2019/01/09 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > バフートの一角。多くの奴隷とそれを求める者達が集まる競りの会場。
屈強な労働用の奴隷から、愛玩用の奴隷まで。様々な奴隷がステージに放り投げられ、買い手たちが次々と札を上げていく。
その様を、会場を見下ろす高座に設けられた貴賓席で無感動に眺める少年の姿があった。
「最近は奴隷も随分と安くなったものだ。余り安価に出回られても、少々面倒なのだがな」
勿論、値段相応というべき奴隷達ではある。
しかし、余り奴隷の値が崩れてしまうのも考え物であった。
時折、露出度の高い衣装を纏ったミレー族の奴隷が運んでくる飲み物でのどを潤しながら、今夜は外れだったかと小さく溜息を吐き出す。
会場の片隅で行われている購入者と奴隷が盛る様や、味見と称して群がる男達の歓声を些かげんなりした様に見下ろしながら、そろそろ酒でも頼むかと柔らかな椅子に深く凭れ掛かった。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 今一つ値段の釣り上がらない競りを聞き流しながら、持ち込んだ資料に目を通す。
武具の生産量。発注量と納品状況。参加する予定の晩餐会や舞踏会。訪問予定の都市等等。
一通り読み終えて視線を会場に戻せば、美しい魔族の娘が奴隷として売り出されたところであった。
既に多くの札が上がっており、値段も相応に釣り上がるだろう。いつの間にか背後にすり寄ってきた支配人が、ぜひ入札してはどうかと声をかけてくる。
「必要であれば買うし、必要でなければ買わん。欲しい奴隷が居れば声をかける。それまでは、買った客の相手でもしてやれ」
支配人に振り向いた時、己の白金色の髪が頬をくすぐる。
そろそろ髪を切らねばならないかな、ととりとめのない思考を走らせながら、緩く首を振って支配人を追い返した。
競りを楽しんで貰える様に手配する、といって立ち去っていったが、どうせ碌な事を考えてはいないのだろう。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > ふと階下から響く歓声に視線を向けると、先程追い払った支配人が様々な奴隷を連れてステージへ現れたところであった。
人外の種族が多く、余り見かけない種族のものもいる。確かに、競りの盛り上がりには大いに貢献したかもしれないが――
「……奴は、そもそも私が何で此処を訪れたのか分かっていないんじゃないだろうか」
此処を訪れた目的は奴隷の購入では無く、融資した金の返済が遅れ始めた支配人への詰問と査察であった。
値が上がらぬ奴隷ばかり売り捌いていればさもありなん、と思いながら、ゆっくりと貴賓席から立ちあがる。
「見るべきものは見た。全く、時間を無駄にした気分だよ」
慌てて此方を引き留めようとする女性を軽く睨み付けると、次の予定を片付ける為に足早に此の場所から立ち去るのだろう。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。