2018/11/08 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にシュティレさんが現れました。
シュティレ > 最近、自分と共に住まう妹が家に帰ってきていないので調べてみた所、良くない場所にとらわれているのではないか、ということを知りました。
なので私は、その真相を調べるべく奴隷都市バフートに足を運ぶことにしたのですが……此処は今までも足を向けておりませんでしたが、想像した通りの場所でした。
退廃、下劣、獣欲、そういった物が渦巻いており、それが凝り固まった場所でありました。
私は瞼をそっと下げて、溜息を吐き出してしまいましょう。しかし、目的があるのですから……その目的に従い動くことにします。
先ずは……店の前に並んでいる檻、どれもこれも頑丈では有りましょう、私が破るのは造作もない程度のものです――――その中を凝と見ていきます。
私の愛おしい妹が囚われているのではないでしょうか、と。最近連絡がなかったのも、こういうふうに囚われていては仕方がないことだと思います。
店主がニマニマと、いやらしい笑みを浮かべて近づいてきました、私としては構って欲しくはありませんが、人を探しているので、問いかけてみることにするのです。

―――竜人の奴隷は、いませんか、と。

シュティレ > 露天の様にいくつも檻を並べているこの店は、それなりに大きい店みたいで、儲かっては居るのでしょう、店主の雰囲気やギラギラした身なりはあまり好ましいものではありません。
木造で人が何十人とは入れそうな大きさのこの店はそれでも足りないらしく、外にも檻が置かれて、檻も二段重ねになっておりました。
その中で、奴隷が首輪と鎖で繋がれてうなだれております。見たところ栄養状態も良くなさそうでぞんざいに扱われていることがわかります。
もし、妹がこんな所に捕まっているとしたのならば、私は冷静でいられるでしょうか……自信がありません。騒ぎを起こしたいわけではないのですけれども。
ふう、と小さく息を吐き出し、意識を店主に向けました。何やら彼は長々と商品の説明や売り込みをしていたようです。すみません聞いていませんでした。
とりあえず、先ほどの質問に対しての返答を求めた所居る、というのでついていく事にします。
お店の中は薄暗く、外と同じように何人もの奴隷が檻に詰められているようです。
奥の方には、高級な奴隷もいるようで、そちらはもっと厳重な檻で管理されているとのことでした。
私は、案内されるがままに、ついていく事にします。

シュティレ > 店主の話によりますと、竜人は珍しい種族らしいので、値段が高いとのことですが……私は幾許かの金子はありますし、問題はないでしょう。
案内されている途中に置いてある値段の表示を見ても、さほど高いとは思えるものではありませんでしたし。
私は、店主に連れられるがままに、奥の方へと歩いていくのです、奥に行けば行くほど小奇麗になっていくのは不思議に思います。どうせなら、全部きれいにすればいいのに、という風に。
彼のお店ですし、そこは私には関係のないことでもあります、興味もありません。
気が付けば、床は毛足の長いカーペットになり、檻も頑丈なものになっております、そして、耳の長い種族など珍しい亜人の奴隷が増えてきております。
元は高貴な人間だったのでしょう……そんな人間も捕まっておりました。
誰も彼も、目に光がなく絶望からかあまり生気が見受けられません。
生きながらに死んでいるような彼らに同情も何も浮かぶことはなく、私はそのまま値段がいくらなのかと確認するだけして、行くことにします。
最初のぞんざいに扱われていたのはミレー族というこの国の基本的な奴隷種族のようでした。私も一応ミレー族がそう言う種族だというのは聞いております。
ヒトよりも頑丈なので、そうなのでしょうね、という感想以外は持っておりません。
そして、案内されるがままに通路を進み、奥を右に曲がりました。

シュティレ > ―――私は。右に曲がりすぐに足を止めました。誰かが潜んでいるのは血の匂いがしておりましたので直ぐにわかりました。
そして、通路の方に視線を向ければそこは行き止まりで、そこで大男が棒状の何かを振りかぶっているのが見えました。
その目は、その顔は、喜悦と嗜虐に彩られた醜いもので、私と目が合いました。
次の瞬間、武器を振り下ろそうとする彼の魂を掌握し、恐怖を刻み込みます。
彼の動きは児戯とも言える技術、亀とも言える速度―――私に向かうに値しない程度の存在でした。
本来は同じ血族を一瞬なりとも動きを止める程度しかないこの力も、彼のような存在であれば――――。それだけで意識を失いました。
おそらく、彼の中にずっと残るのでしょう、恐怖の塊として。そして、今後どうなるかは、知ったことではありません。
視線を戻して、店主の方に向ければ店主は腰を抜かしておりました。視線だけで気絶させるような存在に私に何をしたのかを把握したのでしょう。
私は寛大でも何でもありません、ヒトであろうと、害意を向けてくるなら振り払うまでです。
ただ、彼もそこの男と同じ、いえ、それ以下なのでしょう。何をしていないというのに股間のあたりを濡らしておりますし。
ですから、その男を見て、魂に刻印を刻み込みました。彼もそれに耐え切れずに意識を手放してしまいました。
これからは、逃れられぬ永遠の恐怖に苛まれることでしょう。
罰としては十分だと私は思い、背を向けます。
ここに、妹が囚われてはいなかった、それがわかっただけでも十分です。
匂いも、感じ取れませんでしたから。

私は、その店を後にするのでした。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からシュティレさんが去りました。