2019/02/27 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート オークション会場」にジナイアさんが現れました。
ジナイア > 奴隷都市に幾つかある、らしい、富裕層向けの特別な施設の一つ。
白い外壁は荘厳な装飾が施されており、中も凝った絨毯や飾り柱でさながら文化施設の如くだが…中央に位置する薄暗い広間では今日も、施設の装飾だけでは拭い切れない、暗い欲望が様々に渦巻いた空気が、心なしか熱気を孕んで淀んでいる……
『ショー』はまだ始まっていないらしい。少し緊張した密かな囁きを交わす、ざわざわと言う音で会場内は満たされていた。
その広間でも『貴賓席』とされる、中央舞台を少し上から見下ろす席に、押し込まれるようにして足を踏み入れた灰色の姿がひとつ。

「違うんだ、私は……」

押し入れた人物に向かって肩越しに抗議を言いかけたが、相手はすぐに立ち去ってしまったらしく、少し肩を落としてやるせないため息を落とした。

ジナイア > そうしてゆっくりと首をもたげ、灰色のフードの奥から翠の双眸が辺りを見回す。
『ショー』はまだ始まってはいないものの、間もなくらしい…周囲の席から上がる熱のこもった囁きで、それと察する。

「………」

もうひとつ、溜息をつくと、手近な空いている席を探す。取り敢えず立っているのは目立つし、廊下へ出た所でうろうろと歩き回るのも御免だった…であれば、先の人物をまた見付けるまで、大人しくしているのも一つの手だ。

暫く視線を巡らせ、漸く空席を見付けて…参ったな、と密かに呟く。最前列、端の席が、ぽつんと一つだけ空いている…

ジナイア > 端の席であるのがせめてもの救いだ…そう思いながら近付いて、空席だったわけが解った。どういう仕組みの結果かは解らないが、その席は舞台側からのライトが煌々と当たり、遠く離れた席からもその人となりが明らかな場所となっていた。

(……これは、流石に)

フードの奥で、熟れた唇が薄く苦笑いを零す。

ジナイア > そのまま後退り、振り返ろうとして人と突き当たった。済まない、と言いかけた唇が、相手の顔を確認して言葉を止める。

「……キミか」

先ほど自分をこの場所へ押し込んだ男だった。
男は蒼白でぺこぺこと何度も頭を下げ、言い訳めいた言葉をごちゃごちゃと呟く。

「いや…いいんだ。解れば。……では、頼むよ」

女が溜息交じりの声を掛けて、男は再度頭を下げた。そうして女に先立って、廊下へと歩みを進めていく。
廊下に出る前、女はフードの奥から抑揚のない顔で最後に室内を一瞥して、その場所を後にする……

ご案内:「奴隷市場都市バフート オークション会場」からジナイアさんが去りました。