているつもり、ではあるけれど、
いつ見つかるか、はっきり言って気が気ではなく。)

ご案内:「奴隷市場都市バフート」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 『本日は、労働力として有用な男のガキなども市場に多数出ておりまして』
「……あのさぁ。オレがショタガキ買って、使うだの楽しむだの思ってんのか?」

バフートの馴染みの店の店主に声かけられ、郷の目玉商品の並ぶエリアに移動する最中。
男は、店主に対して辟易したような声を向ける。
まぁ、店主の言わんとすることも分かる。
若い男の奴隷というのは、使い勝手がいい。
丁寧に扱ってやれば、従順な労働力、そして護衛としても育てられる。
とはいえ、冒険者たる男にはそんな相棒は不要であるのだが。

「……え゛」

その檻を見た時に、変な声が出た。
なんだか。見覚えのある。少女然とした知人。
っていうか、最近語り明かした友人というかなんというか。
そんな人がいらっしゃられるような?

【……おい。リュシー。お前何してんの】

とりあえず、店主などがおかしなことをしないように、と。
【念話】の呪文を使ってその知人に声無き声を送る。
この呪文は、対象の名前が分かれば、音声を発さずとも会話可能になる呪文だ。

【まさか捕まったのか? そんな姿、親父さんが見たらやかましいことになんぞ?】

やれやれ、という様な様子を見せつつ、相手の身を案じる男。

リュシー > (―――誰か、客が現れたようだ。
ちょうどいいから店主がそちらへ向いている間に、
こそっと逃げ出してしまおうか、と思って―――思って、そちらへ目を。
向けたら思い切り、見知った顔と目が合った。)

――― げ。

(思わずこぼれた呻くような声は、店主の耳には届かなかったようだけれども。

ちょっと面倒なことになったかもしれない、どうしようかな、なんて思いはじめていた時に、
頭のなかへ直接、その男の声が届いた、気がした。)

――――――?

(きょん、と目を瞬かせ、小首を傾げて己を人差し指で指し示す。
それから少し、―――逡巡する間をあけてから)

【捕まってない、けどこのままだと捕まるかも】

(短い台詞を彼の頭へ、上手く届くといいのだが。
己の首許を掌で撫で、首輪がついていないことを示してから、
両手で顔を覆い、頭を上下にゆさゆさと。
えーん、えーん、なんて下手くそな泣き真似までが、彼の頭に届くだろうか。)

セイン=ディバン > 【……あん? どういうこった?】

相手からの言葉に、男は首を微かに傾けるが。
そこで、男は相手が商品として檻に入っているわけではないことに気付く。
奴隷の証。首輪が無いのである。
ここで男は考える。もしもこの知人を購入しようとした場合。
『改めて首輪を付け直す』などということが起きてしまうかもしれない。
そうなれば、手間が増える。値段を吊り上げられるかもしれない。
あるいは、この相手の素性を探られるかもしれない。
なので……。

「あぁ、店主。この檻から何人か買わせて貰うぞ。
 ちょっと、檻開けてくれや」

男は、余計な出費をすることに決めた。
複数人の奴隷の購入、という男の言葉に気を良くしたか。
店主は檻の鍵を開けると、同時に。首輪の鍵も手渡してくる。
これも、この街で何度か買い物をしていて、信用を勝ち得たからできたことであり。

「……お前と、お前。あと、お前。それに……。
 お前だ。オラ、キリキリ歩け」

適当に、少年、少女、少年と指名し。最後に相手を指名する。
そのまま、店主に見えない角度で首輪を全員外し。
相手が元より首輪をしていないのが不自然ではない状況を作る。

「おら、代金。つりはいらねぇぞ」

そこで男は檻から出て、店主に代金を払った。
店主が金勘定に夢中になっている間に。相手のことを小脇に抱えつつ。
他の奴隷たちに小声で囁く。

「悪いが、俺はお前たちを買ったが、面倒を見る気はねぇ。
 どこへなりとも好きに逃げて、勝手に野垂れ死ね。
 ……それがいやなら、王都の冒険者ギルドで、『セイン』の名を出して下働きでもしろ」

そう告げ、まだ檻の中にいる奴隷を見る男。
表情は、どこか哀しいもの。残念ではあるが。
男は、全ての奴隷を助けることなどできないのである。

「……んで。リュシー。とりあえず助けてやったけど。
 何か言うことあるんじゃねぇか?」

ふぅ、と息を吐き、相手に告げる男。
店主に軽く手を振りながら、男は、相手を連れて近くの酒場へと向かう。

リュシー > (彼の疑問はもっともなのだが、はて、どう答えれば良いものか。
とりあえず、降ってわいた天の助け、逃したくはないなぁ、と思う。
だからもうあとは、必死で両手を胸の前で組み合わせるポーズをするのみだ。

そうこうするうちに―――彼のほうが「テ」を考えてくれた様子。
すぐそばの檻の中から数人の少年少女、そして最後に己を指し示す。
すかさずそそくさと俯いて、買われたばかりの彼らに紛れて店の前の通りへ、
―――そこで、ひょい、と抱えられてしまったのは誤算だったが。

あ、首輪を外すふりですね、ワカリマス。
ソレはわかりましたけれども、何故にまだ抱えられたままなんデショウカ。
そんな疑問を目顔で彼にぶつけてみるが、まだ店主の目も気になるところ。
解放、というか、放逐、というか、とにかく共に「買われた」子どもたちが、
店主の目につかぬあたりで離れて行き―――そうして、ようやく。)

……えっと、……アリガトウゴザイマス、オニイサン。
このご恩は一生ワスレマセン。

(恥ずかしいやらみっともないやらで、彼の顔をまともに見られない感じ。
深々と頭を下げて、下げて、下げて―――ついでにそっと視線を逸らしてみる。)

てゆーか、親父にバレたら、嬉々として買い戻しにくるよ、あのヒトなら。
なんならその場で、どっかの変態貴族に売りつける、まであるかもしれん。

(いかにも貴族らしい、というべきか、冷えきった親子関係を暴露しておくのも忘れない。)

セイン=ディバン > 男は、善人では無い。人格者でもない。
どっちかと言えば外道で、小悪党だ。
なので、奴隷を複数買ったのも、全てこの相手の救出をスムーズに行うためであって。
それ以上の意味など、存在しないのである。

「まったく。何をやってんだ、お前は。
 ……あ~、一生恩に着られても困るけどな。
 そこまで大した事をした訳でもねぇし」

相手が頭を下げてくれば、男は相手を降ろすが。

「……だろうなぁ。お前の親父さん。最近面白い噂ばっかり流れてるぞ?
 お前さんのこと利用して、国の政にでも進出する気かねぇ」

相手の親子関係に、男は苦笑しつつも。
声色は同情そのものの様子であった。
そうして、男は相手を連れて酒場に入ると。

「さて。助けてやった所で。
 酒場の美味しいお食事とトークでオレを楽しませるか。
 白くて濃~いお食事で俺を楽しませるか。
 どっちがいい?」

なんて。相手の顔を覗きこみつつ、男はそんな事を尋ねるのであった。
もちろん、男としては相手は割りと気に入っているのだが。
助けた以上は恩返しはしてもらうつもり、ということらしい。

リュシー > (たった今、目の前の男に買われて放逐された子どもたちにも、
なんなら檻の中に残してきた子どもたちにだって、
何も感じない、ということはない。
ただ、―――すべてに手を差し伸べようとするのは、傲慢だと知っている。
だから己だって、そこを追及しようとは思わないのだ。)

うん、……自分でも、何やってんだとは思ったよ。
移動は普通に歩いてするべきだ、と、心の底から思ったともさ。

(うんうんと深く頷いて、顔をあげたと思えばひどく遠い眼差しをしてみせた。
言えない、言いたくない、力を使い損ねて迷子になり、
危うく奴隷の仲間入りだった、なんて、カッコ悪すぎる。
しかし、―――どうやら悪名轟きまくっているらしい父親の話題には、
はは、と苦い笑みに口許をゆがめ)

まあねぇ、あの人にしてみりゃ、跡継ぎも残せないロクデナシのバカ息子が、
とりあえず見た目だけは利用価値のあるモノに生まれ変わったんだからさ。
使いたくなる気持ちはわかるよ、使われてやろうとは思わないけどね。

(このあたりはまるで不案内なので、連れてこられて初めて、
そこが酒場だと気づくありさま。
そうか、ならば奢るぐらいは、と懐事情を思い出そうとしたところ。
こちらを覗きこんできた彼の顔を、しばし、真顔で見つめ返して)

―――――ソレ、前者は確かにぼくがご馳走する側だけど、
後者だったらご馳走すんのはセインのほうになるんじゃないの?
さっきめちゃくちゃ散財させたからね、……ぼくとしちゃ、
セインのお好み次第でどちらでも、って気分だけども。

(笑い交じり、片手を口許へそっと当てて、投げキッス、の真似事までつけてみた。
なんなら両方でも良いぞぉ、なんて、それは冗談のつもりだったが。)

セイン=ディバン > 男としては、自分の出自的に、奴隷たちを助けたいという思いもあった。
だが、現実的に考えて、それは不可能なのだ。
だからこそ、男は感傷的な言葉を口にしない。

「……うん? まさかお前さん。
 オレの空間跳躍の呪文みたいに。
 特殊な移動呪文で手抜き移動してヘマしたんじゃないだろうな?」

相手の言葉に、男が食いつく。
男の使う【空間跳躍】も。少しでも集中を切らすとあらぬ方向に跳ぶことになる。
故に、男は呪文使用には細心の注意を払っているのだが。

「なるほどな。まぁ、理屈は分かる。
 ……そりゃあなぁ。使われてやる理由は、ないもんな」

例えどれほど面倒を見てもらっていても。
ある程度の年齢になれば自分の人生は自分のものだ、と。
そんな風な理解くらいはしている男である。
とはいえ、今回の様に危険な目に遭うのなら、多少はおとなしくしていたほうがいいのではないか、と忠告しそうにもなるが。
それもまた、自由なる人生だよな、と。
男は、そう考えて言葉を飲み込んだ。

「どうせお前のことだ。腹減ってんだろ?
 そっかそっか。よし決めた。
 マスター、三階の部屋借りるぞ」

相手の言葉をしっかりと聞いた男は、ニヤリ、と笑い。
マスターから鍵を預かり、相手を肩に担ぎ階段を上る。
そのまま、二階、ではなく三階へと到達すれば。部屋のドアを開け、のっしのっしと入室。

そこには、まるで王城の一室のような。豪華な内装が広がっていた。
天蓋つきのベッド。棚に入った様々な酒。
大きなピアノに、黄金の湯船。なんというか。
成金趣味すら感じるような部屋であったが。男は気にせず、相手をベッドへと放り投げる。

「頼めば飯も届けてもらえるが。どうする?」

くす、と笑いつつ、男は相手にそう言い、服を脱いでいく。
どうやら、既に相手を抱く気は満々らしい。

リュシー > (人間の腕の長さは限られていて、抱えられるものも有限である。
それはたぶん、どんなに金持ちになったところで変わらない現実だ。
需要があれば、供給は減らないのも道理ではあるし。
―――――たとえば己にしたところで、今夜、彼に出会わなければ、
どこへ売られていったやら、であるのだし―――)

………ソコ、食いつくな、詳しく訊こうとすんな。
わかるだろ、察してんだろ、だったら黙って見逃せよ…。
苛めっ子か、ドエスか、お前さんは。

(じっとり、少女の姿であるせいで、今夜の視線はいつも以上の上目遣い。
睨みつけて、くちびるを尖らせて、訊くな、ともう一度繰り返す。

そんなこんなで、いろいろと考えの足りない己ではあるが。
己の立場はそれなりに理解している、しかし、家名に縛られるつもりはない。
へへ、と照れ隠しに肩を竦ませながら)

…ていうかさ、こんな跳ねっ返り、押しつけられるほうも気の毒じゃん?
しかも、もとは男で、オッサンなんだから。
だからぼくが実家に帰らないのは、その、誰かさんのためでもあるよねぇ。

(しかも、ヘタをすれば精気を根こそぎ奪われる、なんて危険も付きまとうのだから、
己が父親の敷いたレールから逸脱するのは、いわば人助けでもあるのだ、などと、
少女の口から紡がれるには、少しばかり品のない軽口を。

ともあれ―――――)

へ、……あれ、え?
いや、いやいやいや、……え、マジ?

(つい先刻、解放されたばかりだと思っていたのに、
またしてもあっさり担がれてしまった。
小柄な身体が恨めしい、というか、この口の軽さが悔やまれる、というか。
とんとんとん、と階段を上がる足音は淀みなく、ぷらぷらとぶら下がる己は、
荷物のように運ばれてゆくわけだが―――こんな街であるし、こんな国であるし、
誰も男の所業を咎めもしない、どころか見もしない。
ぽうん、とベッドに放り投げられるまで、完全に男の思うまま、である。)

……す、ごいな、ココ……。
一階の造りから、ぜんぜん想像つかないじゃん…、

(天蓋付きのベッドだとか、豪奢な湯船だとか、バーカウンターだとか。
珍しい、ということはないけれども、場所柄を考えれば充分珍しかろう。
ほうほう、と興味深げに眺めていたが、相手の挙措が目に映ると、
ぷは、と思わず小さく吹き出して)

ちょ、……いやぁ、ご飯、頼んだって食べる暇与えてくれないでしょ。
それとも、運んできてくれる給仕さんに、ギャラリーになって欲しい、とか、そういうやつ?

(セインさんてばヘンターイ、とか、わざとらしく身震いしてみたりなど、
―――ひらひらしたワンピースの裾を、両手でちら、と翻してみせ)

見ての通り、今日のリュシーちゃんはロリロリなんですが。
イケナイ大人の気分、味わってみる?

(かくん、と首を傾げる仕草も、狙いすましたわざとらしさ。
そういえばこの身体では、まだ、彼とソウイウコトをしたことはなかったか、と、
頭の片隅でぼんやり考えたとか、なんとか。)