2018/12/23 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (――――とん、と伸ばした靴先がその地を踏み締めた瞬間、しまった、と思った。

薄暗い空間、漂う香りは甘いような苦いような、とにかくあまりよろしくない感じで。
頑丈な首輪に虚ろな眼差しの奴隷たちが収められた檻と檻の間、
細い通路へ降り立ったことに気づくと、思わず、うわあ、と声が洩れた。)

う、っそだろ……全然、方向違う……。

(方向、というより、もはや街が違う。
確か、己が影を渡って赴こうとしたのは、王都、ではなかったかと。
確かにここも、暗がり、には違いないけれど――――。)

いや、……真面目な話、どうすんの、コレ。

(ほんの少し歩けば通りへ出られるだろう、ただし、通路にはここの店主であるらしき、
たいへんに恰幅の良い商人が立ちはだかっている。
その脇をそっと潜り抜けて―――出られたとして、外は悪名高いバフートの街。
ならばもう一度、背後の暗がりから潜って帰還を試みるべきか―――しかし。)

……もっかい挑戦して、もっととんでもないところに出ちゃったらヤだしなぁ。

(とはいえ、ここに長居もしたくない。
とりあえず大きな檻の陰に蹲って身を隠しているつもり、ではあるけれど、
いつ見つかるか、はっきり言って気が気ではなく。)

リュシー > (考えて、迷って―――――そうして、結局。

傍らの檻のなかから突然、奴隷の少女が悲痛な声をあげたので、
店主がくるりとこちらを振り向いた。

見咎められて無事ですむとは思えないので、当然、選択肢はひとつに絞られる。
ワンピースの裾を翻し、たったいま出てきたばかりの暗がりへ、手を伸ばして―――――

ふ、と闇の中へ紛れて消えた、己の行き先は果たして、どこか。
己自身すら、いまはまだわからないことだった。)

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からリュシーさんが去りました。