2018/09/26 のログ
ルヴィエラ > (――建物の陰に入れば、喧噪に包まれた大通りの騒がしさも多少は静まる
余り奥に行き過ぎれば、今度は逆に治安が悪くなる訳だが、この辺りならば問題は無いだろう
振り返れば、付いて来た異装の客人…旅人化、冒険者化、其の辺りは判らないが、兎も角
何処か荒い語調と語句を隠そうともせずに、取引の内容を教えるよう促す姿に、ふ、と小さく笑み。)

―――……なに、あの調子では、値段交渉は無理だと思ったのでね。
生憎ながら、あの値段でも金を出す者は恐らく多い…少し待てば良いだけだからね。

(そうして――先ず、初めに。 彼女が考えていただろう計算を、先んじて潰すのだ。
あの強気な値段設定には相応の理由が在る、と、必要で在れば其の理由も説明しながら
今は己の言葉で、他の者には売らずに居るだろうと、一言言い含めてから。

一度、相手の姿を眺め、其れから、其の眼前に、ぴ、と人差し指を立てて見せ。)

―――――資金が足りないのだろう? 足りて居れば、値札を見て真っ先に手を挙げただろうからね。
そこで、だ。 ……足りない分を、私が補って支払うと言うのは、如何かな?

(――相手にとって。 娘の存在は、今この場で如何にかしなければならない問題だと
そう推測した上で提案する――己が、資金提供をしよう、と。
勿論、其れは慈善行動ではない。 飽く迄取引で在る以上、彼女に求めるのは対価だ、が)。

光流 > 男の説明でようやく高値の理由を知った鬼の顔には、あからさまに不興の色が差した。
ここで買えれば問題無いが、所有権が移れば厄介極まりない。

「…………は?」

だが、いくら何でも男の提案は突拍子が無かった。
自分が彼女を購入したいのだと知っていて、届く金額を持ち合わせていないと知っていて、
何故縁も所縁も無い異国の鬼に持ち掛けるのか。
―――つまり、対価が非常に高いものだということなのだろう。
ほぼ信用していない様子で、頬をポリポリと掻く仕草。
まぁ、聞いてみるか。という程度の。

「んで?オレに何しろって?
 言っておくが、殺しはしねぇ。余所者だがな、まだもう少しこの国にいる予定なんだ」

暗殺の依頼か何かだと踏んだ鬼は、先に断っておく。
どうせ無理難題を吹っ掛けられることは目に見えており、向ける視線は気怠い。

ルヴィエラ > (――まぁ、誰であってもそうだろう、売る者、そして買う者達以外には。
相手の反応は、寧ろそうなるだろうと予測出来ているから特段気には留めぬ
いずれにしても確かなのは、此処であの娘を逃してしまえば、より厄介な状態になると言う事、だ。

其の上で――仕掛けた提案に対する相手の反応は、芳しい物ではなさそうだ。
けれど、其れも在る程度は予想済み、寧ろ、其の対価の内容までを問うてくるだけ良い方で在り。)

――――……君が幾ら持ち合わせているのかは知らない、が…決して少なくは無いだろう。
何、だからと言って荒事を頼む気は無い…ただ、代わりに君自身に興味が在ってね。

(――一歩、近付く。 相手の間合いへと踏み込む事を、僅かも恐れぬ気配で。
そうして、相手に向けた其の人差し指を、そっと、其の眼前へと寄せれば。
ひょい、と、僅か壁際へ追い込む様にして相手の、其の茶色の瞳を覗き込んでは。)

―――――建て替える資金の分を日数に変えて。
……私に抱かれると言うのは、如何かな?

(紡ぐ、口元は悪戯っぽく弧を描きながらも――其れが、本気の取引で在ると告げる。
距離を詰めた事により、相手にも漸く、フードの下の眼元が見て取れるだろうか。
見る者の心に、するりと入り込んでくるような――紅の、眼差しが)。

光流 > どこか真剣みの足りない取引は、相手と距離が縮まったことで空気が変わる。
魔を示す眼差しに、何もかも見透かしたような言葉。
その瞳に注意力を奪われ、一瞬の気の緩みが見えるが、すぐに警戒を強めた。

「は……っあぁ!?ふざけんな!オレは男に抱かれる趣味はねぇ!!」

秘密の取引に相応しくない声での拒否。
ぞわぞわと背中が総毛立つような嫌悪感が先走る。
本当は、自分の性別を見抜いたのか否か、訊きそうになった。
だが男を抱く男がいることは知っており、どちらにしても答えは変わらない。

―――いや、これ以上言葉を交わしていればボロが出る。
鬼の直感でそう感じるに足りる、禍々しい瞳だった。
野生動物の如く、危険から後ずさり、そして建物の隙間から出ると走り出す。
少女の視線が自分を追っていることに気づいたが、今は助け出せそうにない。

だが、少女が誰に買われるのか、数時間後なり後日なり確認だけはする筈。
あの客だろうとなかろうと、次はその所有者の元へ向かわねばならない。
当然必要となる策を練って――――。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」から光流さんが去りました。
ルヴィエラ > (―――響く、怒号。 けれど、其の合間には一瞬の間が在った。
明確な拒絶を絞り出した其の唇、そして、其れが答えだとばかりに二の句を告げず
其の場から脱兎の如くに逃げ出した姿を見送れば
おやおや、なんて暢気に肩を竦めて。)

――――……それは残念。 ……だが、そうだね…また、是非会う機会が在ると良い。
それまでは、彼女は私が預かっておくとしよう…。

(きっと、誰に届くでも無い言の葉を、独白めいて零しては
再び物陰より歩み出て、商人の元へと戻って行く。

――暫しして、檻に入れられて居たミレーの娘を連れ、都を出て行く姿が在るだろう
馬車を遣い、行き先を伝え、敢えて自らの其の痕跡を、残して行く。
もしもまた、あの異邦人が此の都へ訪れた時、探す娘の居場所を辿れる様に。

――行き先は、港湾都市ダイラス、通称ハイブラゼール。
欲望渦巻く歓楽街の、其の最奥に位置する高級娼館『ファタール』――)

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からルヴィエラさんが去りました。