2019/02/08 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート 酒場」にジナイアさんが現れました。
■ジナイア > 様々な人種、年代、性別―――売られるものと買うものたちのごった返す奴隷市。今日も今日とてどす黒いような熱気と活気に溢れているその場所から、すこし閑散とした方へと離れた酒場がぽつんと一つ。
テーブルが3つにカウンター、店員は恐らく店主らしい中年の男が一人という小ぢんまりとした佇まいで、いかにも裏さびれている…という訳でもなく、客も地元の人間らしき風体の男たちが3人、一つのテーブルを占拠して何やらひそひそと相談している。
狭い故に明り取りも一つしかなく、薄暗いその店内にフードを被った人物が足を踏み入れる。
床板がきしむ音に、店主ではなくテーブルに着いた男たちが一瞬、そちらへと視線を投げた。
■ジナイア > フードを被った人物――少し背の高い、黒髪に赤銅色の肌の女は集まった視線を気にした風もなく、翠の双眸を巡らせるとカウンターの店主の方へとゆっくりと歩みを進める。
その様子に男たちの視線も直ぐに剥がれ、元のひそひと話へと戻って行った。
「…やあ、ここはホットワインなど、頼めるかな?」
カウンターへ辿り着き、女が掠れたような声を掛けて初めて店主が視線を向けてくる。そうして黙って頷くと、カウンターに設えられているスツールへと座るよう、手で示してから女の注文の準備をし始めた。
■ジナイア > その間、フードをゆっくりと下ろすと、女はカウンターに肘をついて、熟れた唇から憂鬱そうな溜息を洩らした…
(想像は付いていたが…)
『奴隷市場』という言葉が付くくらいだ。恐らく、嫌なものを見るだろうと、解ってはいたものの……
「実際はまた…強烈だな…」
■ジナイア > 自分と似たような年頃の男女に、年若いのならいくらでも、とでも言うように少年や少女の多い事…特に自分と同じような肌の者を見かけたときは、思わず暫く目で追ってしまった。
(…もしかしたら)
自分が財を投げ出せば、贖うことも可能だった者たちも沢山いただろう…
そこまで考えて目の前にグラスが滑らされて、視線を上げると店主にありがとう、と微笑んだ。
■ジナイア > 頬杖をついたまま、ホットワインのグラスに口を付ける。
…きりがないし、現実的ではない。贖った所で、彼・彼女らに生きていく場所を与えられないのでは…
そこまで考えると、視線を手元に落として、思考を停止した
■ジナイア > またグラスに口を付けて、明日の事を考える…友人には悪いが、この都市に明日も留まろうという気は起きない。早々に一度…兎に角離れたい。
それでも今日はこの都市に泊まろうというのは(…一種の戒めみたいなものかな)
理由は特に無いのだ…僅かでもあるとしたら、もしかしたら自分の気が変わるかもしれない、という期待めいたものが、無くはない…
■ジナイア > そうして数度、グラスに口を付けて空にすると、フードを被りなおして代金をカウンターに滑らせる。
ごちそうさま、とうっそりとフードの奥で微笑んで、再び床をきしませながら店を出ていった。
ご案内:「奴隷市場都市バフート 酒場」からジナイアさんが去りました。